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書きたい病に後もう少しお付き合いください3


次で終わる予定です。……多分。

 

 

「どうしてですか!!!」

 

 甲高い怒声が邸内の廊下全体に響いた。荒い呼吸を繰り返し、可憐な形相を般若の如く恐ろしいものへと変えたラリマーが睨み付ける相手は祖母。父や姉と同じ炎に燃えるような赤い髪と瞳の女性。60代を超えても衰えない若々しい白い肌に映える髪。公爵夫人として相応しい装いをした祖母――リリアネット=ヴァーミリオンは、18歳にもなって幼子の思考回路をしているラリマーを冷たく見下ろす。ヒールの高いブーツを履いている為、必然的にラリマーを見下ろす形となった。

 

 

「どうして? 言ったでしょう。スカーレットは、我が公爵家の養女として引き取ると」

「まだ見つかってもいないのですよ!? それなのにお姉様の部屋の物を全部持って行くなんて!!」

 

 

 オルグレン公爵夫妻が訪れてから数日後。連絡も無しに突然リリアネットが数台の馬車を引き連れて伯爵邸へやって来た。出迎えた息子クリムゾンに見向きもせず、速やかにスカーレットの部屋に残された家具を馬車へ運んでと指示し始めた。当然、いきなり来たかと思えば勝手に娘の部屋の家具を運ぶ母にクリムゾンは異議を唱えた。

 自分と同じ瞳に浮かんだ、絶対零度の眼差しを食らい押し黙った。彼女の瞳が全て物語っていた。今更親の面を被るな、と。数日前に訪れたオルグレン公爵夫人であるシュガーにも言われた。

 

『貴方達に親を名乗る資格は既にないの』と。

 

 アレイトはあの日以来寝込んだままで一度もベッドから起き上がれなくなった。また、本来なら魔法学院へ通っているラリマーは通学しないといけないのだが、屋敷にいないと知るとアレイトがパニックを起こして使用人達に迷惑をかけ始めた。スカーレットの失踪については、病気療養の為暫く領地へ移ったという説明が魔法学院ではされている。ラリマーが魔法学院へ行かないよう仕向ける手間が省けたとリリアネットは内心溜息を吐いた。

 

 

「ああ、そこの貴方」

「はい」

「カーテンや服を先に運んで。ベッドやクローゼットは置いて行っていいわ」

「分かりました」

「お婆様!」

 

 

 自分を無視して業者へ指示を飛ばす祖母に存在を思い出してほしくてラリマーはまた大声を出した。

 

 

「何ですか騒々しい」

「お姉様が見つかっていないのに荷物を運ぶ意味はありません!」

「貴女の気にする所ではありません。それよりも、クリムゾン」

 

 

 リリアネットは黙らせたクリムゾンへ鋭い瞳を向けた。

 

 

「スカーレットがいなくなった翌日からバルーン様やシュガー様が来るまでの間に、公爵家から抗議の文が届いていますね?」

「!」

「抗議の文?」

 

 何の抗議? と首を傾げるラリマーは、父の肩がビクリと跳ねたのを目にした。冷や汗を大量に流し、目をきょろきょろ泳がせる姿を訝しむ。

 

 

「ラリマーが公爵邸へ押し掛けて来るせいで使用人達の業務妨害になっていると、何度も貴方宛に抗議の手紙を送っているのに一向に返事が来ないので旦那様の所まで文が届きました。これはどういうことですか?」

「そ、それは」

 

 

 手紙は来ていた。だが、スカーレットがいなくなって今までの行いを後悔のどん底に叩き落されていた状況でまともに目を通していなかった。残ったもう1人の愛娘が姉の婚約者と言えど、他家に迷惑をかけていたとは思いもしなかった。下手な言い訳は目の前の母に通用しない。答えられないクリムゾンを無感情な赤い瞳が射抜く。その色が、スカーレットと重なって見える。3年前、やっとの思いで両親から取り戻した娘の表情はいつも死んでいた。瞳にも一切の感情はなかった。今までの行いを謝罪し、これから家族4人仲良く過ごそうと涙ながらに語った自分や妻をあの子はどんな表情で見つめていたか。

