【十一階層四区画】打合せ、そしてダンジョンへ
【十一階層四区画】打合せ、そしてダンジョンへ
東京は、一級ダンジョンの数は8個と日本では二番目に多い都市となっている。もっとも、二級ダンジョンに関しては日本一多い。それも高難易度で準一級といってもいいダンジョンが100個近くある。
「場所は、池袋サンシャインダンジョン?」
「えぇ、そこの13から14階層にでる。サイクロプスの瞳を集めていただきたいのですよ」
「たしか、サイクロプスて一つ目の大鬼だっけ佐江ちゃん?」
「はい、否定することなくその通りです」
調たちは、調の父親が勤める千賀コーポレーションの応接室で説明を受けていた。
「調さんの能力なら、討伐は可能なのは否定しませんよ」
「はぁ、期待が多くて辛い…」
「ははは、なんというか矢車とは、随分違うな」
今回の案件の担当となった企画営業部一課の芳賀主任は珍しいものでも見たかのように笑う。
「あぁ…一応、聞きますけど、あの人て会社じゃどんな感じなんですか?」
「うーん…何と伝えるべきか…」
「はぁ…わかりました。どうせ同期にはマウント取って見下し発言。同期や後輩の仕事できる人に仕事押し付けて手柄はかっさらう、先輩や上司にはゴマすってるてとこでしょ。あの人は人の能力を見抜くことには長けているけど、それだけで無駄にプライド高いからマウンティングとろうとするし、立ち回りだけは旨いてトコでしょ」
思いっきり嫌そうに自分の父親の事を淡々と述べたてた。
「うわぁ調くんとは、まったく似てないネ」
「そうですね。反面教師にされたんでしょうか?」
「ハハハ、言うね。なるほど、だから担当者の指定を『父の同期で父と仲が悪い人にしてくれ』なんて要望があったのか」
「…えぇ、あの人て自分よりも能力高い人を嫌いますから」
それからしばらく、調の父親の悪口大会になっていた。なお、調の父親のクズエピソードは、枚挙をいとわなかった。
「それじゃ明日は、よろしく頼むね」
「はい,こちらこそ」
帰路につく途中。調の会いたくない人物と会うことになってしまった。
「なんでお前がここにいる」
「アルバイトです」
「あぁ、探検者の短期バイトを導入するという話があったな。底辺のお前にはお似合いか」
嘲笑し見下す。
「矢車主任。暴言は控えてください」
「ちっ。芳賀。今期の成績が少し良かったからって調子乗るなよ。まぁ、その好調もこんな役立たずを使うならあっさり転落するか、よかったな役立たず。初めて俺の役に立てるぞ」
そう笑いながら去っていった調の父親の背を見送った。
「調さん。なぜ何も言い返さないのですか?」
「いいんだよ。面倒だし」
「そうですか。調さんがそれでいいのなら…」
佐江がそこまで言うとかぶせる様に
「ただ…ムカついたからとりあえず今回の案件は完璧にこなそうとは思ってる」
「フフフ、いいね僕もイラッと来ちゃったんだ。やっちゃおうか」
「大暴れですね。ちょっと楽しみです。調さんの本気が見られるのは…」
こうして千賀コーポレーションを後にした調たちは、ダンジョン攻略へ向けて準備を整えるのであった。
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