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【十四階層十区画】レイドバトル その10

 ~誰もがそう思う~


 大蛇と探検者の戦いは、一進一退に見えていた。だが、人には限界があるし限度もある。手の届かない範囲が生まれ、そこから被害が広がる。それこそが数という純粋な暴力がもつ怖ろしさの一端である。


 そんな中でも、錬治と銀之助は八岐大蛇の頭部の上で戦っていた。


「流石は、神話の怪物てかぁ? なぁ銀」

「そうだな。瞬きするだけで衝撃波を飛ばすとか、化け物過ぎるだろ」


 そういいながらも、衝撃波を見切り鱗の隙間から顔を出す大蛇を草でも刈るかのように刈り取っていく。しかも、激しく頭を振り回し振り落とそうとしている中で、この二人は平然と戦い続けられているだけでも異常なのだが、この場にはその事に言及するものがいない。


 その状況に業を煮やしたのか、八岐大蛇は首を大きく振るい吹き飛ばすと銀之助にターゲットに決めたのか呑み込もうと大口を開けて突っ込んでくる。


「こいつは…ヤバイ」


 さすがに、空中では咄嗟の回避は不可能。もはや必中なのは自明の理。


「銀、ちょっくらいってくるから幸によろしく《チェンジリング》」


 錬治はそういうと自分と銀之助の位置を取り換えた。


「ちょっ、お前!? このバカ野郎がぁ!」


 そういいながら、地面へと向かって落下するしかなく、八岐大蛇も興味がなくなったのか、一応、止めにと大蛇を落すがそれ以外は特になにもするわけでもなく眼下の様子をみているのであった。


 さて、600m程の高さから落とされた銀之助といえば、火の粉を爆発させその爆風を利用し、落下を軽減していた。ちなみにこれはオリジナルの魔法で《蛍火乱歩》という魔法で用途は爆発でダメージを与えるものではなく、爆風を利用して加速するというなんとも頭のオカシイ使い方を想定して作った魔法である。


「あの! バカ野郎!」


 着地点にいた大蛇を八つ当たり的に叩き潰して頭上に吠える銀之助に、ちかくで戦っていた探検者たちがぎょっととしてしまう。


「どうしたんスか?」


 そんな銀之助に声をかけたの次郎だった。


「あぁ…錬治の仲間の」

「そうっス。それでどうしたんっスか?」


 状況を聞いた次郎は、即座にイレギュラーズの面々に伝えるが全員の反応は……


『錬治のことだから、面倒になって、中に突っ込んでいたんだろうな』


 という答えに全員心配どころかまったく動じることなく目の前の敵に集中することにするのだった。


 そして、呑み込まれた当の錬治はといえば


「オラオラオラ」


 八岐大蛇の中を斬りつけながら奥へ奥へと突き進んでいった。


 そもそも錬治の真骨頂は速度と異常なまでに高い攻撃力であり、本来なら反則級に強いはずの場所を入れ替えるスキルがオマケ程度に霞むその戦闘能力である。そして、普段は周りに合わせての移動速度だが、単独になった錬治の速度は稲妻の如く八岐大蛇の体内を駆け巡り、上下左右の八岐大蛇の肉壁を切りながら、時折姿を見せる大蛇を裂きながらひたすらに突き進むのであった。

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