【十四階層八区画】レイドバトル その8
~人は抗う~
「見様見真似【螺旋拳】」
「ちょっ、調ッちそれアーシの!?」
意気揚々と戦場を駆け巡る調は、全力を出せる喜びに満ち満ちていた。
「悪いな。使わせてもらった」
「むぅ~あっ、ところで城一っち達は?」
「あぁ、外周を大回りしながら削るって言ってたな」
「ほへぇ…あっ、そういえば先生たちは?」
「そっちは避難誘導しながら外部との連携とってるって」
「先生たち影薄いし~」
「確かに……なっ!」
調と一芽は背中合わせに大蛇を駆逐していく。
一方その頃……
「ノン、なんなのよぉ~」
「アンジェリカ♪ 手を止めるな呑まれるゼ♪」
「不測的事態、絶体絶命。美人薄命」
「あら~美人薄命ていい響きね」
「やはり、ここは我が必殺の粉塵爆発で」
かつて調と次郎が激戦を繰り広げた裏暗黒美食グループの四天王が大蛇の大群に襲われながらも調理器具で戦っていた。
「【闘剣乱舞】」
「【キューブバギー:ロードローラー】」
四天王に迫る大蛇をロードローラーが踏みつぶし、飛翔した剣が首を落す。
「【スラッシュカード】【リリース】ハハハハ、これが本当の蛇花火だね」
銀色の光が大蛇に刺さると爆発する。
「【大旋風】」
大斧が空を舞い数匹の大蛇の首を刎ねた。
「救援的事象?」
「あら~助かったのねぇ」
「うーんけど、まだまだいるねぇ♪」
「ならば、調理していくぞ」
助けられた裏暗黒美食グループ四天王は、なんとか四人がかりで大蛇を一匹しとめるのであった。
そして、救援を終えた城一たちはそのまま突き進む。
「ぼたん、次の指示だ」
「えっと……」
ぼたんのホワイトブックにも変化が起きていた。
八岐大蛇――討伐率3.2%
先ほどからずっと八岐大蛇の周辺地図や救援が必要なマーカーに加えて討伐がどれほど進んでいるのかが表示されていた。
「このまま進んで大丈夫です。それにしても【オモイカネ】ですか……」
「神スキルて表示されてたよね」
「ぼたんさん、緊急です。八岐大蛇の本体の首が上を向いています。表示は?」
「えっ!? 緊急事態、頭上からの豪雨!? 被害率99%!? 回避方法は……じょ、城一さん、ここ、ここ呼んでください」
「祝詞を捧げよ? この祝詞は……ふむ、解った。美千代このまま走らせろ。我は天井にでる」
「了解や。あんじょうきばりや」
「城一さん、お気をつけて」
「うむ」
そう言って、車外に飛び出すと天井に立ち、以前ダンジョンで手に入れた朽ちた剣を垂直に構える。
――八雲立つ――
――出雲八重垣――
――妻籠みに――
――八重垣作る――
――その八重垣を――
「神技【八重垣】」
朽ちた剣は、その殻を破り、真の姿。拳十個ほどの柄をもつ剣へと姿を変え、剥がれ落ちた破片が飛び散り大蛇と戦う探検者の頭上で八角形の盾へと姿を変えると、頭上から降り注いだ豪雨の槍からその身を守るのであった。
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腰を痛めてしまい、ちょっと執筆が遅くなるかもしれません。なんとかペースは保ちたいです




