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【十五階層六区画】シルドフィルの闇森での宴のあと

 ~語られる事実~


「さてと、何から話すべきか……」


 老執事ベンドルフが年長者として話を切り出すが、なにから切り出していいのか迷っていると調が手をあげ話始める。


「あぁ、なら俺達の話からでいいか?」


 その申し出はありがたいが、誤解があったとはいえ、襲撃した手前どうしたものかという思いがある。


「それは構わないが……いいのかね?」

「あぁ、荒唐無稽と思われてもしょうがないが、ウソは言わない」

「わかりました。お話いただけますか?」

「結論から言えば、俺達は別の世界から来た」

「ふむ……渡り人というものですかな?」

「それは知らないけど、ここは俺の知識に何一つ合致するものがない」

「それですとまるで世界の全てを知っているというようにも聞こえますが……」

「ある程度の地理ならね。俺たちの世界は、そういう事が当たり前の世界なんだ」

「ふむ……にわかに信じられませんが……あのマジックアイテムは、かなり高度なモノですしそのような嘘をつく意味もありませんな。それが何故このような場所に?」

「八岐大蛇という伝説級の化け物…巨大なヒドラといえば通じるかな?」

「ヒドラは存じておりますが巨大なとは?」

「文字通りの山ほど大きいかな? それと仲間たちと戦っていたら黒い爆発に呑まれて気が付いたら、この森にいて、皆さんに出会った次第です」

「なるほど……」


 調の話を聞きベンドルフは、少し考えて結論をだす。


「信じるとさせていただきます」

「それで、皆さんのことを聞いてもいいですか?」

「はい、我々はシルクェール家家中の者です。といっても皆さんはご存知ないと思いますが……いまから20年ほど前に、この世界は邪神の侵攻をうけました。その時に、亜人種と呼ばれていた我らを纏めたのが先代のシルクェール当主、薔薇王ロゼス・シルクェール様でした」

「亜人種? そういうのがあるんですね」

「はい、ドワーフ族やエルフ族はヒト族と友好的な立ち位置がありましたが、獣人や吸血族、リザードマン、ケンタウロスや竜人族といった種族はヒトとのかかわりが希薄だったために、迫害の対象になっておりました」

「なるほど、ゴブリンやオーク、トロルは違うのでしょうか?」

「あちらは邪神の尖兵として、邪神の手によって変質した者たちが元に作られた魔物です。基本的に人語を介さないモノは全て魔物とみなされます」

「へー…あーだから獣人とかは魔物と誤解されたりしたとか?」

「はい、200年前などは沐浴をしていたディア族の族長の娘を人の貴族が雌鹿と間違い殺してしまって、それが原因で戦争になったほどですので…」

「あれ? けど、さっきのラットマンのレオンハルトとかいうのは、ゴブリンとか従えてましたよね?」

「はい、邪神側についた者もおりまして、特に蔑まれ続けていたラットマンなどの多くは邪神側に…他にも竜種の気性が荒いモノなどもつきました」

「あっ、やっぱり竜種もいるのか……」


 調は一呼吸おき情報を纏めながら白湯を口にする。


「ですが、ヒト族の勇者と共にロゼスさまが、亜人たちを纏め上げ邪神を封印することに成功し、ようやく亜人たちもそれぞれの種族の名で呼ばれ、地位も向上し平穏な生活を手に入れたはずでした……」

「あぁ、なるほど。大体、さっしが……その残党に襲撃されたと」

「はい、お嬢様を守るために奥様も旦那様も……」


 調はある疑問にいたる。


「けど、あのレベルならベンドルフさんやヴェルフェスさんが負けるとは…」

「おっしゃる通り、相手は邪神二十二将のうち三柱でしたので……」

「邪神てそんなにいるのかよ」

「はい、邪神の半数は封印することはできたのですが……残党が暗躍し、それが本格的に動いたことに…吸血族は夜の守護者でしたので……察することができたのですが相手が早く、旦那様と奥様は討たれてしまいました」

「えっ……てことは、レミールちゃんて吸血鬼?」

「その呼称は、おやめください。それは侮蔑になります」


 明らかに怒気が含まれていた。


「あぁ…すみません」

「はい、一応、誤解ないように、いっておきますが日光に当たっても灰になったりはしません。ただ日光にあたると火脹れになってしまいます」

「そういう感じなんですね……」

「そもそも白木の杭を心臓に打ち込まれた死ぬなどという話がありますが……普通に生き物なら死ぬでしょという話ですね。加えて血をすっても吸血族になることもありませんぞ」

「事情はいろいろ理解できました。それで、これからどうするんです?」

「聖霊樹ホーリーバウムの麓にあるエルフの里を目指そうと思っています。あなた方はどうされます?」

「俺たちは……」


 ――聖霊樹の森


「知らない天井であります……」


 崇高が目が覚めたときに目にしたのは見知らない天井だった


「君たちは目を覚ますと、そう言うのは風習かなにかかい?」


 聞き覚えのない声に反応にして横をみると見たこともない美人が座っていた。


「一応、最初にいっておくが僕は男だ。何度も聞かれるから最初にいっておくよ?」

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