【一階層十六区画】勉強会
すみません。今回は短いです。
日本ダンジョン戦記【一階層十六区画】勉強会
尾張錬治は優等生である。いや、ある意味では、問題児でもあるが基本的には優等生である。ただ、強そうな相手をみると、つい戦いたくなる程度の問題に目をつむればごく普通の優等生である。勉学も疎かにするわけでもなく普通に勉強はできる。特に国語と歴史が得意科目である。もっとも英語は若干苦手で理系は不得手といったところである。
さて、中学三年生の秋と言えば受験のほぼ最終準備という段階である。勉強はもちろんだが、今の入試はレベルやスキルなども大きく考慮されたりする。なにせダンジョンでの優秀な活躍する生徒は学校の宣伝としては申し分ないのである。考慮されるのは必然といえるだろう。一流の探索者が卒業したという事実は今の教育機関においてはステータスなのである。
とはいえ、基礎学力はやはり大事なもので、本日は錬治をはじめとして銀之助、幸、剛、守里という五人での勉強会となった。レベリングレクリエーション後、幸と守里が通じるものがあったのか親しくなりついでにトレーニング好きな男三人が意気投合したりと交友を深めた結果である。
「守里、お前、進学はどこにするんだ?」
「大洗女子…聖地巡礼」
指揮やタンクの指導に定評がある有名校の一つである。
「ということは全員バラバラだな」
「しょうがないわよ。ちなみに私はお茶の水女子よ」
「ワハハハ、吾輩は目黒だ」
「うーん、俺が京都の久御山で錬治が…」
「鹿児島の高校だな。ちなみに、ほぼ確定だぞ。というか、幸、頭いいとは思っていたけど…そんなによかったのか?」
「まぁね。塾とかは特に行っていないけど、三回読んだ本なら8割は暗記してるわよ」
大隅幸 15歳。趣味に読書と書いて本当に読書が趣味である。ちなみに電子書籍よりも紙の書籍を好む。
「剛は、なんで勉強会にきているんだ?」
「よくぞ聞いてくれた。同士、銀之助…実はオリジナルシーズニングスパイスの布教にきたのだ」
「いや、それスパイスじゃなくてプロテインだよな」
「筋肉へのスパイスだ」
和気あいあいと勉強を進める。実は、全員それなりに成績は優秀なのである。苦手分野はあるが…ちなみに剛も実は、全国模試でも上位に入るレベルだったりするインテリ筋肉であったりする。
「それで、受験て何時で終るんだ?」
「俺は推薦だから12月だな」
「私は一月」
「同じ…」
「吾輩たちは普通受験であるからな」
「なら、2月になったら全員で三級ダンジョンをクリアー目指してみないか?」
三級ダンジョンクリアー。それは10階層まである三級ダンジョンを突破したことを示す。ちなみに一般的には高校二年くらいが平均的なクリアー年齢である。三級ダンジョンでも五階層を超えると難易度が高くなる。
「目指すくらいならいいかもね。どうせ受験が終われば時間あるし」
実際、受験が終了すると後は週一の自由登校になり、それからレベル15を目指してのダンジョン攻略が始まる。レベルは10を超えると上がりづらさのランクも一段階は上がるのであるが、とりあえずこうして錬治たちの三級ダンジョン攻略が決定したのであった。
次回はダンジョン回です。
 