 嬉しそうだった? 喜んでいた? ――どれも、凄まじい嫌悪と拒否が滲み出ていた。

 

 

「シュガー様が仰っていましたよ。貴方達と話すのは非常に疲れると。話が丸で通じない異国の者と話している気分だと」

 

 

 数日前伯爵家を去った後、ヴァーミリオン公爵家を訪れたオルグレン公爵夫妻は、話合っても無意味との判断を下した。此方が何を言っても平行線を保ったまま。2人の表情に疲労の色があり、親として恥ずかしくなった。兄と弟。分け隔てなく育てたつもりだった。何処で歯車が狂ったかは、誰にも解らない。

 

 

「あの、公爵夫人」

 

 

 業者の男性がリリアネットを呼ぶ。クローゼットの中のドレスを移そうとする前にどうするかを決めてほしい物が入っていると伝えられた。部屋に入ってそれが何か確認し、クリムゾンを呼んだ。気になったラリマーも入ると父は膝を崩して肩を震わせていた。床に並べられたリボンが解かれていない大きな袋や包装紙で包まれたままの箱が幾つかあった。

 

 

「全てスカーレットの誕生日に貴方達が贈ったプレゼントの山よ」

「え……」

 

 

 誕生日プレゼント?

 どうしてそんな物が封も開けられずにクローゼットの中に仕舞われている?

 貰ったその日に中身が気になって仕方ないラリマーは必ず封を開けるので、触らないまま保管されていたプレゼントが不思議でならなかった。

 ただ1人、意味を理解したクリムゾンは顔を両手で覆い、泣き声を噛み殺して泣いていた。

 リリアネットは泣いているクリムゾンにも、触られていないプレゼントの意味を理解出来ていないラリマーを視界の隅へ追いやり、業者に全て置いて行ってと指示を飛ばしたのだった。

 

 

 

 *-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 静寂が邸内を支配していた。囁き声すら聞こえなくなった屋敷に人がいるのかも怪しいが、人間は沢山暮らしている。屋敷の主であるクリムゾンは、母リリアネットがいなくなった娘スカーレットの荷物を運び出す際に一切手が触れられていないプレゼントを見せられた日から()()()()()()()の日々を過ごし、妻アレイトも騒ぎを聞き付け置いて行かれたプレゼントを目にして再び寝込んでしまった。領主として、伯爵としての仕事も儘ならなくなったクリムゾンの代わりとして侯爵の地位を継いだ兄――フレアーズィオ=ヴァーミリオンが代理人として弟の仕事を熟していた。使用人達も与えらえた日々の仕事をするだけ。陰鬱が支配する邸内を1人苛立ちげに歩く影が1つ。

 

 

「もう半年も経っているというのにっ!」

 

 

 ラリマーは可憐で愛くるしい妖精を彷彿とさせる容姿をしながら、腹立たしげに右親指の爪を噛んだ。スカーレットが消えてもう半年も経った。温かく桃色の花々を咲かせていた春も、葉が茶色や朱色に染まった秋一色となった。リリアネットがスカーレットの部屋の荷物を運び出して以降、目が見開く出来事は起きず。

 スカーレットの居場所が判明したという話もない。懲りずにアシェリートに会いに行こうとするも、伯爵代理を一時的に担うフレアーズィオに固く禁じられた。外へ出る時は、必ずフレアーズィオの認めた使用人と一緒でなければ出られなくなった。

 

 窮屈で息が詰まる生活に嫌気が差していた。ストレスも溜まって毎日苛ついていた。アシェリートに会えない、外に出れない。唯一外に出られるのが魔法学院へ登校する時だけ。社交界や学院では、スカーレットは病気療養の為長期間領地に滞在したままとなっている。娘が病を患い、もう1人の娘が側にいなくなるとアレイトがパニックを起こすとしてラリマーも登校が出来ないとされていた。

