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【十三階層二十七区画】修学旅行 その24

  ~不可思議な猫~


 暴聖が倒れる少し前。勇雄の猛攻に征喰は、その攻撃に耐えてはいたが耐えるだけで、精一杯になっていた。そもそも征喰の戦闘スタイルはカウンター型で、相手の攻撃を受けきり疲弊したところを、カウンター技の【リバース・ブラスト】で仕留めるというのが必勝の戦法なのだが、勇雄は疲弊するどころか攻撃の速度はあがり、カウンターを更にカウンターで返されていた。


(これが……勇者の力? 戦闘中の成長速度が異常です)


 確かに勇雄の成長速度は速いが、それは力の一端。思考で、動きがほんの僅か止まった瞬間、頭上から落ちてくる何かを、思わず征喰は受け止めてしまった。


「これは!?」


 受け止めたのは勇雄が振るっていた大斧。その重量は……


「おも……」


 0.5トン。普通の膂力(りょりょく)どころか上位の探検者でも持ち上げるのは困難ではあるが、それが勇雄の武器である「グラディオス」超重量の亀ガラヴィタートルの甲羅を超圧縮して作られた、頑丈さに主眼を置かれた超重量の斧である。


「これは…なんの真似を」


 斧に押しつぶされながら征喰は悪態をつき、それを見ながら勇雄は頬掻きながら


「ボクとしたことが、ちょっと熱くなってたみたいだよ。別に倒さなくても動き止めればいいと思ってね。だから君の動きを止めようと思って。君のスキルは『喰らう』スキルでしょ? そして、スキルの使用中はカウンター技使えないでしょ?」

「ぐっ」

「その斧は後でのけてあげるから、じゃっ」


 それだけ言うと勇雄は教主・安武マリのもとへと駆けるのだった。


 残る一組。怠釈と相対する充希は一進一退の戦いをしていたが…


「ヤレヤレ、みなさんのせいで私が頑張らないといけないじゃありませんか…」

「アハハハ、そんなに嫌なら負ければいいのに、そしたら休めるよ?」

「魅力的ではありますね……ですが、私だけでもなんとかなりそうですので、とりあえず貴方から始末しましょうか【スロウワールド】」


 奇妙な空間が充希を包み込むとその動きがゆっくりとなる。


「その世界では、こちらの世界よりも時間の進みは千分の一。あなたにはデバフは効かなくても空間そのものを遅くしてましったら…? あぁ、もう声も聞こえないですよね? これでサヨナラです」


 そういって槍で充希を貫いた。貫いたはずなのにそこに充希の遺体はなかった。


「アハッ、凄いアーツだったね。本当に僕が相手してよかったよ」


 いつの間にその場所にいたのか、そもそもなぜ自分の必殺の空間から抜け出たのか理解できず思わず後ずさったが…


「【シュレディンガー】」


 背後からそう聞こえるのと同時に怠釈は意識を手放すのだった。


「君は強かったよ。僕の切札をきらせたのだから。さてと佐江ちゃんを助けにいかないと」


 そういって駆けだす充希であった。


 



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