【十一階層八区画】因習の根
今年最後の投稿になります。
【十一階層八区画】因習の根
田舎道を走る車の中
「光太郎。学校は楽しい?」
「ケケケ、そりゃ楽しいぜ。城一てのは、凄い偉そうだけど仲間思いの良い奴だし、岬てのはクールな感じだけどわりと可愛いものとか好きな奴だな。充希は、フワフワしていて空気読まないけど、面白い奴だ。崇高はきっちりしていやがる凄い奴だし、佐江は滅茶苦茶おっかない。一芽はギャルぽいけど意外と家庭的だな。美穂は美味そうに飯を食う姿は見ていて気持ちがいいな。源治は、口数少ないけど、機械の整備をしてくれたりと助けられてる。ぼたんは、細かい記録取っててくれるから助けられてるな。次郎は細かい雑用とか率先してくれるし、調は、本当すげぇはずなのにやる気ださない勿体ない奴だな。美千代は、交渉は見たことあるけど鬼だったな。そんで、錬治こいつは最高。ワイとまともな殴り合いしてくれる奴なんて初めてだったぜ」
車中のなか光太郎が学校での事を饒舌に話す姿に、両親はその姿に満足していた。
「しっかし、あの婆さん達と顔合わすの面倒くせぇ」
「すまないな。少しの間の事だから我慢してくれ」
「ケケケ、親父。あきらめろ。ワイが大人しくしているわけないやろ」
「威張る事じゃないでしょ」
光太郎の父方の実家は、田舎の豪農と家系であるが、祖母と伯母は強欲、傲慢であり、お伽話の意地悪な継母と幼少のころは光太郎は思っていた。
父の実家につくと結構な数の車が既に停まっており、県外ナンバーもあることから親戚もかなり集まっている。
とりあえず、上座でふんぞり返る祖母と伯母に挨拶を済ませると、光太郎の母は、台所にいる他の叔母たちの手伝いに、父は親戚につかまり酒の相手をさせられていた。
光太郎はといえば
「ケケケ、こいつをもっていきゃいいんだろ?」
「まぁ、光太郎君ありがとうね」
重いビールや焼酎をヒョイヒョト運びながら手伝いをしていた。
「フッ、自分から下働きとは、立場が分かってるじゃないか」
「あっ? 冬場なのにここには蚊がいるのか? ブンブンとうるせぇな」
「なっ…お前…」
「ケケケ、なんだ月彦か、あんまりにも存在がちっぽけ過ぎて蚊かとおもったじゃねかえか」
声をかけてきたのは、従兄弟にあたる藤堂月彦であった。月彦は光太郎と同じ年どころか同じ生年月日という事で親族の間でも何かと比較される存在である。ちなみに細見のインテリといった雰囲気の少年である。
「ふん、まぁいい。それより最近はどうなんだ? どこぞの田舎高校にいってるそうだがレベル20は越えたのか? あぁ、答えなくてもいいぞ。どうせ雑魚しかいない無名のあつまりだ15に達しているかどうかの底辺どもの集まりだろ?」
「ケケケ、なんだ喧嘩売ってんなら、ちょっと待ってろ」
「はっ?」
首根っこを掴むと、そのまま引きずるようにしながら庭へと出た。
「ケケケ、ここならいいだろ」
「ふっふざけ…」
抗議しようとした月彦に強烈なボディーブローが突き刺さる。
「あぁん? てめぇ、ワイのダチをこけにしてタダで済むと思ってんのか?」
先ほどまで食事をしていた月彦は思わず吐き出してしまうが、光太郎は、とまらない。
「くっ、舐めるな!《リフレクト・ムーン》ハハハ、こいつは相手の能力値の半分を俺の能力値に加算するスキルなんだ! これでもうお前は俺に勝て…」
「ケケケ、そいつは不公平だねぇ」
「くたばれぇぇぇ」
月彦が突き出した拳を受け止めると、そのまま投げ飛ばした。
「ケケケ、その手のスキルは、ワイには意味ないんよ。さぁ、続けようか?」
「ま、まて…」
滅茶苦茶にぶちのめし、ついでに伯母が自慢していた、高級外車に月彦を叩きつけて一通り暴れた後、両親に連れられ慌てて帰ることになった光太郎は、途中で止まったホテルで正座をさせられ母親に一晩中、説教をされるのであった。
ちなみに壊した高級外車は、グレードを上げたものを一括で購入して送りつけた光太郎であった。
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