【十五階層十四区画】荒くれ者の街・ゼルトナー
~光太郎の思いつき~
「うぉぉぉ良かった。よかったよぉぉぉぉ」
「お、お父さん」
剛に負けず劣らずの筋骨隆々の大男がソニアを抱きしめながら、号泣していた。
「ふむ、感動的な場面であるな」
「そう……だね」
「ケケケケ、お前らこっち向けよ。いきなり殴られたワイの身になれよ」
「ノーダメージであろう?」
「まーなー」
「悪人面……だからしょうがない」
店に入った瞬間に光太郎に連れられたソニアをみた瞬間。ソニアの父ジャンが誘拐犯と勘違いして思いきり光太郎の顔面を殴ったといういきさつがあったが、誤解は解けて今は、感動の再会中である。
「うぅぅすまねぇ。恩人方……本来ならお礼をしたいのだが……このありさまで申し訳ねぇ」
「ケケケケ、ボロボロだもんな」
「うむ、まったくである」
「二人とも……容赦ない」
『静かな青い鳥亭』は元々親子三人でやっていた。食事メインの宿屋だった。といっても調理や会計はジャンの妻のキィーナがやっていたのだが、病に倒れてそのまま。元々、闘士として活躍していた時の金でやっていたのだが、正直、ジャンは調理の才能も乏しくソニアも未熟な腕では店は、閑古鳥が鳴いてしまい。さらに、荒くれ者が多いこの街では、喧嘩は日常茶飯事で店はボロボロのありさまである。
「それで……名物になる食材を探しに行こうと思って……黄金鳥を見たていう冒険者の人に言われて……」
「ケケケケ、アホだな」
「であるな」
「あん? てめぇら恩人でもソニアをバカにするとぶっ飛ばすぞ!」
「お、お父さん」
「あのぉ~…いくつか……聞きたいことが……」
「お、おぅ」
気になっていた事は闘士と冒険者という単語。
「お前ら、そんな事も知らないでこの街に来たのか?」
「ケケケケ、ちぃと訳アリでねぇ。で、どんな感じなんだ?」
冒険者というのは、主に短期の護衛や特定モンスターの駆除を請け負う。それを仲介しているのは冒険者ギルドと呼ばれ、ランクはゴールド、シルバー、カッパーの三種類のみ。仕事の実績でランクが決まっているとのこと。
闘士は町の中央にある闘技場で、戦いを魅せることを生業としている人でキングをトップにランキングが与えられており、そのランキングに合わせて報酬を得ている。
「わりと……単純な区分?」
「闘士とか、冒険者なんてゴロツキと変わらなくて学もねぇからこれくらい単純でいいんだよ。大体、冒険者のルールなんて騙すな、奪うな、犯すなの3つだけ。こいつくらい守れないと流石に冒険者なんてできねぇ。あとバカが多いから騙しなんてガキでも見抜けるような騙ししかできねぇしな。腕っぷしがあれば稼げるてのはあるな」
「ケケケケ、なるほど確かにシンプルてのは、いいねぇ」
「まぁ、元々ここは傭兵の街とも呼ばれてたからな。強い奴が偉いて風潮がある。だから俺が仕留めた獲物をかみさんが調理してのがなりたってたんだよ……それにオレぁは闘士のマッチメイカーもしてたんだがぁ……かみさんの葬儀やなんやでバタバタしている内に闘士も取られちまったし……」
「ケケケケ、そいつはご愁傷様と。なぁ、おっさん。俺らは行く当てがねぇ。だからここに住まわせてくれ」
「はぁ? 勘弁してくれよ。お前らは恩人だけど流石に……」
「あぁ、安心しろ、ただ飯喰らいなんてしねぇからよ。ワイらの故郷には『働かざる者食うべからず』て言葉があるからよ。というわけで、剛に守里面白れぇことやろうぜ」
「ふむ。あの錬治の友人がすることか、興味深いであるな」
「やろう……やろう」
なぜか店の再建計画を始めだす光太郎たちであった。
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