【十階層七区画】曾木の滝ダンジョン その5
【十階層七区画】曾木の滝ダンジョン その5
枝が揺れ、葉が砕けたと瞬間。木が倒れた。
「ほぇぇ、滅茶苦茶はやいしー」
ミッドナイト・パンサー・リザードは、ただ移動しただけ。それだけなのにまるで巨大な砲弾のように周囲を破壊していた。
「質量がでけぇだけはありやがるぅ。いいねぇ、実にいいぃ」
その中で、錬治は、嬉しさのあまり満面の笑みを浮かべていた。ただし、傍からみると殺人鬼にしか見えないと評されてもおかしくない笑みではあるが…
「錬治ッち、あーしーの全力に速度について来てね~?」
「あぁ、良いぜ。お前の最速なんて面白そうだしなぁ」
「じゃあ行くよ【パンサーヘッド】【タイガークロー】【ダッシュチーター】融合【キメラスタイル:砂神戦嵐】」
轟!!
一足。一芽がただ一歩を蹴っただけで、葉が砕けて砂塵のように舞い、周囲の木の樹皮は削られ、枝は砕けて塵となり果てた。
一芽の最速スタイル、砂神戦嵐は音速を越え、移動するだけで衝撃波を放つ。それどころか、それすらも支配下に置き、武器へと変えるスタイルである。更に、『風の爪』の力も加わりミッドナイト・パンサー・リザードと激しい乱戦を繰り広げる。
「はぁ、早いねぇ…おっとそろそろ行くかねぇ」
錬治もしっかりと構え、動きを見据える。
ブン!
ミッドナイト・パンサー・リザードは大きく尻尾を振り振り払おうとする。
「おっと、そいつはやらせねぇよ。【瞬閃・四式】天斬」
錬治のその動きに合わせて尻尾の付け根を一閃
「グギャャャャャャャ」
見事に両断しミッドナイト・パンサー・リザードはのたうち回る
「グルルルル」
何とか立ち上がると怒りに燃える瞳を錬治に向けるが…
ザシュ! ザシュ! ザシュ!
鋭い音が3回鳴り響き、ミッドナイト・パンサー・リザードの右目に三本の矢が突き刺さっている。
「狙い撃ったでありますよ」
突如現れた新たな存在に驚きながら、態勢を立て直そうと一度後方に跳ねたミッドナイト・パンサー・リザードは着地と同時に氷の上で滑るかのように転がった。
「アハハハ、君を摩擦から解き放ってあげたよ」
「崇高、充希」
「向こうには美千代さんが言ったでありますからこちらには我々が援軍にきたでありますよ」
「けど~二人で十分だったかな?」
「いや、助かったぜ。一芽決めるぞ」
「わかったし~」
一芽は、両手に風の渦を纏わせる。
「【双嵐旋爪】」
外回りに回転に二つの渦巻く風が槍のように右の前足と後ろ脚を貫く。
「はぁ――【瞬閃一式……いや違うな。こいつは…【刃雷轟閃】春雷」
錬治は、刀を鞘に納めると地面蹴り、一瞬で最高速度に達する。
そして、轟音と共に一閃。ナイト・パンサー・リザードの首を瞬断するのであった。
刃雷轟閃それは、高速移動と共に鞘の中で作り出した風の刃を炸裂せることによってえた加速力で攻撃速度を高め、さらに破壊力も兼ね備えた剣技であった。
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