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潮風薫るこの地にて  作者: 松田 業平
第二章 日常
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第16話 ハプニング

入部してから本格的に活動をし始め五月の遠征を控えた月末、あくびをかみ殺しバスに揺られて学校に向かっているが車内には俺以外乗客はいない。

なぜなら、今の時間帯は朝早く利用する人はそういるものでもないから。

その時間になぜバスに乗っているのかというと昨日、黒崎が例の会議をするということだからである。

今朝の議題については詳しくは知らせれていないため、ひとまず話し合うにしても黒崎に任せるしかなかった。

この時間の教室は相変わらず静かで物寂しい感じがする、今回も俺の方が早かったのか誰もいなかった。

この前寝過ごしたこともあったが、今度こそは黒崎も来てくれることであろうし寝ることにした。

教室のドアが開く音が聞こえた気がして目蓋を開く、その後に足音が続いて聞こえてきたのでゆっくりと体を起こした。

しかし、足音の行く先は俺の後ろではなく前の席へと遠ざかり席についた。

何かがおかしいと思ってみれば今来たのは黒崎ではなく違う誰かで、よくよく見れば俺の腐れ縁だった。

「海お前なんで・・・」

「あれ?晶じゃん、別に今日の宿題忘れちゃったから今のうちにやろうと思って」

「いや普通にお前やってんだよ、忘れんなよ宿題」

「忘れちゃったものはしょうがないじゃん、それに晶も私と一緒じゃないの?こんな時間に学校に来て」

「俺は違うし」

「じゃあなんで?」

「いやそれは・・・」

まずい、黒崎との密会まがいのこのことを知られてしまったら色々まずいことになる。

それにもしかしたらそろそろ・・・。

「おはよう汐見君、早速今日の会議をはじめましょうか」

なんで今日に限ってちょっとテンションが高いのか、後悔してももう遅くその様子はばっちり海に見られてしまった。

「えっ、黒崎さんなんで?会議ってなんのこと?」

海は困惑して俺と黒崎との間を右往左往しておろおろ。

「・・・あ、あら元浜さんおはよう、け、今朝は早いのね」

ごまかそうとしているが明らかに挙動不審、俺に助けよう求めようと目線を向けるがそれにより海の不信感はさらに高まっていく。

「はぁ、どうしてこうなった」

その状況を見て頭を抱えて絶望する俺、なんとなく三角関係が原因で勃発する修羅場ってこんな感じなんだろうなと現実逃避してみた。

それからひとまずこのカオスをなんとかするために挙動不審の黒崎から手を付けることにした。

「黒崎落ち着け、とりあえず事情を説明しよう」

「そ、そうね落ち着いたわ」

「俺の口からじゃあいつは多分信用してくれないだろうからな、頼んだ」

「そうなの?わかったわ話してみるわね」

決心した黒崎は今も放心状態の海になんとか事情を説明しようと試みる。

「元浜さん、少し聞いて欲しい話があるんのだけれど、いいかしら?」

「ふぇ?良いけど・・・」

「ありがとう、まずは私と汐見君の関係についてだけど元浜さんが思っているような関係ではないわ」

「え?それって早朝に人気のないところで会議と称していちゃいちゃするような恋人同士じゃないってこと?」

色々と妄想を膨らませていたようだが、さすがにそこまでとは思わなかった。

やばいなこいつ。

「ええ、そんなふしだらな関係では決してない、本当のところは彼にはちょっとした相談相手になってもらっていたの」

「こんな時間に?それもちょっと怪しいと思うんだけど」

「私のデリケートな問題だから誰もいないこの時間にしてるの、その問題っていうのが実は私男性恐怖症なの」

この状況では仕方ないことだ、それに同世代で同じクラスしかも同性で部活も同じときた。

思ったのだが海が黒崎に協力すれば俺はいらなくなるのでは?

「そうなの?と言うことは・・・晶!実はオカマだったの!?」

「いやちがうわ!」

俺自身も黒崎に男性恐怖症のことを打ち明けられたときに同じようなことを思ったからなんともいえないが。

「いいえ、私にもわからないけれど汐見君はまだ平気なの、でもまだ普通に喋るくらいが本当は精一杯ね」

「そうだったんだ、そっか。いやーびっくりしたよ。まだ四月なのにもうつきあってるのっておもっちゃった」

昔から天然で抜けているところはありはするものの、ちゃんと人の話は聞くからばれたところでそこまで問題はないだろうとは思っていた。

「こっちとしては理解が早くて助かるのだけれどそんな簡単に信用していいの?」

「だって嘘をつくにしたって男性恐怖症はやり過ぎだと思うし、そんな真剣な顔をみたら本当なんだなって思うよ」

それにここまでの人の良さもあってか友達も多く中学生の頃から男子にも人気があった。

やっと話がまとまりそうでよかったと安心していたのだが。

「それにこんなにかわいい女の子と晶がつきあうとかよくよく考えたらありえないしね」

「おう、よくわかってんじゃねぇか。さすがの腐れ縁ってやつだな。これでもういいだろ海」

これ以上はなにを言われるかわかったものではないため早めに釘を刺しておく。

「黒崎さんと晶のことはわかった、それなら私もその男性恐怖症の克服のこと協力する!」

まあそう言うだろうなとも腐れ縁ながら予想はしていた。

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