【十三階層二十区画】修学旅行 その17
諏訪一芽 イレギュラーズ。スキル《ビースト》をもつギャル格闘家
~ 龍闘奮迅 ~
光の柱に向かう一芽の前に立ちふさがったのは赤い色の短髪で半裸に近い恰好をした男だった。
「女、それ以上進むのなら容赦はしない。立ち去れ」
「あ~し~、あの光の柱が用事あるし~」
「そうか、俺は十二聖の一人。傲龍」
「あ~しは、イレギュラ~ズの諏訪一芽。通してもらうし~」
互いにゆっくりと歩いて近づき、互いに右の正拳突きをぶつけ合い、弾き跳ぶ。
「ほう、その技…誰にならった?」
「駄菓爺だし~」
互いに手を振りながら距離を測り合う。
「……その駄菓爺てのは片目がなかったろ?」
「なんで知ってるし~?」
「その爺から片目を奪ったのは俺だからな。説教臭い爺でうるさかったから稽古の途中で片目えぐってやったんだ。そしたら、翌日には道場締めてどっかに消えたと思ったら…こんなガキに螺旋拳を仕込んでいたとはお笑いだぜ」
「あんたが放ったのやっぱり螺旋拳か~…駄菓爺の言ってた不出来な弟子てあんたのことか~」
「不出来ねぇ。ならその不出来な弟子に片目持ってかれた爺なんなんだろうな?」
「知らねぇし、けど、駄菓爺をいじめたヤツを見つけたら、ぶん殴るて約束してたし~だからぶん殴ってやるし!」
「そう……かい!!}
互いの間で何かがはじけた瞬間、一気に駆け出し繰り出される拳と拳が空を穿ち、蹴りと蹴りが空を裂く。
「ほう、やるな」
「あんたは大したことね~し」
「いうじゃないか」
傲龍が突き出した手刀を肘打ちで打ち払いながら間合い詰めて放った一芽の膝蹴り踏み台にして後方宙返りで間合いをあけた。かと、思えば着地と同時から放たれた跳び後ろ回し蹴りは一芽の頭があった所を狙うが、その時には頭なく逆立ち状態の一芽から顎めがけての鋭い蹴りがガンという鈍い音とともにヒットした。
「やるじゃないか、ガードしたがかなりいい一撃だったぞ」
「喰らっておいてかっこつけるなし~」
「いうじゃないか、だがこれはどうかな?《ドラグーン》」
傲龍が腰を落して手をパンと合掌すると全身が鱗で覆われ背中には蝙蝠のような翼が現れ瞳は爬虫類の目のように変化していく。
「これが俺のスキル、竜人化ともいうらしいが」
「は~まさか似たようなスキルとはおもわなかったし……《ワービスト》【黒獅子】」
一芽は、獅子の鎧をまとった姿へと変わる。
「龍と獅子の戦いこれはまた面白いな」
不敵な笑みを浮かべて傲龍は無防備に突進してきたかとおもうと勢いよく回し蹴りを放つが一芽は余裕でそれをバックステップ一回で躱す。が、遅れてやってきた太い尻尾が胴を捉えて後方に大きく吹っ飛ぶ。
「この程度で終ってくれるなよ?」
「べつにおわらないし~、それに今のは後方にとんだし~」
ターン、ターンと軽くステップを始める。
「それに今のでわかったし~あたん、自分よりも強い奴とあんまり戦ったことないっしょ?」
「確かに俺よりも強いやつなど滅多にいないからな」
少し満足そうに答える。
「ちがうし~意図的に強者と戦うの避けてるっしょ。あんたは戦うのが好きじゃなくて、弱い奴をなぶって強者として振舞うのが好きなタイプッしょ」
「……ほういうじゃないか……」
「じゃー第二ラウンドいくし【金獅子】」
一芽は雷を身に纏い構えるのであった。
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