【九階層九区画】川内大綱引きダンジョン VSジャイアント河馬
【九階層九区画】川内大綱引きダンジョン VSジャイアント河馬
砂煙が晴れると、そこには頭から血を流している、光太郎が錬治を庇う様に立っていた。
「ケケケ、錬治、お前は、楽しんだんだからよ。今度はワイの場合じゃないとフェアじゃないよな?」
「ちっ、仕方ねぇか。なら、任せるから、負けたらぶん殴るからな」
「ケケケ、極めて了解。さぁてと、それじゃやろうか?」
拳を構えた光太郎の、目の前には、2mを超えリングシューズとトランクスを穿いた大きなカッパを見据えていた。
「ワイは、藤堂光太郎。お前を倒す男の名前や」
「ジャイアント河馬ッパ」
以外にも名乗りを上げたカッパに驚きつつも、開幕は拳と拳のぶつかり合いから始まった。
カッパの腕は繋がっており、片腕を長く反対の腕は短くできる。それを利用しての高速の乱打。光太郎はそれを拳で迎撃しながら少しずつ、すり足で間合いを詰めていく。
「【脳天唐竹割】っパ」
突如、高速で振り下ろしたジャイアント河馬の手刀が光太郎を襲う。
「ケケケ」
サイドステップで、ギリギリで避け、一気に間合いを詰めようとする。
「【十六文キック】っパ」
前蹴りが光太郎を襲う。が、その足を両腕で掴み腹部に押し当てると内側にきりもみ状に倒れこむ。ドラゴンスクリューと呼ばれるプロレス技である。流石に片足では支えきれずにジャイアント河馬も倒れこむ。
「カパー」
「シャーこんなにゃろうてか?」
起き上がろうとするジャイアント河馬の頭の皿めがけて腕を引き絞りまるで弓を射るかのような構えで殴りつける。
「ケケケ、そーらもういっちょっ!」
「【河童落とし】」
もう一撃を放とうとした光太郎の首を抱え込むと、片足を絡め、跳ね上げながら後方に反り返るように倒れこむ。
「グゲッ」
後頭部を強打し、光太郎から苦悶の声が漏らしながらも、なんとか立ち上がろうとするが
「【三十二文河童ロケット砲】」
追い撃ちにとジャイアント河馬は、走り込みながらのドロップキックを放ち、直撃し吹っ飛ばされる。
「カッパ!」
その光太郎を見下ろすジャイアント河馬は腕を突き上げガッツポーズをとる。
「ケケケ……なに勝った気になってやがる……ここからの逆転劇…なんて燃える展開だよなぁぁぁ」
走って間合いを詰めると、低空ドロップキックで膝を蹴る。と、そのまま地面に手を着き逆立ちの要領で少し下がったジャイアント河馬の顎を蹴り上げると開脚して旋回しながらの連続蹴りを放ち、さらに腕の力だけで体を跳ね上げダメ押しと言わんばかりに、延髄に蹴りを叩き込むがジャイアント河馬もかなりタフなのか倒れない。だが、光太郎のラッシュは止まらない! 蹴りの勢いを利用しジャイアント河馬に肩車になる体制へとなると、皿に向かってエルボドロップを連続で叩き込む。
これには、たまらずにフラフラになるジャイアント河馬。
「ケケケ、さぁフィニッシュだ」
そういうと、後方へ宙返りをしながら足でジャイアント河馬の首をしっかりとロックし頭頂部を地面へと叩きつけるフランケンシュタイナーと呼ばれる投げ技。だが、光太郎は止まらない。
「もう一丁!」
さらに、その体制から腕の力で更に後方宙返りをする。
スドオォォン
と大きな音と共に砂塵が巻き上がる。
「ケケケ、いい勝負だったぜ」
埃を払いながら立ち上がる光太郎は、皿が割れ白い目をむいているジャイアント河馬へそう告げるであった。
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。




