【十三階層七区画】修学旅行 その4
【十三階層七区画】修学旅行 その4
「この!」
「フン!」
「ゲフッ……」
錬治たちに襲い掛かった双子、エルとアルは錬治に完全に手玉に取られていた。今も錬治に攻撃を躱され綺麗にわき腹にミドルキックが入っていた。
「さてと、いろいろと聞かせてもらおうか?」
「だれが…お前なんかに」
「そうだそうだ」
「アハハハ、ダメだよ。君たちは既に負けてるんだからさ」
「えっ?」
ゴキッ――
「うわぁぁぁぁぁ」
「エル!?}
いつの間にか背後を取っていた相馬が、腕を折った。
「うるさい…なっ!」
のたうち回るエルの頭を蹴り飛ばすと、白い塊が飛び出すのを錬治と銀之助の目で捉えていた。
「はい、拷問……じゃなくて質問タイムです。ハイかイエスが君に許された回答です。答えないと彼…えっと……エル君が酷い目に合うのでしっかり回答してね」
「おい、銀、お前…友達は選べよなぁ」
「お前も似たようなもんだろうが…」
「ふざけるな!」
激昂し殴りかかろうとするアルではあったが、
「あら、よっと!」
銀之助が足を払い、転んだところで
「ついでに、膝を砕いておくかぁ」
錬治が、膝を踏み砕いた。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ」
「お前もえげつないな」
「そう言いつつも、お前も手の甲くだいてるだろぉ?」
この三人に容赦という言葉はなかった。
容赦ないO・H・A・N・A・S・H・Iにより気骨まで折り、情報を聞き出した。
7つの柱には、最高幹部の十二聖の上位7人が配置させられており、さらにその配下の二十四将が配下を率いて選別を行っている。ちなみにエルとアルは二人で一将の双星と呼ばれているという痛々しい情報も得た。また、モンスターに襲われないのは聖印にそういう効果があるらしいので、とりあえず縛り上げて放置して錬治たちは駆けだした。
「それにしても選別ねぇ…胸糞わりぃ」
「ハハハハ、まったくだよね。ところで十二聖とか痛々しい連中は強いのかな?」
「さぁ? けど、戦ってみたいねぇ。うん」
「相性が悪かったけど、錬治が戦った、あの二人もそれなりだったから期待はしていいんじゃないか?」
かなりの速度で走っている錬治たちは、会話を続けながら途中で見つけたモンスターをきり伏したり、モンスターと戦っている探検者を援護し、パーティー会場だった場所が避難所になっている事をしながら突き進んでいっていた。
「錬治…」
「なんだ銀?」
「先に行け、右前方にでか物、かなりの大物がいやがる」
「はぁ? お前なに楽しもうとしてるんだよ」
「バカ、大型のモンスターなら俺のほうが相性いいんだろ?」
「ちっ、わかったよ。その代わり一番の大物は俺がもらうからなぁ」
「ハハハ、ちょっと待ってよ、ボクも狙ってるんだからさ」
「なら早い者勝ちだな」
「了解と、銀くん任せたよ」
「直ぐに追いつく」
そういって銀之助が向かった先にいるのは3メートルほどの鎧を身に纏ったモンスター、大鬼武者・紅蓮牙乱が大暴れしていたのであった。
銀之助と別れた錬治たちが進んだ先に広がっていたのは異様すぎる光景であった。無残な姿にされた人々が、バラの蔦に吊り下げられ口にバラが一輪刺されている悍ましい光景が広がっていたのである。
「バラは美しいとおもうわないか? 醜く生きる価値のないゴミどもにも価値を与えてくれる。これで彼らも人生の勝ち組だね。まぁ、もう死んでるけどバラを活ける価値がでたんだ素晴らしいことだね」
きざったらしくバラを加えた長髪の男が錬治たちの前に立ちふさがる。
「ねぇ…一つ提案なんだけどさ…こいつボクにやらせてよ。大物はおしいけどさぁ…ガマンできそうにないや……」
「わかった。任せるけど…」
「あぁ、安心してよ生まれたことを後悔させてやるからさっ」
相馬が鞘で殴りかかりそれをバラの蔦で受け止める長髪男
「無作法だね。一応、名乗らせてもらうよ。僕は二十四将の一人『薔薇』のイバだよ」
「京都剣心組、三番隊組長の沖田相馬。ボクは君みたいな奴が一番きらいなんだよねっ」
「ふっ、それは残念、君は僕のほどでないけどなかなかに美しいのに惜しい」
「いってろゴミ野郎。けど、一つだけ感謝するかな『俺に構わず先に行け!』ができたからね。フフフ」
二人が激突するなか錬治は光の柱へと駆けだすのだった。
そして、錬治たちが見た光景は、他の場所でも繰り広げられていた。
「くそ…お前らなんでこんなことを……」
「選別だよ選別。神に選ばれなかった連中を間引いて遂行な使命なのさ」
ここでも、それは変わらない。探検者チーム『ベロ・グアルディン』のリーダーの岩堀良助は、仲間を、そして、逃げ遅れた子供たちを庇い満身創痍でありながらも必死に庇っていた。
「いやぁがんばるねぇ。うん、感心感心。選ばれなかったのに……がんばるねぇ。感動でまた手元が狂うかな狂うかもな」
いやらしい笑みを浮かべた男が投げた太い杭が右肩を穿つ。
「おぉ神よ申し訳ありません。いくらゴミとはいえ私の慈悲の心がついつい手元を狂わせてしまいますぅぅぅ。ふむふむ、おお、流石は神、なんと慈悲深きお言葉この『征杭』感激の涙がとまりません……」
芝居掛かった口調とオーバーアクションで杭を構える。
「まずは、その後ろのゴミを処理してから、無力な自分を悔いながら殺してやろう」
無数の杭が、流星のように降り注ぎ、襲い掛かる。
「や、やめろぉぉぉぉぉお」
良助は絶叫するが体がもう動かない。無常に降り注ぐ杭に、なすすべはなかった。良助には
「【風牙】」
突如、巻き起こった風の牙が杭を砕き、二人の少女が舞い降りた。
「美穂ッち。お願いするし~」
「……うん、一芽ちゃん……3分ほどお願いね」
「君たちは…」
「……ないすふぁいと……すごくカッコイイ」
困惑する良助を尻目に、怯えている子供たちの頭をなでながら
「……絶対助ける…【エリア・ブラッド・ヒール】」
美穂が治療を始める。
「よくもよくも、私の杭を、許せません許せませんね」
「しらねぇ~し」
一芽が睨みつけながら構える。
「ふぅ…少し熱くなりましたね。いけません。いけません。お前たち」
征杭が指を鳴らすとゾロゾロと同じ白装束の男たちが姿をあらわす。
「お前たち、あの生意気なメスをわからせて差し上げなさい。自分がどれだけ愚かなのかをね」
「「「「「ハッ」」」」」
そう短く答えると一斉に一芽へと襲い掛かる男たちであった
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