【十一階層七区画】賑やかに過ごす面々
【十一階層七区画】賑やかに過ごす面々
探検者協会対戦式修練所。別名『闘技場』この設備は、最近になって完成したVR技術を導入した仮想世界での戦闘を可能にした最新設備である。
その仮想世界にて…
「なんでこうなったんや…」
イレギュラーズ・資材調達及び会計担当である、六角美千代は、三人の対戦相手を前に立ち尽くしていた。
「オーホッホッホッ 怖気づきましたの? それなら三遍回ってワンと鳴いたら許してあげないこともなくってよ」
「あぁ、めっちゃ面倒やわぁ…相変わらず嫌なヤツやな麗子…」
「あんたこそ相変わらず生意気ね! …どうやら痛い目に合わせないといけないわね。英子、椎子。いくわよ!」
「「はい麗子さん」」
六角美千代と麗子と呼ばれた足利麗子は、中学3年間を共に過ごした間柄ではある。が、美千代は学内では成績優秀でスポーツ万能、人当たりもよく、陰キャ陽キャなどの学内カーストをぶち壊す勢いのコミュ力を発揮して、人気を得ていたのに対して、優劣をつけてマウントをとる軍団(美千代命名:マウンティングゴリ団)の中心にいた麗子には、目の敵にされていた。
そんな二人が、帰郷の際に美千代と特に仲の良かったメンバーとプチ同窓会もかねて探検者協会に来ていた際に鉢合わせ、因縁と喧嘩を売られて闘技場で戦うことになったのが流れである。
しかも、なぜか3人を同時に相手するという理不尽な状況で。
「はぁ…面倒や…直ぐに終わらせたるから、かかってきいや」
「むきぃぃ、行きますよ。英子、椎子」
それぞれが武器を構えて一列に並び駆けだす。
「オーホッホッホッ これぞ、わたくし達の必殺フォーメーション! エレガントストリームアタックですわ!」
「いや、それ明らかにパクリやろ…しゃぁないな【キューブバギー】」
「えっ!?」
「覚悟しいやぁ」
そういうと急発進させた【キューブバギー】で容赦なく麗子たちを轢きに入った。慌ててばらけて、逃げようとするが容赦しない。疲れて動けなくなるまで追い回し途中でなんどか轢くも容赦なく【キューブカノン】を撃ち込みKO。
それに対して、物言いをつけてきた麗子を今度は、接近戦で、ボコボコにタコ殴りにするという惨事にいたり、三人にはトラウマが植え付けられることになってしまった。
この件に関して弁明するのなら、普段の接近戦の訓練相手が、錬治という頭おかしいバーサーカーを筆頭にした面々であった故に、自身の常識が崩壊していた結果の為である。と、弁明させていただきたい。
なお、普段の修練内容を周りに話したら、ドン引きされたのは、弁明のしようがないと思う美千代であった。
一芽と美穂の帰郷~
「う~ん、おきいぃましゅまろ~」
一芽は、美穂の胸に顔をうずめながら、涎を垂らして美穂のネグリジェを汚していった。
そんな微睡の時間を一時間ほど過ごして、昼近くになって二人とも起きてからシャワーを浴びて、一芽の実家のダイニングで遅めの朝食を食べにきた。
「二人ともお寝坊さんなのは、相変わらずね。けど、美穂ちゃんは大きくなったわね」
ゆるふわな、お姉さんが、二人を朝食を用意してテーブルに並べているところであった。
「美穂ッちの胸はあーしーが育てた(キリッ)」
スパーンと、お姉さんにスリッパで後頭部をはたかれ、一芽は頭を抑えた。
「痛いよママ」
「痛くしてるのよ」
「……おはようございます。沙織おば…じゃなくて沙織お姉さん…」
一瞬、おばさんと言おうとした、瞬間、背後に冷たい汗が流れた思った瞬間,肩をぽんと叩かれ
「いま、何か言おうとしたかしら?」
いつの間にか背後に回り込んでいた、沙織がそこにはいた。
「…いえ」
「そう、さぁ、ごはんを食べましょうね」
美穂と一芽は,幼稚園どころか生まれた時からの、幼馴染であり。両親同士の交流もあり家族ぐるみの関係である。仲良く食事を終えると出かける準備をすませて、二人である場所へと向かった。
「久しぶりにきたしー」
「……うん」
そこは献花台が、備え付けられたスタンピード犠牲者の慰霊碑。美穂と一芽は5年ほど前にスタンピードに巻き込まれ、そして、ある探検者に救われた経験がある。
だが、その救ってくれた探検者は命を落とし慰霊碑に名前が刻まれている。
「あーし、強くなったし…だからありがとうだし」
「……強くなる……もう後悔はしない……」
二人は探検者を志している。その決意は、揺るぐことなく強く刻まれるのであった。
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