【九階層一区画】爆裂!! たこ焼きバトル!
軽いネタでやるつもりが何故か、文字数が普段の倍近くに…
そして、やっぱり終わらなかった
【九階層一区画】爆裂!! たこ焼きバトル!
「ようやく決勝すっねぇ」
「……あぁ……ツッコミ疲れたな」
調と次郎のコンビは、これまでの試合を思い出し、憔悴していた。
「この大会考えたヤツなんだよ」
「なんか、TV局がバラエティーのノリで作ったみたいっすよ。ちなみにスポンサーは裏暗黒美食グループみたいッス」
「もう、そこからツッコミどころ満載だな…」
ちなみに、一回戦は油坂回転大蛸焼。油が塗られた上り坂を上から回転してくるたこ焼きを模した直径3mのビニールボールを突破するという「これたこ焼きに関係あるのか?」というツッコミから始まり、次の天空疾風蛸焼では、高さ5mの柱の上、バランスの悪い場所でたこ焼き100個を作ると、これまた「昔のバトル漫画かよ!」と調がツッコんだのも懐かしい。他にも、熱々のたこ焼きが飛んでくる橋を通り抜ける、蛸焼流星群。蛸の頭をもった謎のモンスターに襲われたと思ったら、なぜか調の前で土下座されるという(なお、スタッフも誰も知らなかった模様でカメラにもノイズが入って詳細は不明)アクシデントもあったが、準決勝で、火炎厨房たこ焼き対決で裏暗黒美食グループたこ焼き四天王の一人オクトパス南田との対決に勝利を収めたのだった。
「あんな勝ち方でいいのかよ…」
「アレは向こうの不注意っスから…結果オーライっスよ」
ちなみに、相手側が小麦粉を派手にぶちまけた為に舞い散った小麦粉に引火して粉塵爆発を起こしてのKO勝利だったが、勝ちは勝ちである。
『さぁ、いよいよ決勝戦! 4つのブロックを勝ち上がったチームはこの4チームだ!』
司会者のコールと共に決勝会場へと床がせり上がり、それぞれのチームにスポットがあたる。
『まずは、Aブロックを勝ち抜いたのは裏暗黒美食グループのフランス料理部門からゴージャス&エレガントがモットー! アンジェリカ北城が率いるチーム・ラ・ジョリ』
「オーほっほっほ、ボンジュー。優勝するのはだぁれ?」
「ほ・く・じょ・う! ほ・く・じょ・う!」
「ノン! 今日はアンジェリカの気分よぉ! だからコールはアンジェリカになさぁい」
「アンジェリカ! アンジェリカ!」
派手なおねぇキャラの登場に会場は沸く。
『Bブロック。おっとこちらも裏暗黒美食グループからだぁぁぁ! イタリア料理部門から炎東慈アズモだ!』
「チャオ! 今日もセニョリータの為に僕のアモーレをレガーロするよ」
「きゃーアズモすてきぃぃぃ」
レオタードの美女軍団を引き連れた優男が決め顔で見えを切る。
『Cブロックもなんと裏暗黒美食グループの中華料理部門からシー・フオヤンだ!』
ドォォォン
派手な爆炎と共に現れたのは不気味なお面を身に着けた怪しげな集団が姿を現す
「不不不不不、中国四千年的料理、勝利確定」
もはや怪しさしかないが、そんな空気の中
『最後に、唯一の高校生コンビ、イレギュラーズの矢車調君と赤城次郎君のコンビだ!』
今までの面々が濃かったために普通の高校生の登場に会場は困惑したが進行は止まらない。
「なんでこんなにイロモノばっかなんだよ! もう嫌だおうち帰る。おうちに帰って源治の筋トレに付き合って、錬治と模擬戦した方がまだましだよ!」
「落ち着くっス心友! それ明らかに自殺コースッス。これで最後だから頑張って優勝してたこ焼き業界を裏暗黒美食グループの魔の手から守るっす」
「いや、そもそもそのネーミングセンスどうなんだよ。なに考えてそんな名前にしてんだよ!」
「しかたがないっスよ…だって首領は裏暗黒美食皇帝とか名乗ってるんスよ?」
「ガッテム! ツッコミが足りねぇよ! クソッなんでオレ達だけの時にこんなイロモノばかりなんだよ」
「ほ、ほらお題が発表されるっスよ」
『さぁ、お題は、新しいたこ焼きです。それでは開始!』
