【九階層三区画】新学期開始
ようやく新学期に入れます…
【九階層三区画】新学期開始
「ということがあったんスよ」
「ハムハム…はぁふはぁふウマウマ……」
「ケケケ、確かにうめぇなコレ」
「この美味しさは否定できませんわね。えぇ否定できませんとも」
「わたしはお代わりを提案いたしたいと思います」
教室にて小籠包たこ焼きを食べながら雑談していた。
「それでどうなったんだ?」
「あぁ食品メーカーの相談役の爺さんが気に入ってくれてよぉ。その会社で販売に向けて商品開発するらしいぜ」
「……そうか……それは楽しみだ」
「これは売れるとおもうんよ…しまった! ウチも参加して一枚かんでおけばよかったわぁ。それでおいくら万円?」
「悪くない金額だったぜ」
「城一さん熱くないでしょうか? フーフー必要ですか?」
「ふっ、我にとってこの程度の熱さなど…アッツ」
「この中はかなり熱いでありますよ。かぶりついたら危険であります」
「これ中身変えたら面白そうだよね。僕としては肉アンでもいいとおもうし」
「みつきっちそれ普通に小籠包だとおもうー」
朝からタコパが開始される教室に入ってきた右近は膝をついた。
「もう嫌だ…こいつらフリーダム過ぎるだろう」
「あっ、おはようっス先生。先生も食べるっスか?」
「もらおう…うん…美味いな」
とりあえず二個ほど完食してから立ち直った右近が教壇に立つ。
「さてと、新学期も始まるわけだが、来年は修学旅行があるわけだが…場所は既に決まっている」
少しばかりざわつく。
「ほう、それはどこだ?」
「喜べ、最終目的地は、島根県、特級ダンジョン『出雲大社ダンジョン』だ。低階層にも入るぞ」
この発表には、クラス全体が歓喜する。
「喜ぶのはいいが、他校の生徒もかなり集まるという事でスケジュール調整されてのレセプションが開かれる。その時は防具を身に着ける方針だとかでな。それなりの装備を用意しないといけないわけだ。準備のために、装備の手配が必要だと思うから、後日、面談するからな。希望の防具と素材とかの資料も用意してあるから安心しろ。それと個人での素材持ち込みも可だそうだ」
日本の探検者の防具は、かなり高品質なものが多い。元々基本技術や素材加工技術の物つくりの国である。中小企業レベルですら発展途上国、いや、並みの国家で上質とされる防具よりも数段上のものを作れる企業は枚挙にいとまがない。さらに、個人でも一級品の装備を作成できる人物もいるため、日本はいまやダンジョン装備開発の最先端といって間違いない。
「さて、これは男子全員への依頼が来ている。なんでもカーニバルダンジョンに参加して欲しいと鹿児島の探索者協会から依頼が来ている」
「まさかでありますが…」
崇高が恐る恐る声を上げた。
「おっ流石、地元だけあるな。俺もよくわからない所もあるから…新田。『川内大綱引きダンジョン』について説明を頼めるか?」
「判ったであります。不肖ながら自分が説明するであります。そもそも大本を知らないと説明できないとおもうでありますから」
果たして、『川内大綱引きダンジョン』とはいかなるダンジョンなのか全員が期待して崇高の説明を待つのであった。
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。
このエピソード書いている時に、川内大綱引きを舞台にした映画が10月末に封切りになる話をきいてちょっとびっくりしまた。
とりあえず、どんな綱引きか知らない方のために次回は解説回となります。




