【十四階層十四区画】レイドバトル その14
~アマテラス~
「随分と無様なお姿ですこと。その姿をみて爽快な気分になる事は否定できませんわね」
クスクスと口元を隠しながら笑う佐江に対して、ビビュラーバは憎々し気に体を起こしながら再生させていく。
「どうやって……」
「そんなこと気にしてる時間を否定いたします」
低い姿勢で接近してからの左右の鉄扇での六連打からの振り下ろされる一撃を加えてから胴体を蹴り飛ばして後方へと距離をとった。
どうやって駆けつけたか、それはほんの少し時間をさかのぼる。
――八岐大蛇の体外周辺
「ぼたん、いまどれほどだ?」
「えっと…討伐率41.5%。 もう少しで半分です!」
「であるか……やはり体内に乗り込むというのが正解だったな」
「そうですね。城一さん」
錬治が飛び込んだ後、他にもいくつかのパーティー単位で体内へと侵入を行っていた。
そして、そのタイミングで
ババババ――
爆音と共に一機のヘリコプターが近づいて来る。
それに向かって大蛇が襲い掛かるがヘリから二つの人影が飛びだし
「【克水縛】」
「【バニッシュメント・レイ】」
土の枷が蛇の体を拘束し動きを止めたところで閃光が降り注ぎ大蛇を消し炭へとかえると二つの人影は地面へと華麗に着地した。
「真誠に聖!?」
その正体に気が付いたのは勇雄であった。しっているのは当然、降り立った人影の正体は『賢者』羽柴真誠と『聖女』三河聖。かつて生徒会として、そしてなによりもパーティーメンバーとして共に活動した旧友。
「遅れてすまないな。これでも自衛隊の高速ヘリできたのだが…」
「装備に時間がかかってしまいました」
完全武装の二人の装束は真誠は陰陽師のようないで立ちで、聖は修道女のような服装ではあるが深いスリットがはいっており左腕には鎖がまかれており先端には鉄球がついていた。
「ほう、賢者に聖女か……さてと、ぼたん策はあるか?」
「そうですね……えっと、あの城一さん、可能であればですけど、胴体を切り裂いて一気に人員を送り込むとかどうですか?」
「それは可能であれば良策であるな。人選は?」
「送り込むのは勇者の小田勇雄さんにいって欲しいのですがあとは…」
「わたくしがいきますわ」
「佐江ちゃん!? 大丈夫なの?」
「ええ、否定することなく大丈夫です」
先ほどまで寝ていた佐江が体を起こしながらもアピールをする。
「ふむ。後は余力があるとすれば…」
「自分が行くでありますよ」
そういって声をかけてきたのは崇高。そして、
「私も行かせてくださいな」
近くで戦っていた大塚輝美も参戦を希望した。
「わかりました。では、城一さんやり方はわかりますよね?」
「あぁ、先ほどから頭の中にガンガンとどなり声が響いて敵わんからな。岬、時間稼ぎは任せたぞ?」
「わかりました……ちょっと恥ずかしいですが……」
そういって踊り子の衣装へと変わる。
「神技【アメノウズメ】」
緩やかな舞を舞うとその動きに蛇たちはその動きに見とれる様に幻惑されそして…
「秘奥義【時留めの舞】」
岬の舞が完成すると蛇たちの時間が停止した。
「見事な舞だ……さてやるか」
城一は剣構えると祝詞を唱えだす。
――畏き畏き申す高天原にいらっしゃる尊き命
――数多を照らすもの
――陽の光を纏いしもの
――数多の時を受け継がれる 尊き名において
――我、この剣に誓わん
――我等の前に立ちふさがりし全ての禍事を
――我と汝が力をもちて払わんことを!
「神技【アマテラス】」
天空から降り注いだ陽光が城一の剣に集まり、全ての光を統べ八岐大蛇の胴体へと向かい放つのであった。
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