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潮風薫るこの地にて  作者: 松田 業平
第一章 島の学校
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幕間 ある日の部活動報告日誌

四月の出会いから少し時間が経った頃、晶達新入部員も日々の部活に馴染んできていた。

得意分野の短距離を選択した晶は、経験者というのもあり同年代の部員達よりも実力は抜きんでていた。

高校レベルのきつい練習も淡々とこなてして顧問の先生に注目されている。

黒崎はというと、運動能力は十分といえるが本格的に陸上を始めるにあたって体作りをメインとしたメニューになっている。

選択は一応奈々と同じハードルを選択したがもうしばらく時間がかかると思われる。

元浜海はマネージャーとして入部し、多くの仲間のサポートに奮闘していた。

ほかのマネージャーの同輩とはもう仲良しでプライベートでも遊ぶ仲だそう。

しかし、他の部と比べ部員も多く練習もハードなのに伴って忙しくまだ慣れていないのもあって失敗することもあり、そのたびに先輩に笑われたりしている。

そんなこんなで、充実した学校生活を送っているそんなときの一部。


「今日は、ウェイトだからなー。アップ終わったら準備してトレーニング室行けよ。」

それから、下っ端の一年は先輩よりも早く準備して先にトレーニング室に向かう、その中の一人が鍵を取りに行った。

「はあ、今日に限ってじゃん負けしたし。」

その一人こと俺、汐見晶。

遅れないように、走って鍵のある教務員室に向かう。

この学校には職員室の他にも、体育専門の先生用と、専門の電気系の先生用の部屋がある。

今から行くのは前者の方だ、そしてそこには四人の先生の机が置いてある。

一つは我らが陸上部の顧問である、小浜先生のもの。

二つ目は、野球部の顧問の有川先生。

体育主任の先生で授業の時はいつも厳しい顔でみんなを見ている。

三つ目は、柔道部顧問の天神先生。

柔道の経験者というのもあってか体つきが屈強、受け持っている部が人数が少なく俺みたいな運動ができる生徒を見つけると勧誘を忘れない。

最後は、剣道部顧問の奈良尾先生。

体育科のなかで唯一の女性だが、経歴は他の先生にひけをとらない。

この人も剣道の経験者なのだが全国大会の覇者。スポーツアニメのモチーフにもなった凄い人である。

そんな人達が集う空間に入るのは未だ新入生の俺には緊張が高まる。

だからこそ今回のじゃんけんは陸上部一年全員気合いを入れて勝負したのだが、不運にもその役目を任されたのだ。

ノックして部屋の中に入る、

「失礼します、陸上部の汐見です。トレーニングルームの鍵を取りに来ました。」

「はい。」

入ってすぐ右手に複数の鍵が掛けられており、その中から目的の鍵を探す。

しかしすでにそれはなかった。

「さっき柔道部の子が持って行ってたぞ。」

「そうでしたか。」

ここまできた意味がなくなってしまったが、まあこういうこともある。

仕方なくその場を後にすることにした。

「失礼しました。」

「はい。」

トレーニング室に行くともうすでにたくさんの生徒が準備を始めていた、そのなかには柔道部の姿もある。

「おお、晶!今日はそっちもウェイトなんだな。」

「うん、さっき鍵もらいに行ったんだけどもうなかったからお前が先に取りにいってたのな。」

この坊主で体格もよくいかにも柔道部というような風貌のこいつは一応小学生からの知り合いで名前は松田業平。

昔から体は大きく運動ができて陸上のクラブにも入っていたため足も速かった、中学からはクラブのコーチが中学の先生でその人に誘われて柔道部に入ったらしい。

それからも続けていたのか高校でも柔道をしているらしい。

「それにしても相変わらず陸上部人数多いよな、うちなんて俺を含めて一年生三人うち一人マネージャーで全体で見ても九人しかいないんだぜ?」

「まあ確かに陸部五十人近くはいるかもな数えたことないけど。」

他愛ない話をしながらトレーニングの準備を進めていく、入部してから何回かこのトレーニングをしているが慣れてきたのもあって基本的なことはできるようになった。

そんななかでも筋肉自慢の柔道とそれに張り合う投擲の選手の人たちは、おもりをこれでもかと付けて声を張り上げながら自分をいじめ抜いている。

「凄いなあれ、八十くらいか。」

「いやいや、あれは百だぜ?」

「まじか、俺まだマックスで六十位なのに。」

「俺も、そんくらい。自分の体重くらいを目標にしてるけどはずすくらいが限度だよほんとに。」

「松田の体重は?」

「うん?多分七十三かな。汐見は?」

「俺、六十六。お前中学の時より体重増えたな。」

「まあ筋トレしてたからな、デブとかじゃないぞ。」

「そうか。」

松田との会話の横目に少し黒崎の様子を見たが、基本的に男女別で先輩から指導されるので問題ないようで、今も真剣に練習をしている。

「彼女が噂の美少女転校生か。」

「そうだけど。」

「都会からこんな島に引っ越してきたんだろう?フィクションの設定みたいな人だな。」

「それはなんとなくわからんでもない。」

まだ都会からきた転校生というインパクトのおかげで、本人が男性に対して恐怖を抱いているというのは伝わっていないらしい。

「お、場所が空いたみたいだ。汐見一緒にやろうぜ、お互いに補助がいるだろうし。」

「いいよ、まずは何キロからはじめるか?」

それからは、顧問の先生が来てから松田は直々にしごかれているのと同じく俺も巻き込まれた。

結果細かく教えてもらったのもありマックスを更新できたが、代わりに次の日は全身筋肉痛になった。

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