【十五階層七区画】エルフの里、聖霊樹ホーリーバウム
~崇高の弓の腕前~
目が覚めた崇高が案内された先にいたのは、ぼたんと、女性が3人と男性が一人いた。
「おぉ、ぼたんに…えっと誰でありますか?」
見覚えはあるが名前がでてこない人もいるので一応、確認をする。
「まぁ、一緒に戦った中ではありませんか…あっ自己紹介ちゃんとしてませんでしたね。私はヴァルキリーガーデンの大塚照美です」
「同じくヴァルキリーガーデンの玄間真白んゴ」
「わたくしはヴァルキリーガーデンのリーダーの二階堂鈴蘭です」
丁寧にあいさつをうける。
「自分はイレギュラーズの新田崇高であります…それでそちらは?」
部屋の隅にいた男性に声をかけた。
「俺は佐々木歩といいます。ごめんなさい」
「えっ、自分なんで謝れてるであります?」
「ははっ……なんか錬治くんの元同級生らしくって……」
「すみません。不快にさせてすみません。同級生とかいうのもおこがましいです。すみませんごめんさない……」
少々ユニークな自己紹介をすませ、ある程度の情報の共有を終え、ここがエルフの里と知り、崇高は驚きはしたがなんとなく納得した。
「一応、逗留することにしたのだけど……よかったかな?」
「ぼたん殿がそう判断したのであれば問題ないでありますよ。それにしても仕事でありますか……」
逗留の条件として仕事を手伝うとのことだが、ぼたんは記録管として照美は農業の手伝い、治癒魔法が使える真白と鈴蘭は癒し手として、歩は《レーダー》のスキルを活かして見張りとして働くことになっている。
「君の特技を聞かせてもらえれば可能な限りの仕事をあてがおう」
そう話してくれたのは、案内役をしてくれたエルフのエンディミオン。
「自分の特技でありますか……であれば弓でありますな」
当然のように答えた崇高にたいしてエンディミオンはクスリと笑った。
「まさか、エルフ族のぼくを前にして弓が得意といえるとは、よしわかった。なら弓の腕前を見せてもらえるかい?」
そう言って、全員を修練所へと案内した。
案内された場所には多くのエルフの男女が弓をつがえて遠くの的へと言っていた。
「練習用の弓はそこにあるから好きなのを選んでもらえるかい?」
「了解したであります」
そう言って、崇高は弓を吟味すると二本の弓を選ぶと一本から弦を外してもう一本の弓へと張り替えた。弓を弾いてみる。
「これで丁度いいでありますね。それでどうすればいいでありますか?」
「その線から一番遠い的を狙って撃ってくれるかい? そうだな7射くらいでどうだろうか?」
「解ったであります」
促されるままに矢を受け取り、一番遠い的へと視線を向ける。
(距離は70mでありますか……なら容易いでありますな)
一射目を放つ。その姿勢だけで多くのエルフは向けていた視線が真剣なものになる。
シュッー……
放たれ矢は中心に的中する。その結果にエルフたちは感嘆のため息を漏らす。
だが、その後の崇高の行動はエルフたちの度肝を抜かれた。
なにせ一射する度に一歩下がりながら撃ちながらも、さらに驚かせたのは、後から撃った矢を筈にあてて継矢を披露したこと、それも三射したあとに今度は最初にうった矢の上下左右に等間隔で射抜くという妙技すらおこなってみせた。
「この程度の腕前でありますがいかがでありますでしょうか?」
やり終えたあと崇高は、何事もなくそう告げるのであった。
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佐々木歩は、【一階層十四区画】勇者たちのレベリングレクリエーションに登場しております。




