【十四階層十三区画】レイドバトル その13
~無一物~
「【潜空蛇撃】」
空間から出現した蛇が錬治に襲い掛かろうとするが、蛇の牙は空をきり逆にその首がぽとりと落ちると
「おせぇよ。鈍間【瞬閃・乱式】乱れ隼」
雷光が舞、ビビュラーバの体を切り刻む。
(ありえない……ありえない)
ビビュラーバは混乱していた。
理解できない存在。仮にも低級とはいえ自分は神であり、神威を纏っているはずなのに、本来であればその威を感じれば人ならば平伏するばす。だが、目の前にいるのは20にも満たない。たかだか十と七つの青年は威にかんするどころか……
「オラオラオラオラァァァァァ」
これほどの苛烈な攻撃は、かつての大戦のおりに戦った戦神の忌々しい走狗を思い出させられて心を苛立たされる。
本来はビビュラーバは奸計・謀略を用いて相手を嵌めるのが本来の戦い方なのだ。
今は八岐大蛇の器という、埒外の存在を得たが故の過ち。リッターバイクに50CCのエンジンを積んでいるしかいないが為にその器の本来の力を出し切れていない状況に気が付けていない。
それでも……もしも、錬治が並みの戦闘能力ならば、なんとかなったかもしれない。だが、こと戦闘という一点においてならば、その才能は間違いなく希代一の才といって過言ではない錬治に身体能力程度しか優位性をもたないビビュラーバが勝てる道理はなく。
「ふ、ふざけるな……私は神だぞ。神を前にして……ぶぺっ…」
錬治は容赦なく顔を踏みつけ、ビビュラーバの首を切り落とすと、髪を掴んで持ち上げる。
「ピィーピィーうるせぇよ。てめぇが神だろうが! カビだろうが! しらねぇよ。神におうては神を! 仏におうては仏を! 鬼におうては鬼を! 親におうては親を! 一切合切の迷いなく! 己が突き進む道に立ちふさがるものがいれば切り払うてのが家の流儀なんだよ!」
「この!」
急速に首から右上半身を再生させると腕で振り払おうとするがそれよりも早く蹴り飛ばされて壁に打ち付けられる。
「げほっ……己、オノレオノレ……私は力を得たはずだ! なのになのに! 人間風情が!」
再生させながら怒りにビビュラーバはその身を震わせ立ち上がる。
「てめぇは、人を舐めすぎなんだよ。たかが神風情が、神てだけでふんぞりかえってかるから、そうなるんだよ!」
「黙れ黙れ黙れ。いいだろう。どうやら本気で私を! 神を! 怒らせたことを後悔させ………うん?」
そこまで言いかけて、背後を振り向くと、壁が引き裂かれると同時に閃光が煌めき再生しかかっていたビビュラーバの左半身を消し飛ばすと同時に、今度は、矢と竹やりが、ビビュラーバの右半身を壁に縫い付けると遅れて飛んできた斧によって今度はのこっていた上半身と下半身が泣き別れにされてしまう。
「がはっ……一体今度は……なにが…」
そういって裂けた壁に目を向けると4人の人影が目に入った。
「助けに来たでありますが…必要なかったでありますかな?」
「あらあら素敵な早贄ですね。素敵なオブジェとして飾りたい」
「さすが錬治君。圧勝してるじゃない」
「えぇ、否定出来ませんが、あの不愉快な方は否定したいですね」
そこに姿を現したのは、イレギュラーズ『新田崇高』同じく『琴吹佐江』。勇者『小田勇雄』、ヴァルキリーガーデン『大塚輝美』の四名が援軍として駆けつけたのであった。
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