 これが3ヵ月前までの話。監視付だが、現在は魔法学院へ通っている。生徒達にも決して口外するなとフレアーズィオに言い付けられている。昔は優しい伯父だったのにスカーレットが祖父母に引き取られてから冷たくなってきた。表面上は昔も今も変わらない。だが、向けられる言葉や声色にスカーレットと温度差があったのをラリマーは気付いていた。周囲には変わりなく見えても、自分が誰からも好かれる者だと自負しているラリマーには、些細な差もはっきりと見えていた。その観察力をもっと他のことに回しておけば、と嘆息する人は多い。

 

 魔法学院の生徒達は、皆スカーレットの容体を心配していた。同時に、アシェリートもいないので話はこうなっている。病気のスカーレットの為に彼自身もヴァーミリオン領の地で治療の手伝いをしている、と。

 

 

(全部嘘なのに、皆信じて。皆、お姉様が病気になってアシェリート様が看病をしていると思い込んでる。全部、全部、お爺様やお婆様達が流した嘘なのに、誰も嘘を見抜けない)

 

 

 声を大にして叫びたい。スカーレットは貴族としての矜持も、家族も、友人も、婚約者も捨てて――遠い所へ逃げた、と。自分から姿を消した人間を手間暇かけて探し出す周りの心情を自分こそが全てだと信じる彼女が理解を示す筈がない。

 

 今日もまた、監視付の登校。荒々しく馬車に乗り込んだ。半年前には存在しなかった荒んだ心がラリマーを余計苛つかせた。前までは、スカーレットを迎えに来ていたアシェリートの隣に毎日座った。最初に迎えに来た時アシェリートに――

『俺が迎えに来たのは婚約者だけだ。婚約者の妹まで迎えに来ていない』と明らかな拒絶を示された。自分達は両想いなのに何故突き放すのか。最初に使用人にラリマーが乗るのはヴァーミリオン家の馬車だと止められたのに、聞く耳を持たず無理矢理乗り込むのを阻止されただけと思わず。ちらりと視界に戸惑うスカーレットが映った。

 お姉様のせい、お姉様のせいよ、お姉様がいるからアシェリート様はわたしに愛を示したくても出来ないのよ!――勝手な思い込みに至り、2人が馬車に乗って魔法学院へ向かうと一直線にアレイトに泣き付いた。

 "お姉様が使用人やアシェリート様を使ってわたしを置いてけぼりにした"

 その言葉が全て嘘に塗れた傲慢な言葉でも、溺愛するラリマー()が涙を流して訴えれば全て真実となる。

 翌朝、迎えに来たアシェリートがスカーレットの死んだような顔と嬉々としたラリマーを見て言葉を失ったのは言うまでもない。

 それからは誰も何も言わなくなった。アシェリートの隣に座っても誰も言わない。アシェリートに話し掛け続けても相槌も返してくれない(但し、何も返さなくてもラリマーは永遠と喋り続けてる)のは気付かない。隣にいてくれるだけで有頂天となるので。


 馬車が学院に到着した。御者が扉を開け、鞄を持ったラリマーが降りた。では、と軽く(こうべ)を垂れて馬車は再び走り出した。


 ご機嫌ようと挨拶をする令嬢達に同じように返していきながら、内心は何がご機嫌かと腸が煮え繰り返っていた。



(お姉様は狡い! 優秀だけが取り柄のくせに、お母様やお父様に期待されて! 跡取りだったくせにアシェリート様の婚約者に選ばれて! なのに、全部捨てて逃げ出すなんて――!!)



