【十五階層十八区画】ドワーフからの依頼
~初めてのお使いは王都まで~
錬治たちがドワーフの里に逗留してから早一月。里長であるジムリットに呼び出されていた。
「神剣を届けてほしい?」
「そうじゃーて。実はヒト族の国『レーヴェリオン』の王都へと神剣を届ける護衛を欲しいじゃーて」
「期間はどれくらいでしょうか? 依頼を受けることは否定しませんが、何もわからないでというのは……」
「期間は半年ほどかかる予定じゃーて。届けるまでに幾つかの都市を経由しないといかんじゃーて。期間がかかってしまーて」
「あぁ…所変わっても柵は否定できないのですね」
「ヒト族は面倒じゃーてな」
「いいんじゃねぇか? いろんな所周れば城一たちのこと判るかもだしよぉ」
「そうですね。錬治さん」
利害の一致もあり、錬治たちは王都『レーヴェリス』へと向かうことになった。
「ガハハハハ。この馬車はいいのぉ。カムリ」
「ゲンジとの合作じゃがな」
「……知識を提供しただけだ」
「なにいうとる。その知識が凄いじゃろうが」
「……故郷だと、わりと古い知識だがな」
「お前さんたちの故郷か、いってみたいのぉ。あのバイクちゅう乗り物も沢山あるんじゃろ?」
「……あぁ」
源治はこの一月の間、ドワーフに現代日本の工業技術や発想や、バイクをドワーフたちに提供していた。
魔石をエネルギー源とする魔導エンジンの発想はドワーフたちには刺激が強く、徹底的に研究を開始するほどであり現在はリバースエンジニアリングの真っ最中である。
そんな中で完成したのが新型馬車であった。動力は乗せてはいないが、サスペンションに車輪はワーム系のモンスター素材にしたタイヤを装着などドワーフにとっては今までにないほど快適になり喜んでいた。
「ミチヨ、仕入れのほう頼んだぞ?」
「任してとき。異世界で行商とか面白そうやな」
「ワシら商売はわからんからな。それにしても炭とかも売れるんか?」
「……いや、うちに言わせると何で今まで武器とかしか売ってないのかわからんのやけど……普通に燃料になるやろ?」
「うーん、ヒト族もあんまり興味ないみたいじゃったからな。鍛冶師は別じゃが」
「まーうちの【インベントリー】になら十分しまえるから、まかしとき」
こうして着実に、旅支度は進めていた。
――常闇の城・フィセートロ城
謁見の間には二十二将より選ばれた3名がサヴドゥリアの眼前にて平伏していた。
「下知を伝える」
「「「はっ」」」
「貴様らには神剣の奪取、もしくは破壊をせよ。次の神剣の担い手が現れれば脅威となるであろう」
「「「畏まりました」」」
「ドワーフどもの神域から離れる好機を逃がす出ないぞ?」
念を押すように睨みつける中一人が声を出す。
「お任せをと申し上げたいのですが、この程度の事であれば私目が一柱でも十分かと」
「黙れ」
静かに発した神としての波動だけで発言者を地面へと叩きつけた。
「ガハッ」
「私が、この知識のサヴドゥリアが。そう命じたのだ。貴様らの応えは是のみ」
「も、申し訳ございません」
「今動かせる駒はお前たちのみ。一柱は治療中、サディスには軍として再編を下知したその配下に三柱を宛がい。別任務で動いいる三柱。同胞を迎えるべく世界に離散した配下を回収している。わかるな? その急務のなかで三柱を派遣する。その意味を理解せよ」
「「「ははっ」」」
「では、行け」
その命を受け、三柱が地上へと向かい飛び立った。
「クククク、なかなかではないか」
「レイノ。貴様か」
「ああ、我だ。というか、ここには我しかいないのだ我以外あるまい」
「そうだな」
「もう少し、派遣しても良かったのではないか?」
「そうすると、奴らが干渉しやすくなるからな……」
「クククク、ままならないものよ」
「全くだ」
用意された座につくと慌てて一人が駆け込んできた。
「ご、ご報告! スティヒフ様が! 基礎のスティヒフ様が御帰還されました!」
その報告に二柱は笑みを浮かべるのであった。
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。
錬治の【刃雷轟閃】の名称を一部変更しました。
【刃雷轟閃・弐式】迦禽穿孔
【刀雷轟閃・参式】千秋烙
【刀雷轟閃・肆式】刀雷
【刀雷轟閃・壱式】春雷はそのままです。【刃雷轟閃・伍式】???の出番はまだ先になります。




