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【十三階層五区画】修学旅行 その2

【十三階層五区画】修学旅行 その2


 久しぶりの幼馴染との再会に喜んだ錬治ではあるが、相馬と共に正座をさせられていた。


「君たちね。こんな往来で暴れたら危ないじゃないか。そもそも錬治くんなら、もう少し穏便に済ませられたのに、何アーツまで使って暴れてるの。ボクが止めに入らなかったら、取り返しのつかない事になっていたかもしれないんだよ」


 怒っているのは愛らしいという言葉がよく似合う人物。


「まったく。銀くんの方は大分、大人しくなったみたいだけど」

「いやーついな。でも、会長が止めに入ってくれてよかったよ」

「いや、ボクもう会長じゃないからね」


 止めに入ったのは、日本の勇者、小田勇雄。勇ましい名前には似合わない程小柄で一見すると美少女と誤解される事がよくあるが、れっきとした少年であり、錬治が通っていた中学校の生徒会長である。


「まぁ、その相変わらずだよね。その性格」

「会長は……相変わらずにカワイイ容姿だよな」

「むっ、ボクも成長してるんだよ。今は月一くらいでしかティーン向女性誌のスカウトされないんだぞ」

「そ、そうか」


 怒っている姿すら可愛く見えてしまう。それが勇者・小田勇雄である。


 式典への集合時間の間に会話を楽しみつつ、全員でいろいろと回ることになった。その光景だけならごく普通の高校生といっていいかもしれない。存在感は異様と言ってしまえばおしまいだが……


 さて、本番の式典はと言えば、総理大臣の挨拶に始まり、お歴々のありがたい(退屈な)話を終えての食事会となった会場は、まるでコスプレパーティー会場といって雰囲気である。


「それにしても統一感ないっスね」

「素材やそれを加工するコネの発表会でもありますね。地域を代表するからでしょう。みなさん良いものを揃えてらっしゃいますね」

「そうだね。作りも丁寧だし、あれ古い工業ミシン使ってるね」

「? 古い? なんで?」

「工業ミシンてパワーが違うんだよ。ぼたんちゃん。最新のミシンだと細かい調整はできてもパワー不足になりやすいからね。だから個人で防具作成をしている職人さんが結構探してるらしいんだよね」


 個性豊かな装いはばかリの中、特に錬治は傾いたというか和装と洋装が混じり桜色の着流しを片方だけ羽織ったというな新衣装は、わりと目を引いていた。


「ケケケ、それにしても総理大臣て大変だねぇ」

「うむ、これだけの人数と握手したり挨拶したりと苦労が絶えないな」

「あぁ、ありゃめんどくさそうだがぁ顔色一つ変えないでにこやかにては、感心…うん?」

「どうした錬治?」

「なんかヤバイ気がする…城一、崇高、一芽とでまわりを警戒してくれ」


 その言葉の直後、派手な爆音が周囲から響くと同時に七色の光の柱が立ち上った。


「なんだありゃ?」


 混乱するなか周りが一気にざわめきたち、光の柱にほぼ全員の意識が一気に向かう。


「大友覚悟!」


 白装束の男が総理に向かい凶刃を振るう。一瞬の意識がそれた奇襲によりSP達も反応が遅れ刃が届くと思われた瞬間――


「やらせねぇよ」


 回し蹴りを錬治が叩き込み、更に後ろからも襲い掛かってきた同じ白装束の男二人の一人をもう一人の男に投げ飛ばしそのまま蹴りをいれた。


「アラアラ、失敗かしら失敗かしら? クスクス残念残念」


 どこから現れたかわからないフードを深くかぶった女が人を小バカにしたような声で楽しそうに告げた。


「愚かで愚かで哀れな哀れな皆様。私は選真教の教祖『安武マリ』これより神託を告げますます。七つの光の柱はそれぞれ迷宮が現世を侵食してきております。やがてこの周辺を呑み込み神が降臨され選ばれし者は新世界へと導かれます」


 中空に大きなマリの映像が浮かび上がると、周囲の視線が一気にあつまる。


「さてさて。ルールは公平でなくては儀式となりません。ですので皆様にチャンスを差し上げましょう。一つ、これは簡単です選真教へと入信する。そうすれば救われます。二つ、光の柱には、教団のシンボルがあります。それを全て日没までに破壊すれば浸食はとまります。こちらはお勧めしませんけど」


 余裕たっぷりとした構えをとるマリに対して、迫る人影が複数


「ケケケ、てめぇをこの場でぶちのめすてのがワイの回答や!」

「気に入らんな」

「……先手必勝」

「悪即斬……」

「あらあら、野蛮ですねですね。ならこうしましょう〈サンクチュアリ〉」 


 光のベールがマリを中心に広がり同じような白装束を纏った男女がベールの中に入る。

 

 そして、光のベールが全員の攻撃を阻んだ。


「フフフフ、この光のベールは7つの柱と連動してますの。それにそろそろですかね? 私たちに構っている暇はないと思いますよ」


 そう言うと、空に羽の生えた小悪魔(インプ)や飛行モンスターが襲撃をしてきていた。それに対して何とか対抗しているが苦戦を強いられている。


「まずいな。美千代、力をかしてくれ」

「どうするんや城一?」

「合成アーツで防衛陣を張るぞ」

「了解や」


 城一が主導で動く


「我が領域に求めるは砦、七星七門を閉ざす城塞を築かん【セブンフォートレス】」


 《ドミニオン》と《ボックス》による大技で七つの砦が築かれた。


「聞け! こちらで砦を築いた! 作戦を伝えるから協力をしてほしい!」

「フフフ、楽しい楽しい儀式の始まり始まりですね」


 若き探検者と狂信者との戦いが幕を開けるのであった。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


修学旅行名物のテロリストの襲撃は修学旅行あるある

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