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【十三階層二十四区画】修学旅行 その21

  ~四闘~


「あらあら……やはりやはりそうなったのね。うんうん仕方がないわね」

「教主どうされましたか?」

「クスクス、いいえ、いいえ、なんでもないわ。そろそろ、あなたたちの出番が来たと思ってね」


 安武マリは楽し気に笑いながら空を見上げる。その言葉から遅れて、光の柱が次々に崩れ始め、選真教徒を守っていた光のベールが消えていく。


「ベールが消えたぞ! 全員で取り押さえろ!」


 その言葉と同時にタイミングを見計らっていた探検者たちが一斉に襲い掛かるが……


「我が妻に手を出そうとは不遜ナリ【平伏せ】」


 選真教の衣装を身に着けた大柄な人物がそう言葉を発すると全員が地面に突っ伏した。


「うそっ!? 城一くんみたいなスキル!? けど、僕には効かないよ【スラッシュカード】」


 取り押さえに入っていた充希は銀色のカードを投擲する。


「『暴聖』のスキルに抗える人がいるなんてね。【グラトニー】」


 カードの前に一人の修道服の女性が立ちはだかると口腔を開きカードを呑み込む。


「えっ、呑み込んじゃうの!? けど【リリース】」


 ボンッと低く爆ぜる音が響くだが呑み込んだ女は平然と


「かなり刺激的な味ですね」

「ゲテモノ食いだね。おねえさん」


 支配に抗い駆けつけた勇者・小田勇雄は、その小柄に似合わない大斧を振るおうとするが、


「流石は勇者ですね。暴君に立ち向かう姿は、まさにまさにです」


 その大斧を阻むように三叉の槍―トライデント―を手にした細身の男が立ちふさがり大斧を跳ね上げる。


「えっ」

「ガラアキ…モラッタ…」


 影から飛び出した小柄な女が拳を突き出し胴を狙うも


「その攻撃は否定いたします」

「させぬよ」


 城一と佐江がその攻撃を遮る。


「あらあら、《タイラント》の支配領域で動けるものが、こんなにいるなんて凄いわね」

「ふっ、妻よ。我もよもやよもやだ」


 大男はマリの肩に手を回そうとすると、


「『暴聖』教主様の肩を抱こうとしているのかしら?」


 その手を振り払い睨みつける。


「『征喰』よ。それは仕方なき事、妻を愛でるのは夫の務めというものだ」

「やれやれ、お二方とも敵は俄然であることを忘れなきよう、お願いいたしますよ」


 いつの間にかマリを守るように他の二人も並び立っていた。


「『怠釈』…仕留メソコネタ」

「『梵貂』気にすることはありませんよ。『暴聖』の支配領域で動けるモノがこれほどいるとは予想外でしたからね」


 その様子を見つめながら佐江が口を開く


「さてと、くしくも4対4の構図ではありますわね」

「『暴聖』とやらは我が相手をしよう。キャラが被って仕方がないのでな」

「では、わたくしは『梵貂』と呼ばれた方を相手いたしましょう。充希さんとは相性わるそうですし、そちらの勇者さんも合わないタイプですわね」

「僕のことは勇雄でいいよ。そうだね…えっと充希さんだっけ? 遠距離タイプみたいだけどどっちがいいかな?」

「そうだね『征喰』まかせていいかな? 相性悪そうなんだよね」

「それでは各々方一人一殺とまいりましょうか」

「いや、殺しちゃまずいよね」

「ハハハハ、そのつもりで行こうとて事だよ勇雄君」

「それでは、いくとしようか?」


 城一がそういうと全員が一斉に突撃を開始するのであった。

 

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