【十五階層十六区画】ドワーフの宴会
前回うっかり、設定を間違ってしまい申し訳ありません。
~もしかしたら酒が呑みたかっただけなのでは~
ガハハハハハハ――
宴会場では豪快な笑い声が響く。酒を飲みかわし、肉を喰らい、酒で流し込む。
「ワハハハハハ。小僧。よくぞ我が里の者を助けてくれた。おかげで宴会を開く理由ができた」
「ガハハハハハ。そうですな長老。死なれてたら苦い酒を飲むことになってましたからな」
「いや、どっちでも酒飲むのかよ!」
「「あたりまえじゃ。ワシらドワーフ族が酒を飲まんなど太陽が西から上るほうがありえん」」
感謝の大宴会という名目で始まったはずなのだが、もはやただの酒飲み会でしかない。
「ところで源治なんで来るの遅かったんだ?」
「……飛ばしていたドローンを回収していたからな……遅れたのはすまなかったが……お前は早くなってないか?」
「あぁ、なんか特殊上級職になってからいろいろと調子がいいし、白波の切れ味も増してるんだよな」
「……そうか……ところでお前……普通に酒飲んでないか?」
「大丈夫だ。問題ない。日本じゃないから違法じゃない」
そういいながら、手に持った飲み物を飲み干す。
「……そうなのか?」
「というか俺よりもあっちの方が問題じゃねぇ?」
「……拙者の目には何も映っていない」
「だな。あっ、この肉美味い」
再び視線を向けた先には、
「このお酒はなかなかですわね」
「せやね。度数もたかめやし」
「ガハハハハ、嬢ちゃんたち凄いな。そいつは寒い地域でアナップて果実で作った酒を凍らせて凍らなかった奴を集めた酒なのさ」
「まぁ。凍結蒸留のお酒とは珍しいですわね」
佐江と美千代が楽しそうにお酒を酌み交わしていた。
「それにしても嬢ちゃんたちのグラスは綺麗やのぉう」
「えぇ、以前、蔵元さんの依頼のお礼にといただいた薩摩切子と呼ばれる工芸品ですわ……あっ、美千代さんアレ出してください」
「ほぉ、異国にはこんなものがあるのか……ガラスでできたグラスはあるがこんな細工があるとは……むむむむ。職人としては負けてられんぞ」
職人気質が多いドワーフの一団が穴が開きそうなほどに見入る。
「ええんか? アレは佐江ちゃんの取って置きやろ?」
「かまいませんわ。あっ、それとおつまみもお願いします」
「了解や。ほならウチも出すわ」
そういって出したのは吟醸。大吟醸。焼酎などとラベルが張られた一升瓶。
「では一献どうぞ」
「ヒト族の酒か…酒精が薄いが出された酒を飲まんということはないからの」
そういって注がれた酒を一口にするとクワッと目を見開き手元の酒と瓶の酒を交互に見る。
「うまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい。なんじゃこの酒!!?? 酒精もさることながらこの味! こんな美味い酒は初めて飲んだぞ!」
「まぁお口に合ったようでよかったですわ」
そう言いながら、つまみにと出してもらって塩辛を口にしている。
「はぁ、やはりお酒のおつまみには塩辛ですわね」
「佐江ちゃんてそういう所はおっさん臭いよね」
「まぁ、そんな意地悪いうとあげませんよ」
「堪忍してなぁ」
「嬢ちゃんたちそれはなんじゃ?」
「これはイカの塩辛ですわね。イカの内臓と切り身を塩漬けにしたものですわね」
「イカちゅうのは知らんが美味いんか?」
「酒の肴としは最上ですわね」
「もらっても?」
「いいですわよ」
小皿に取りだしたモノを指でつまんでひょいと口に放り込み酒で飲み干す。
「くぅぅぅ。ちぃと癖があるがコレはコレで美味いし酒とよくあうわい」
「気に入ってよかったですわ」
「ほなら、うちのチーズコレクションも食べてぇな」
佐江と美千代が日本国内お取り寄せ名酒と高級おつまみを提供したことで宴会は大盛り上がりとなり、ドワーフたちと共のに飲み比べなどを始めたのに佐江と美千代が名酒とおつまみセットを所持していた秘匿事項である。
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前回の失態のお詫びの意味を込めまして短編を書きました。
TSコメディ作品となっております。
てすでみっくー朝起きたら、物凄い美少女がいると思ったら俺だった件―(https://ncode.syosetu.com/n0606hf/)




