【十二階層二区画】日本震撼
【十二階層二区画】日本震撼
その報告が総理官邸に届いたのは夕方であった。
「これは…どういう事か誰か説明を頼めるかね?」
「総理…その見たままです」
「そうだな。うん…どうしてこうなっているんだ?」
現総理・大友康弘は、防衛省大臣・常世公則に説明を求めた。
「まず、統一朝鮮からの宣戦布告がなされ緊急防衛を発令。監視衛星により動向を確認していたところ…」
「ところ?」
「どうやら、旗艦である『独島・改』が何らかのトラブルにより漂流、さらにいくつかの護衛艦などが操船を誤り衝突し炎上。その際に搭載していたと思われる火器が暴発し炎上が拡大し転覆。その船を回避するために後続の船が回避行動をとり互いに正面衝突し被害が連鎖的に拡大したと思われます」
「うん、そうだね」
「更に、運悪くなのか…日本海ダンジョンの浸食領域へと漂流した結果…」
「なるほどこれか…」
画面に映し出されているのは、巨大という言葉すら陳腐に思えるほど海を泳ぐ山が、次々に軍艦を呑み込んでいく。
「このモンスターは…」
「個体名はリヴァイアサンですね。海で確認されてる海の五大モンスターの一体ですね」
「五大モンスター?」
答えたのは迷宮省の東屋芳樹だった。
「現在確認されている最大級のモンスターです。他にメガロドン、アイランド・タートル、ヨルムンガルド、アルプス・ケイトゥスがいます。資料はこちらです」
五体のモンスターの概要が書かれた資料に目を通した。
・リヴァイアサン:超大型の怪魚。リュウグウノツカイにも似ているが大きさの全容は未だに不明。日本海や東南アジアなどでの目撃情報あり
・メガロドン:大型のサメ。主にオーストラリア近辺での目撃情報が確認されている。五大モンスターの中では最小サイズではあるが、それでも一都市なみの大きさが確認されている。
・アイランド・タートル:大型の亀。動く島とも呼ばれる。気性は温厚ではあるが、その背がダンジョンそのものになっており、太平洋を回遊している。大きさは、少なくとも佐渡島よりも大きいことが確認されている。
・ヨルムンガルド:大型の蛇と予想。北極海で胴体の一部が確認されているがその全容などは全て不明。北極圏のシーレーンが使用不能になっている原因。
・アルプス・ケイトゥス:大型のクジラ。地中海周辺で確認されている。周囲をダンジョンへと浸食する能力があると予想されており、スエズ運河を拡張し紅海へと泳ぎ着いたことが確認されている。
「なるほど…しかし、これはどうすべきか?」
「一応、国際社会には訴える必要があるとは思います。まぁどの国も,いまだに国内が安定しない国が多いので批難などはないでしょうが、モンスターを使って攻撃したなどと言いがかりをつけられては困りますので」
「そのあたりは外務省に任せよう。はぁ~それにしても、仕事を増やさないで欲しいものだ」
「そうですね。総理」
「さて、この際だ他にも喫緊の議題を処理してしまおう」
「はい。今年の出雲例大祭に合わせての式典につきましてですね」
「うむ」
日本に迫る危機はある意味で去ったがモンスターの脅威を改めて認識した日本政府は、それに向けての対策を練るのであった。
そして、今回の進軍により大多数の兵力を失った統一朝鮮民主主義人民共和国に対して中国北軍が侵攻を開始し、第二次朝鮮戦争が巻き起こるのであった。
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