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【十三階層九区画】修学旅行 その6

【十三階層九区】修学旅行 その6


「戻ったし~途中で次郎くんに任せたから大丈夫し~」

「了……」

「美穂ッち、うちら少しは成長できたのかな?」

「うん……今度は守れた……嬉しい……」


 一芽と美穂は数年前にスタンピードに巻き込まれたことがある。その時、たまたま近くにいた高校生の探検者によって命を救われた。高校生たちの命がけの活躍によって助けられた。それが一芽と美穂が探検者をめざした理由である。


「二手に別れて動く?」

「うん……そうする」

「じゃー光の柱を目指してがんばるし~」


 二人は別れて光の柱を目指すのであった。


 ――――――――――――――――――――――――――――――


 避難所となったパーティー会場では、続々と避難の為に人々が集まって来ていた。


 そして、防衛用に築かれた7つの砦の一つに上に立った崇高は散発的に襲ってくるモンスターを狙撃していく。


「限がないでありますが、まだまだ行くでありますよ」

「収容人数が200人を超えたと記録しました」

「むぅ~僕はこんな楽しくないこと嫌なのに!!」


 ぼたんは、収容者の観測を充希は誘導と見張りを務めて奮闘している。美千代は【セブンフォートレス】による消耗で動けず、岬は砦の内側での誘導を、城一は指揮をとっているなど避難所でも獅子奮迅の活躍をするイレギュラーズの面々であった。


 ――――――――――――――――――――――


「はぁ…なんでこうなったんスかね…ちょう面倒っす」


 次郎の前には、タンクトップ姿のスキンヘッドの大男と腕に多くの輪っかをつけたパンクロッカーのような細身の男が立ちふさがっていた。


「ふん、魔蝶。こやつは拙僧の獲物ぞ」

「あん? 泥海。そいつはねぇだろうよ。早いもん勝ちでよっ」


 魔蝶と呼ばれたパンクロッカー風の男は腕輪を外すと、男の周りをクルクルと周り始める。


「くらいな! 銀蝶!」


 腕輪は回転を始めると不規則な動きと共に次郎に襲いかかる。


「おっとッス」


 四つん這いにしゃがんで避けるも追尾するように襲ってくる。


「ヤバイッス」


 後方に跳ねて追撃を躱す。だが、攻撃は終わらなかった。着地ギリギリのところを狙ったかのように今度はスキンヘッドの男が拳を振り下ろす。


「【シャドーコピー】っス」


 分身を作り出すと蹴り飛ばさせ3メートル程吹き飛ぶなんとか躱しきった。


「【泥泥大湖】」


 スキンヘッド男が殴った地面が泥に代わり泥の波が次郎を襲う。


「〈ボム〉っス」


 爆発の魔法で泥を弾く。


「よもや防ぎきるとは…」

「雑魚にしてはヤルジャン」


 次郎は態勢を立て直し向き合う。


(面倒っスね.能力はいくつか予想はつくっすけど…時間もないから手早くやるしかないっスかね。はぁ~全力はいやなんすけど……周りには誰もいないし()()()いくっスかね)

 

「【シャドーコピー】×4っス」


 分身を四体を作り出す。


「本当は全力でやりたくなかったッスけど今回はしょうがないっスよね」

「はぁん、そいつがお前のスキルかただ分身を作るだけのスキルてわけかよ!」


 腕輪を飛ばして攻撃を仕掛けるが……


「なるほど、スキルは《マグネット》っスか磁力を使って操る能力てところっスね」

「なっ!?」


 種も仕掛けもわかれば、対処は可能、微弱な磁力で軌道を変える。


「【泥化】」

「おっとそうは、させないっスよ。<レッサー・ウォーター・ワールド>」

「ぐぬ」


 美穂の<ウォーター・ワールド>の劣化版ではある為に大きな水たまりは作れないが、水たまりを作るだけでスキンヘッド男は苦い顔をする。


「《マッド・コントロール》っスよね。触れた土を泥に変えたり操るスキルっスね」

「なに…」


 次郎のスキル。《デッドコピー》は相手のスキルを劣化させてコピーをするスキル。つまり、スキルの効果をしる事ができるスキルである。


 探検者にとってスキルを知られる事は手の内を知られる事。情報というアドバンテージを制することができるのが次郎の強みの一つである。


「〈ファイアボルト〉っス」


 火球を泥海に打ち込む。


「ちっ、なにやってんだよ!」

「あんたもっスよ」

「なっ!?」


 いつの間にか接近した次郎二人が殴り飛ばす。


 次郎は派手な立ち回りせずに、魔蝶と呼ばれたパンクロッカー男には接近戦を泥海と呼ばれたスキンヘッド男には距離を取っての立ち回る。


 一見地味に見えるが危なげなく、次郎が追い詰めていく様は詰将棋そのものであり、二人を徐々に疲弊させていく。


「俺っちは一番を目指してはいないっスからね。あんたらと力くらべ技くらべもする気はないッス。確実に仕留めさせてもらうッスよ」


 油断も、手心も、慈悲も、傲りも一切なく。ただただシンプルに打ちのめす。

 

 それが、異常な凡庸。それが赤城次郎という存在である。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


次郎、派手な技はないですが、地味に最強です。

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