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潮風薫るこの地にて  作者: 松田 業平
第一章 島の学校
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第2話 転校生

入学式が終わり、それぞれのクラスへと移動を開始する。

この学校は3つの棟があり、生徒の教室があるA棟。職員室や校長室、特別教室があるのがB棟。

電気情報科の先生の職員室、電気情報科で行う実技教室などがあるのがC棟。

今から向かう、一年一組クラスはA棟の四階。

四階あるうちの上から一年生、二年生、三年生となり、一階は特別支援学校の教室になっている。

長い階段を登り終え、教室に入ると先に行った生徒が数人ほど席に着いている。

前の黒板に書いてある席順をみるからに左の列から五十音順らしい、さ行の順番から辿っていくと左から二列目の後ろから二番目の席だった。

自分の席に着いてから周りを眺めてみる、それとなく知っている同じ中学校のやつがちらほら、他に中学の陸上大会で見た顔も数名いる。

このクラスは受験者のなかでもアッパークラスつまりこの学年でも頭のいい奴が揃っているということだか、離島の学校の生徒の成績などたかがしれている、正直どんなものかは分からない。

この学校は元々人数が少ない上多くの男子生徒が電気情報科に在籍しているために普通科のクラスの男女比率が女子の方がやや多い傾向にある。

見た感じうちのクラスは男子3に対して女子7くらいだろう。

女子がワイワイ話しているのに対し、男子は肩身が狭そうにしている。

ぼちぼち全ての席に生徒が座ってきたところに前の扉が開いて白髪の人物が入ってきた、それと女の先生も一緒だ。

「はい、静かにして。ホームルーム始めるぞ」

この先生は確か入学式の前、新入生オリエンテーションの時に説明をしていた先生だったはず。

生活指導の先生と言うが、説明をしている時はにこやかな表情でとても親しみがある人のように感じた。

「じゃあ、目のあったそこの君。号令掛けて」

「は、はいっ!えと起立。気をつけ礼」

「「お願いします」」

「着席」

「それじゃ、今からホームルームを始めるとやけど自己紹介ばせんばね。この一年一組の担任になりました野島 忠文っていいます。一年間よろしくお願いします」

島の方言を使っている人は多く大体こんな感じの喋り方をする、島での公用語と言ったものだろう。

先生の自己紹介にパラパラと拍手が送られる。

それと入れ替わりで次は女の人が壇上ヘ上がる。

身長は普通な感じなのだがあまり濃くないメイクで整った顔つきをしている。

「副担任の若松 佳代子です。陸上部の顧問をやっているので陸上部に入ったらそっちでもよろしくお願いしますね」

こちらも拍手で返す。

「じゃあ、僕らの自己紹介もしたことやけん次は君たちの番やね。出席番号順にいこうか。名前と出身校。何か好きなものとか趣味、それとこれから頑張りたいことをお願いします」

一番最初、窓際の最前列の生徒から自己紹介をしていく。

二列目の後方の席のため、そう時間が経たずに自分の番が回ってきた。

自己紹介、無難にやり過ごさなければこれからの学生生活が初めから灰色になってしまう。

慎重にしなければ。

「汐見 晶です。出身校は上五島中、趣味は読書です。頑張りたいことは陸上部に入って短距離走をしたいと思ってます。一年間よろしくお願いします」

席についてから周囲を窺うが、特に変わらず拍手が返され若松先生からは「一緒に頑張ろうね。」との一言を貰った。

変な印象は与えていないと思っていいだろう。

心の中で安堵し全員の自己紹介が終わるのを待つ、これからのスケジュールをふと思い出しているとクラスのざわめきを感じた。

俺の後ろの席の人物が席を立った瞬間のこと。

「黒崎 薫です。出身校は都内の女子中学校で今年の春に引越してきました。好きな事は犬のお世話です。これから頑張りたいことはクラスの人たちと仲良くなれればいいなと思います」

入学式で注目を集めた例の美少女、黒崎 薫。

新入生代表に選ばれたくらいだからアッパークラスの一組にいてもおかしくはないがまさか直ぐ後ろの席に居るとは気づかなかった。

「これから一年間皆さんどうかよろしくお願いします」

黒崎 薫の自己紹介にクラス中がざわめいた。

都内、ということは東京からの転校生。

加えて美人でよく見たら発育良好な体つきをしており端的に言えば巨乳だった。

そんな人物がクラスにいるとなると目立たない訳はなく教室はしずまることはなかった。

「はい、新しくこの島に来たということやけんね。仲良くしてやってな?はいじゃあ次の人」

野島先生の言葉を皮切りにそれからもスムーズに自己紹介は進んで行った。


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