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実は転生者の子孫でした!  作者: 雨鳥茶奈
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エリナの回想〜4

 十五歳になった。


 私とアイズは毎年行われる進級試験を難なく合格し、最上級騎士生となっていた。あとは卒業試験に合格すれば無事に卒業である。


 卒業試験は筆記と実技があり、その二つが基準点を越えると首席を決めるトーナメントに参加できる。基準点を越えた時点で卒業はできるが、生徒は皆、首席卒業と言う箔をつけるために今から必死になる。



 私はアイズと出会えて本当によかったと思う。彼女という好敵手(ライバル)に出会えたことが技術的にも精神的にも私を大きく成長させた要因の一つだと感じているからだ。そんな彼女とも、あと一年で別れなければならないと思うと、なんだかとても寂しい。


 ある夜、寮の部屋でアイズとこんな話をした。

 もし、騎士の家、王族の家に生まれなかったら何がしたいか、という話である。


 彼女の質問に、そんなことを一度も考えたことがなかった私は、なかなか答えられずにいた。私もアイズに同じ質問をすると、彼女は自由に恋愛がしてみたいと答えた。


 彼女も私もいずれ親の決めた相手と結婚しなければならないだろう。そして、それは決して自分の意思でどうなるものではない。貴族というのは、そういう宿命なのだ。無論、例外がないわけでもないが、一般的にはどうすることもできない。


「もし、相手を自由に選べるとしたらエリナの相手への譲れない条件は何?」


 彼女は続けて質問してくる。


「うーん、譲れない条件かぁ〜 なんだろう。アイズは?」



「じゃあ、せーので同時に言い合いましょ。せーの!」



「私より強い人!」

「私より強い人!」


 私たちは全く同じ答えだったことに二人で大笑いした。その日は朝方まで恋バナで盛り上がり、はしゃぎ過ぎて寮長にきつく叱られたことを今でも鮮明に記憶してる。



 十六歳になった。


 私は四年間の学校生活を無事に終えてウィンディラに帰国する。


 アイズとは首席トーナメントの決勝であたり、三度にわたる延長戦をおこなったが勝敗は着かず、それにより異例の首席が二名という形で私たちは卒業することになった。


 寮を出る日、彼女とは、いつか決着をつけようと約束した。しかし、いざ校門を出ると二人とも急に別れが辛くなり一時間も抱き合ったまま大泣きしたことを今でも時折、思い出す。


 帰国してからも私は訓練を怠らなかった。自ら、自国の騎士団を率いてモンスターの討伐を指揮したり、遠征先のギルドでこっそりと難易度の高いクエストなどを積極的にこなしたが、なかなか成長出来ない自分にいつも苛立っていた。



 十八歳になった。


 帰国してから二年の月日が経ち、日に日に弱っていく母の様子に私は焦り、不安で眠れない日もあった。

 そんな中、私の元に彼が現れたのだ。


 第一印象は見るからに怪しかったことを覚えている。ロイド曰く旅の途中ということだったが何故か手ぶらで、それに私に対しての全身を舐め回すような、いやらしく気持ち悪い視線がさらに不信感を掻き立てた。


 そんな彼が母をナイトメアから救ってくれるなんて夢にも思わなかった。そして、おかしなことに今はこうして一緒に旅をしている。


 別に旅に出たかったわけでもないのに……

 彼がいなくなった途端にモヤモヤとした気持ちになって……


 せっかくお母様も戻って来たのに国なんか飛び出して……

 どうしたんだろう、私……


 天井を見つめ、昔の思い出に浸っていた私は寝転がっていたソファーから体を起こすとテーブルにあった飲みかけのワインを一気に飲み干した。少し千鳥足で窓辺から日の暮れ出した街の景色を眺めていると後ろで部屋のドアの開く音がする。どうやらカナデが帰って来たようだ。


「ただいま。あれ? 一日中部屋にいたの?」



「うん、昔を思い出しながらゴロゴロしてたわ。そっちは何か収穫はあった?」



「いろいろあったけど明日から魔法を覚えることが出来そうだよ。詳しくは後で話すよ」


 カナデは、そう言うと少し疲れた面持ちでそのままバスルームへ向かってしまった。何があったのかわからないがよほど疲れたのだろう。


 カナデが戻って来ると、ちょうど夕食が運ばれてきたので食事をしながら話を聞いた。


「というわけで明日からアンネロッテさんの所でお世話になるんだけどエリナはどうする?」



「そうねぇ、久しぶりに騎士学校時代の友達にでも会いに行こうかしら。お母様のことも報告したいし」



「わかった。でも一人で大丈夫?」



「大丈夫に決まってるでしょっ。子供じゃないんだから」



「そんな風に言わなくても。心配しただけだろ。ちなみに友達って男? 女?」



「あれ〜 もしかして気になってるの〜? 男だったら妬いちゃうのかしら?」



「いや、そういうわけじゃなくて。エリナにも友達がいたんだと思って安心しただけですっ」



「失礼ね。私にだって友達ぐらいいるわよっ! ちなみに女の子だからご安心くださいっ! とにかく食べ終わったら明日に備えて早く寝るわよっ!」


 私たちは食事を済ませると、お互いの部屋に入って明日の出発に備えた。


あまりいないとは思いますが少しでも気に入った、続きが気になるという方がいらっしゃいましたら励みになりますのでブックマーク、評価をお願いします。

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