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【十五階層十一区画】偉ぶる神

 ~神如きが頭が高い~


 百腕百頭の巨人ヘカトンケイルは、目の前にいる矮小ながらも腕組みを構える男を一応、敵と認識して一度に50の拳を振り下ろす。それで終わる。それで命じられたことは終わると思いただ無造作に打ち下ろした。


「温いな。魂のない拳など笑止!」


 横賀は傍に置いておいた釘バットを手にすると拳を打ち返した。


「やはり軽いぞ。でかいの!」


 ヘカトンケイルは驚愕する。再び今度は残り50の腕を叩きつけんと力を込めて振り下ろす。


「戯けが! 男の喧嘩とは一つの拳にどれだけの男気を込めて行うものぞ!」


 今度は拳で打ち勝つ。スキルとか、アーツとかそういうものではない何か。


「喧嘩の作法を教えてやろう」


 困惑するヘカトンケイルを尻目に拳を構える横賀は大きく声を張り上げる。


「漢の喧嘩とは何ぞや!」


 それに応えるように銀城高校野球部が直立不動にたち後ろで腕を組み全員で唱和する。


「「「「押忍! 意地の張り合いであります」」」」


「喧嘩の美学とは何ぞや」


「「「「押忍! タイマンであります」」」」


「ならば言うまい」


「「「「押忍! ご武運を」」」」


「待たせたなデカイの。では始めよう」


 大きさも、種族も何もかも異なる存在。


 共有するのは雄の意地のみ。


 だからタイマンである。


 ゴング既に鳴っており、言葉はいらず、ただただ殴り合うのみである。


 その様子を見ていたビシューは目を丸くする。


「バカが何をやっている」

「ふっ、これを理解のできないとは、貴様は神かもしれぬが、将としてのは器ではないということだ」


 悠然と構える城一がビシューの前に立ちふさがる。


「ヒューム風情が……いいだろう相手をしてやろう」

「ふむ。どうやろう貴様は思いのほか間抜けのようだな」

「なんだと? ぐはっ」

「……がら空き」


 いつの間にか背後に現れていた幸が、ビシューの背中に苦無を刺していた。


「この!?」


 腕を振るい背後の幸を、吹き飛ばそうとしたが、既に、その姿は霞のごとく消えていた。


「タイマンというのも悪くないが、貴様如きとタイマンなどする価値もなし」

「ふっ、一対一では勝てないと言ったらどうだ。だが、この程度で神を倒せると」

「思ってないっスよ? 混沌魔法<カタストロフィ>」

「なっ、その魔法は!? ちっ」


 慌てて腕を切り落としてカタストロフィにぶつけて直撃を免れるがビシューの顔には焦りが現れた。


「バカな。ヒューム如きが混沌の力を放つだと!? そんなバカげたこと…」

「ハハハハ、甘いよ【スラッシュカード】」


 上空から銀色の紙吹雪が襲いかり、ビシューを薄く切り裂き地面につきささると爆発を起こす。


(おかしい……ここまでヒューム如きに……何かが…おかしい)


 ビシューは意識がまるで別のモノに誘導され、致命的でなくてもダメージを受けてしまう。


「《アテンション》右をご覧ください」

「お前か! 女!」


 剣を振るい迫っていた岬へと振り向いたが再び背後から


「……よそ見厳禁」


 その声と共に背中を斬られながらもでたらめに腕を振り回し衝撃波を巻き起こす。


「鬱陶しい!!!」


 怒りが波動となって近くにいた次郎、幸、岬を吹き飛ばし、充希のカードも吹き飛ばされる。


「その気配…あのビビュラーバとかいう……痴れ者と同じ」


 ビビュラーバ。懐かしき名にビシューの動きが止まる。


「彼女を知っているだと……彼女はかの地で、興味がわいた。少し本気を出そう。顕現し従え神器『エヘルシト』」


 ビシューの手に握られたのは細長い剣。


「只の剣ではなさそうだな」

「ほうヒュームながらもやはり解るか。これは私がお仕えする方から、いただいた神器。効果は……」


 剣を振るうと近くの岩が粉々になった。


「周囲の大気を従わせ刃に変える。どうだ凄いだろ?」


 自慢げに剣を振るい周囲の地面も切り刻むが…


「意外としょぼいな。我が友なら、その程度なら神器とやらに頼らずに行うぞ?」

「ぬかせ!」


 なんだかんだと言いながらも、流石は神というわけべきか、身体能力は高く、まさに人の領域を超えた動きといっても言いだろう。実際に、この動きを遠くで見ていた、姫騎士ヒルディモアには目で追うのが精一杯だった。


 そんな動きも、城一にとっては、自分がしる友の動きと比べれば()()。そして、その剣技も拙いどころか、児戯といってレベルにしか感じられず。故に自然体から悠然と剣を振るう。


「所詮、ヒュームかドワーフが作った剣。そんなもので傷つけることなど不可能」


 散々、傷つけられておいて何を言っているのかと言いたくなるが、あくまでも不意打ちで神威(神衣)が発動しなかった為に傷つけられたにすぎないと勝手に結論付けたまま片腕を剣を受け止め、圧倒的な力の差を見せつけようとしたが……


 パンッ――


 ビシューの腕が消し飛んだ。


「はっ!? なっ……さ、再生も始まらない!? ば、バカなこんなこんな…うわぁぁぁぁぁぁあ」


 恐怖に震えながら下がり、自分の片腕を消し飛ばした剣を見た時ビシューは初めて理解できた。


(なんだ…あの剣は……神器なのか? 有り得ない。あり得ない。あんな神器あるはずがない………)


 ビシューが無能だったから理解できなかった……というわけではない。


 八岐大蛇との戦いで真の姿を現した城一の剣『十握剣(トツカノツルギ)』日本神話に登場する。正真正銘の神剣。そして、剣に残っているのは太陽の神の断片とはいえ、格が桁違いに違う最上位の神の力。アリが世界の大きさを認識できないように、ビシューとの間にある隔絶した絶対的な力の差が認識をさせなかった。


 だが、触れたことにより、理解した。


 理解させられてしまった。その剣に宿る力がどれほどのものかを……

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


ヤバイ、横賀さんが書いてて楽しくなってしまう。

横賀さんのクラスは 

メイン:武将/サブ:主将 

レアスキル《将器》:仲間の信頼度が高い程能力が上昇する。

という、設定です。

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[一言] 横賀さんの能力天元突破してそう
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