ゴォォォン
と、大きな銅鑼が鳴りいよいよ開始する。
「フフフフ、かわいいギャルソンたち。試合に負けてもおねぇさんがあつーいベーゼをしてあげるからがんばりなさい。なんなら新しい世界の扉も明けてあげるわよオーホッホッホッ」
そういうとアンジェリカはバチコーンとウィンクをする。
「心友…全力でやるぞ。負けたらなんか失っちゃいけないものを失いそうだ」
「そうッスね。開いたらいけない門に破城槌を撃ち込まれそうッス」
『おっと、シー・フオヤン選手! 土鍋をいくつも用意しているが何をしているんだぁ!』
「適温下拵的処置」
『どうやら土鍋で、ナマコ、フカヒレ、ツバメの巣、アワビ、伊勢海老をそれぞれに調理しているとのことだ! こんな豪華なたこ焼きは確かに新しいぞ!』
「そんなのありなのかよ!」
「めっちゃ豪華っスね。けど、あのアンジェリカて人もフォアグラにキャビアにトリュフ用意しているっスよ」
「マジかよ…」
「ちなみに、アズモとかいう人はイカにオマール海老、ムール貝、亀の手、フジツボ用意してたっスね」
「えっ…亀の手? フジツボて食えるのか?」
「亀の手は見た目グロテスクっスけど、甲殻類の仲間だったはずっス。フジツボも食べられるっスよ。結構稀少な食材らしいっスよ。錬治からそう聞いたことがあるッス」
「あぁ…あいつ…いろいろ食べてるからな」
メキュメキュメキュュ
『おっと、アンジェリカ選手! 奇妙な機械で何かをすりつぶしたみたいだ! 溢れでたのは赤い液体あれは何だ!?』
「心友、あれって確かサンプレッセて道具っスよ」
「てことは、あれってアレか?」
「十中八九間違いないッス」
「へーアレが何かわかるなんて感心だね。君たち」
アンジェリカの様子を見る次郎たちに、アズモが近づき声をかける。
「なんスか」
面倒くさそうに次郎は応対するも気にすることなくアズモは陽気に話し続ける。
「ちょっとおしゃべりくらいいいだろ♪ それでアレが何かわかってるんだよね?」
「カモの血スよね。フランスの名店トゥール・ダルジャンの名物料理『鴨肉のロースト 血のソースかけ』は有名っスからね」
ヒューと口笛を吹きながら満足そうに笑みを浮かべる、調が用意していたボールを指さしニヤニヤ笑いながら
「ハハハハ、そうかい♪ところで君たちまさか、そのお米を具に使うとか? もしくは、たこ焼きのせてたこ焼き丼なんて安易なことしないでくれよ。それが気になって僕はアドバイスにきたんだからね」
と指摘する。
「余計なお世話っす」
「そうそう、おっさんも自分の料理してなよ」
「おいおい~♪ おっさんは酷いねぇ~♪ まぁ、がんばってね♪ チャオ♪」
ちゃらちゃらとしながらアズモは離れて自分の作業に取り掛かる。
『おっとアンジェリカ選手は、たこ焼きに白いシートをかぶせたが…あれはパイシートだ! どうやらアンジェリカ選手はパイ生地をたこ焼き生地に使うようだ! なんという斬新さ! おっと! アズモ選手も生地を用意したようだが灰色の生地だぁぁぁ! そして、フオヤン選手は中華鍋を熱しているがたこ焼き器は見当たらないぞ!?』
「不要…中華四千年的技法、鍋我在レ良」
そう言い、下拵えをした食材を中華鍋に投入すると白い液体を注ぎ勢いよく鍋を振るい始めた。
『おっとコレは!? フオヤン選手が鍋を振るうたびに中の具材がたこ焼きの形に!? これが中華四千年の業なのか!!!!』
「いや! そうはならねぇだろ!」
派手なパフォーマンスを決めているフオヤンの陰で調が思いきりツッコミを叫ぶ
「もう少しでできるッスね。心友焼きに入るッス」
「はぁ…任せておけ、オレ、この大会が終わったらお家でゆっくり眠るんだ…」
「それは、フラグの前振りッスか?」
なんやかんやで、調たちも完成させていくのだった。
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