 両親は自分を溺れる程に甘やかして愛してくれる。しかし、何時だって期待の籠った眼差しを向けていたのは自身の半身。生まれた時から優れた才能を持ったスカーレットを立派な女伯爵に、淑女にするべく両親が厳しい教育を施していたのは知っている。それが期待の大きさに比例したものだとも気付いている。

 両親は甘やかしてくれる。勉強が嫌だと泣けば無理にしなくていいと頭を撫でて、お茶をしたいと言えば素敵なお茶会を開いて、欲しいドレスや宝石や人形を願えば全部与えてくれた。……だが、それだけなのだ。

 父が、母が、姉に向けている期待に満ちた輝く眼差しだけはくれなかった。


 伯爵家の跡取りから外れ、未来の公爵夫人になると決まった時もそうだ。立派な公爵夫人になってほしい。両親の瞳にはそう映っていた。対して、次の跡取りとなったラリマーにも伯爵になる為に今まで甘やかしていた分を補うように厳しい教育が待っていた。次期伯爵としての勉学に励めば、同じ眼差しを向けてくれると期待して最初はラリマーも頑張ろうとした。が、最初から無理な話だった。長年嫌なことから逃げて自分に優しい世界に浸っていたラリマーが厳しい現実の世界へ戻れる筈もなかった。たった数日で伯爵としての教育は終了した。幸いにも、ラリマーの婿となる伯爵家の次男は、家を継ぐ長男の補佐をするべく励んでいたのでラリマーが“お飾りの女伯爵”になっても困らない才能の持ち主な為に……クリムゾンもアレイトもラリマーを厳しく教育しなかった。

 恵まれた才能を無駄にさせたくない思いが軈て強迫観念へと変わってスカーレットを限界まで追い込み、長女を甘やかせない分ラリマーに砂糖菓子を与え続けた結果が――現在のヴァーミリオン伯爵家。

 伯爵令嬢云々の以前に、貴族令嬢として最低限のマナーを知っているのかと疑問な程マナーのなっていない令嬢になったとラリマーのどんな言葉でも正論に翻訳される耳の持ち主たる両親が気付く日は来ない。

 また、将来婿養子となるラリマーの婚約者はスカーレットがいなくなった日からも変わった様子はない。彼はよくローズオーラやローズオーラの婚約者と親しげにしているので何か情報を得ているのではと期待を抱いて訊きに行くも「何も知りません」と追い返された。ラリマーが自身の婚約者に夢中にならないのは、10年前のお茶会で出会ったアシェリートがどの同年代の子達よりも見目麗しく、他者を魅了する紫水晶の瞳があまりにも綺麗だったせい。その瞳に熱の籠った眼差しで見詰められていたと勘違いしているラリマーが他の男性を好きになれることはない。


 何度も、何度も、何度も、アシェリートにもローズオーラや周囲にも、スカーレットとの時間を邪魔するな、婚約者がいる身で他の異性と馴れ馴れしくするな、姉の婚約者に懸想するなと忠告又は警告されたのにも関わらず、自分が1番に愛されて当然だと――そういう()()()生きてきたラリマーの耳には届かなかった。



「ねえ、あれ」

「まあ」



 校舎へ向かうラリマーの耳に令嬢達の驚きの声が入る。足を止めて周囲を見ると皆ある方を見て驚いている。中には頬を染めて感嘆の声を漏らす令嬢や令息がいる。不審を抱き、皆の視線が向いている方へ体毎向け――鞄を落とした。

 校門前に停車する1台の馬車。見慣れた家紋が刻まれた馬車から1人の青年が降りて来た。長身に癖のある黒髪に本物と同等の価値がある非常に美しい紫水晶の瞳と瞳の色に負けない美貌。

 ラリマーがずっと会いたかった青年――アシェリートが半年振りに魔法学院へ登校した。全身から歓喜が沸き上がる。愛しい人がやっと魔法学院へ来てくれた。スカーレットがいなくなって半年。荒んでいた心もきっと穏やかになっている。



「ラリマー様!?」

「アシェリート様が来たらこれよ……」

「もしかして、見えていないのかしら?」

「見えていたらあんな嬉しそうに走り出さないわ」



 令嬢達が何か話しているがラリマーには関係ない。落とした鞄をそのままにし、アシェリートへ向かって一目散に走り出した。



(アシェリート様、アシェリート様! こっちを、こっちを向いてください! 貴方の愛しいわたしはここにいますよ! だから、そのお顔をこちらへ向けてください――)



 アシェリートしか見えていないから、()()()()



