【十三階層二十三区画】修学旅行 その20
~ 鳴鵙 ~
激突する刃と刃が甲高い音を立てながら地面や壁に余波で斬撃が刻まれていく。
「そうろコイツはどうだ坊主。【鋸】」
間合いをとったと思ったら今度は、丸鋸を投げてくる。金忌羅。
「ちっ、<斬風>」
風の刃で軌道を逸らす。
「《縮地》」
更に間合いを詰めようとするが
「【釼冊】」
刃の柵でその動きを止める。
「よく見切ったな。普通なら串刺しだぞ?」
「何かをつくるタイプのスキルとの模擬戦はかなりあるんでね」
「そうかい、なら仕方がねぇな」
金忌羅はいつの間にか右に手にした釖を手に詰め寄って右薙ぎからのこれまたいつの間にか現れた釖を左手にもちながらの左薙ぎを振るってくる。
「鎩戯一釖流『鋏』」
胴で交差する刃を前に錬治がとった行動は前に踏み込み刃を振り下ろした。金忌羅は慌てて釖を離すがまたまた別の釖が握られており落ちる釖を弾く。
「鎩戯一釖流『鋸』」
不規則に回転する刃にこんどは刃と刃をぶつけ合い錬治の左肩に釖の峰が打ち込まれる。
「鎩戯一釖流『鎚』て技だ」
「全然一刀流じゃねぇじゃねぇか」
錬治は落ちた刀を拾い上げ刀を手に取ってみる。
「鎩戯一釖流は、戦場にある刀を利用することを想定した流派なんだよ」
「なるほどね。変則的だけど……剣術としては割と真っ当だな」
「そりゃそうだ。剣術てのは剣を刀を十全として使うための技術なんだからな。もっとも、例外なのは自顕流くらいなもんだよ。剣術に合わせた刀を拵えた流派なんてのはなっ」
金忌羅は突きを繰り出す。それを後方に跳んで拾った刀を捨てて錬治は間合いをとる。
「鎩戯一釖流『釘』」
柄を別の刀で打ち抜き刃が加速してくる。
「こいつも躱すて大した坊主だよ。どうよお前もこっち側にこねぇか?」
「断る。お前らみたいに弱い奴を狙うような連中は嫌いなんだね」
「そいつは残念だ。なら最期にオレのスキル教えてやろうか?」
「『金遣い』とかだろ? 効果は金偏を付けたものを半径5mで作り出される的なものだろ?」
「へぇ~なんでわかった?」
「あんたの作ったものは全部、金属製。それに状況に応じたものを次々に出してたからストックするタイプのスキルじゃなくて作るタイプだとおもってね」
「くっくっく可愛げがない坊主だよ。だが、正解だ。【釼々郷豪・戦場ヶ原】さぁ、最終局面お前はどうするよ」
夥しいまでの刀剣の数々見渡す限りに刀がまるで墓標のように地面に突き刺さっている。
「鎩戯一釖流『鏖』」
夥しい数の刃の質量で錬治を圧殺しようと迫る。
「あんまり使いたくないが、しかたないか《チェンジリング》」
錬治がスキルを発動させ先ほど捨てた刀と場所を入れ替える。
「なっ!? なんだそのスキルは!? なぜそんなスキルが」
「【瞬閃・四式】天斬」
錬治は刀を鞘に納めたまま、いっきに振り下ろし突然の出来事に反応が遅れた金忌羅は、その一撃をなす術なく受けると地面に回転しながら激突し弾みさらに反動で逆回転しながら吹き飛び建物の塀にぶつかるのでった。
「まぁ、死んでないだろ」
そういうと、白目をむいていろいろと垂れ流している金忌羅をその場に残して、光の柱へと向かう錬治であった。
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