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【十五階層九区画】義を見てせざるは勇無きなり

 ~勇将の下に弱卒無し~


 全員が誰かが用意した。土でできた円卓と椅子に座るとスっとお茶が差し出される。


「ほう、気が利くのう」

「あらー、いい香り。うーん、味もとってもゴージャスね」

「ガハハハハ。こりゃ気が利いてるな」

「うむ」

「ビールが飲みたいがしかたねぇか」

「では、話し合いを……というか、君が用意してくれたのか?」


 その場を用意された内容を見て傍に控えていた、メイド服姿の大隅幸に声をかけた。


「はい……というか気が付いていたんですか?」

「「「「!!??」」」」


 城一と横賀を除いてびっくりして腰を浮かす。


「うむ」

「これほどの所作は素晴らしいな」


 その面々を気にすることなくお茶を口にした。


 さて、驚きの一番面があったが、全員の話し合いは、様々な状況を想定して話し合われ、とりあえず、この地点を中心に探索を開始することで話がまとまり、夜を越すことになった。


 朝は緊急用のレーションを保持しておりそれで済ますと、街道がないかを調べるために銀城高校の面々が『ガレージボックス』というマジックアイテムに収納していたバイクを取り出し荒野を駆ける。ちなみにこのバイク。魔導式バイクと呼ばれ魔石を燃料にすることができる新世代のバイクとして大手バイクメーカーのウミハが販売したものである。


 そうして、日が高く正午になろうとしたときにキャンプ地としている場所に慌てて一代のバイクが戻ってきた。


「横賀さん! 大変でさぁ! 馬車が魔物に襲われていますぜ!」

「有無はいらぬ。あないせい」

「はい!」


 その一報を受けて全員が動き出す。迷宮クラブや出雲社建業は大人数での移動用のマジックアイテムを携帯していたり、個人用の移動用のアイテムも昨今では普及していたりするのは日本社会では当たり前になっていた。その為、報告が来てから30分も経たずに現場が見下ろせる丘へとたどり着いた。


「これほどとは予想外だな」

「是非もなし」


 襲われていたのは100人程度の集団で豪華な馬車が3台と荷馬車が4台で戦っている者たちの装備はそろっており統率も取れてはいることから、それなりに格がある集団なのは見て取れるが、相手は動く石造ガーゴイルや小悪魔インプと羽が生えて空を飛んでいる魔物がいるためか分が悪く見える。


「さて、見過ごすこともできるが……」

「あれほどの忠義を見せている者たちを見捨てるなどあり得ぬな」

「確かに……救援に向かうか?」

「義を見捨てるなど男の道に外れるなど教示に反する故、一人でも行かせてもらおう」


 横賀は白馬に跨り、するりと釘バットを構え、丘を下り始める。とそれに続いて銀城高校の一団もバイクで駆けだすのであった。



 ――姫騎士ヒルディモアの視点


 母上と妹のエミルとともにお爺様の隠居地からの帰りにまさかこのような事になるとは……領内であることから最小の人数で十分と油断したのが誤りだった。まさか、このような集団に襲われるとは……


「いいですね。いいですね。その顔、実に素晴らしい。いいですいいですよ」


 くそっ、気持ち悪い…見た目は確かに美しいだが瞳から泥のように濁った色しか見えない。あれが邪神……


「はぁはぁ…勝ち目もないのに必死に抗う姫騎士。あぁぁいいですいいですよ。コレクションにと機会をうかがっていましたが、あの方々が御帰還されるさいの献上品に実にうってつけですよ」


 声も美声といっていいはずなのに、気持ち悪さしか感じられない。


「この美の神ビシューの芸術品の素体として本当に素晴らしいですよ」


 ゴブリンにオーク程度なら何とかなる……問題はあのビシューという存在だ。奴が指を鳴らす度に、まき散らした羽から次々にゴブリンやオーク、インプにガーゴイルと醜悪なモンスターたちを生み出していく。


「あぁぁ、あなたを早く加工したい加工したい加工したい」


 自分は手を汚さずに空から高みの見物で気持ち悪い独り言を続けてくれる……くっ、せめて少しの隙だけでもあれば母上と妹だけでも逃がせるのに……いや、ダメだ少数程度では犠牲が増えるだけ……屈するか? 何を考えている私。折れるな! 例え屈したとして無事に逃がす保証などないではないか……剣を振るえ。万に一つでも勝機を生み出すために!


「素晴らしい! その気高い心! 実にいい実にいいですよ!」

「黙れ外道」

「うん?」


 馬が空を駆けている? いや、ヒトもいるのか?


 ドン――


 なっ、棍棒で殴りつけた。


「ヒヒヒヒィィィィン(【天馬流星脚】)」


 馬がさらに空中でビシューを蹴り飛ばしているだと?


「ギィィィィィ」


 ハッ、しまった気を取られて……やられる。


「『頭が高い、伏して頭を垂れよ』」


 別の男の声が響くと辺りを飛んでいた魔物たちどころかゴブリンたちも地面に伏して。


「さて、貴公に問うが加勢しても問題はあろうか?」


 目の前の男は悠然と私に語り掛けてきた。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


前話にてお気づきの方もいると思いますが、合計人数の合わないようにしていたのは幸が登場する為です。




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