「あ。あれって」

「まあ! 回復なされたのね!」

「ほら見なさいよ! ラリマー様といる時と全然違うでしょ!」

「い、いや知ってるよ。でも、あの2人があんなに引っ付いてるの子供の時か夜会の時しかなかったじゃないか」

「ヴァーミリオン伯爵家の()()()()を知らない筈ないくせに何を言っているのよ」



 愛おしげに細め、見る者を蕩けさせてしまう甘美な瞳を向けている相手を知ったラリマーの足は止まった。


 車内に手を伸ばしたアシェリートの手に重ねられた一回り小さい白い手。ゆっくりと引っ張られて馬車を降りた相手の姿をはっきりと確認してラリマーの全身の体温が下がっていく。


 炎に燃えるような赤い髪にはアシェリートの瞳と同じ色の薔薇の髪飾りを付け、髪と同じ色の瞳にはアシェリートへ深い愛情を宿していて。頭に、額にキスを落とすとアシェリートは握った手を強く握り締めた。



「行こう――





 スカーレット」

「はい。アシェリート様」



 ――半年前、突然姿を消した姉スカーレットがアシェリートと一緒に登校してきた。馬車を降りても側を離れないと手を握り、愛し合っているのが充分に伝わる様子で校舎へ向かって歩いて来る。目前にラリマーがいるのに2人は気付くことなくラリマーの横を素通りして校舎内へ入って行った。



(どうして……どうしてよ!! どうして、いなくなった筈のお姉様が戻っているの!? アシェリート様といるの!? あんな……あんな……恋人同士みたいに一緒にいるのよ!!? わたしが目の前にいてどうしてアシェリート様は気付いて下さらないの!!!)



 愛されていないと思っていた姉が自分がいるべき隣にいて愛情を向けられていた――。


 愛されていると思い込んでいたラリマーには屈辱的な出来事だった。


 呆然と立ち尽くすラリマーを周囲の生徒が冷やかな目で見る。



「これでやっとラリマー様も夢の世界からご帰還なされたのではなくて?」

「ええ。スカーレット様とアシェリート様のあんな姿を見て、それでも邪魔をするならもう大きな拍手を差し上げたいですわ」

「心配無用かと思われますわ。確か、スカーレット様が療養中の間にヴァーミリオン公爵がスカーレット様の親権を兄夫婦のヴァーミリオン侯爵へ移したとお聞きしました」

「そうなのですか? わたくしは、祖父母であるヴァーミリオン公爵の養子となると聞きましたが」

「初めはそうなる予定だったらしいですが、侯爵夫人が強く希望したと聞きました。スカーレット様とアシェリート様の結婚式でスカーレット様の母親として出席したいと」

「可笑しな話ではありませんわね。元々、公爵夫妻に引き取られた際には兄夫婦である侯爵の養女となるとなっていたのですから」

「それを家の体面目的で伯爵夫妻が毎日公爵邸へ押し掛け、親や兄の情に訴えかけたのだとか。スカーレット様が伯爵家に戻されたと聞いた時は心配しました」

「魔法学院へ入学してから今日までスカーレット様とアシェリート様は心配でしたが、もう大丈夫そうですわね」


(何よ……何よ……何よ何よ!!)



 態とラリマーに聞こえるようにひそひそ話をする令嬢達の会話の内容が初めて耳にするものばかり。関係者であるラリマーが知らなくて、関係のない他家の令嬢達が知っているのか。これはラリマーは勿論、クリムゾンやアレイトすら知らない。リリアネットが3年前から流しているある情報のせい。定期的に流しているのはリリアネット。情報源が公爵夫人となれば、信用性は大幅に上がる。

 そうとは知らないラリマーは、会話の中で自身の婚約者の名前が出たことで情報源が婚約者だと判断して腹立たしげに校舎内へ入った。







ラリマーも両親から離されていたら、まともになっていたかも。

(一応)ラリマー視点なのでアシェリートとスカーレットがどう和解したかは……これまた悩みますが……


<(_ _)>





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