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【十四階層四区画】レイドバトル その4

 ~錬治の切札~


 錬治は駆ける、押して押して、さらに押す。


「銀! 合わせろ【電光……」

「応! 石火】」


 息の合った連携。背中合わせでありながらも、互いの死角を埋める動きが大蛇たちを切り裂いていく。


「はぁ…妬けちゃうな。【閃攻華火】」


 相馬の放った突きが大蛇の眼球に突き刺さると、パッンという、本来なら生物が放つはずのない音と共に大蛇の頭がはじけ飛ぶ。


 死屍累々。文字通りの死山血河が、錬治たちの後ろには続いていた。


「限がねぇなぁ」

「錬治、上だ!」


 頭上から大量の大蛇が文字通り降り注いでくる。


「ちっ、数が…」


 なんとか迎撃しようと構える錬治、そこに二つの影が割り込んだ。


「ヒャッハー、あちきに任せなぁぁ【血河衆合】」

「鵙の早贄て素敵ですよね【猛槍修竹】」


 血と竹の針山が降り注ぐ大蛇を貫き錬治たちを守り、さらに血の針の山を泳ぐ()()が一人。


「錬治っち惚けてちゃだめっしょっ! 【ドルフィン・ムーンサルト・キック】」


 針山から飛び出した一芽は下半身をイルカに変えており、大蛇の頭部をかちあげると


「からの《ワービスト・モード:フェゼット》。【フェゼット・ダイブ】」


 雉の翼を広げ風の爪で大蛇の首を刎ねる。


「ひゅー、流石、錬治の仲間だね」

「……関心してないで二人ともちゃっちゃっとしないさい……先いきますよ」

「幸、なんか熱くなってねぇ?」

「さぁ?」


 音もなく姿を現した幼馴染に対して、錬治も銀之助も肩をすくめる。


「……人の気もしらないで……」


 シャンと氷が擦れるような音が響いた瞬間、一匹の大蛇が開きになっていた。


「……錬治……情けない姿を見せないでください……」


 何気ない幸の一言。だが、それだけで錬治に火が着くには十分だった。


「はぁ…しゃぁねぇな。大技いくとするかな。一芽、美穂。アレ使うからな」

「はぁ!? ちょっ錬治っちアレてアレ?」

「ヒャッハー!!! ド派手に決めな」


 慌てだす一芽とは裏腹にテンションが更に上がった美穂は大鎌を振り回し大蛇を次々に刈り取っていく。


「美穂ッち下がって。舞っち! 鈴ッち! カバーリングをおねがいするしー」


 一芽は慌てて《アイスダイン》榊原舞と《ヴァルキリー》二階堂鈴蘭へと防御に回ってもらうように指示をだす。


「みんなも防御技つかうしー、錬治っちがやらかすしー」


 さらに周りにも注意喚起をする姿を横目でみながら、口元をゆがめ錬治は刀を突き出すような形で上段に構える。


「ふー…」


 ゆっくりと息を吐きだすと、錬治の体から稲妻が迸る。


「招雷」


 刀に雷が集中していく。


「【刃雷轟閃・弐式】迦禽穿孔!!!」


 突きを放つと同時に解放された電光が、大蛇と変わらないほどの大きさの龍に変わると一直線に伸びていき、その余波だけで大蛇たちを焼き切り、射線上にいた大蛇を次々に貫き。一撃で50匹ほどの大蛇を消し飛ばした。


 これが錬治の五つの【瞬閃】を昇華させて新たに完成させた5つの切札の一つの破壊力特化の迦禽穿孔の威力であった。


「ハァハァどうよぉ……」


 刀を地面に突き刺して、足をガクガクさせ肩で息をする錬治に対して


「いや、錬治ッち、ソレ。連続使用できないしー、燃費わるいのに今つかうのってどうかとおもうしー」

「……バカ……」


 周りは驚いていいのか呆れていいのか分からない空気になっていた。

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