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実は転生者の子孫でした!  作者: 雨鳥茶奈
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第52話 ロイヤルカード〜1

 俺は待ち合わせの時計台に七時前に到着すると、ちょうど飲み物を片手にこちらに向かっているエリナの姿が遠目で確認できた。

 彼女も俺の姿に気づくと小走りて、駆け寄ってくる。


 なんだかデートの待ち合わせみたい。


「なによ、ニヤニヤして気持ち悪いわね」


 気持ち悪いしか言えないんじゃないかと思うくらい、よく言われるこのフレーズ。


 そんなに俺って気持ち悪いのかなぁ……


「ところで宿泊先は見つかった?」



「ダメ。手頃な宿はどこもいっぱいだったわ。そっちはどう?」



「こっちはとりあえずギルドカード作れたよ」



「よかったわね。じゃあ、もう一度宿探しをしましょ」


 それから二人で何軒も宿泊できるところを探したが、やはりどこも満室だった。時間はもう八時、二人とも昼間から歩き通しなのでさすがにクタクタだ。


「もう無理。たまには贅沢しましょ。今日はカナデのギルド登録記念ということで」


 エリナは絶対に泊まれるところがあるからと言って、急にスタスタと先に歩き出した。俺は始めからそこに行けよと思いながら黙って彼女についていく。


「ここにしましょう」


 俺の目の前に現れたのは普段の宿の何十倍はあろうかという建物で見た目はまるで城。あきらかに冒険者が泊まる宿ではないということは一目瞭然だった。それでもエリナはなんの躊躇もなく中へ入っていく。


 中に入るとありえない広さのエントランスが出迎えてくれ、周りには俺たちのような冒険者の姿などは一切ない。いるのは煌びやかな服に身を包んだ貴族たちばかりである。

 俺は場違いな雰囲気と彼らの視線に、ただただ下を向いて歩くだけだった。


 エリナはフロントに着くとすぐに二名泊まれるかを尋ねたがフロントの男は確認などすることもなく満室と答えた。いわゆる門前払いというやつだ。


「あなたじゃ話にならないから支配人を呼びなさいっ」


 フロントの態度に腹を立てたエリナは支配人を呼びつけ、その騒ぎに周りにいた貴族たちも一斉に注目する。


 やがて騒ぎを聞きつけた支配人が飛んでくる。エリナは支配人に先程と同じ質問をしたがやはり答えはNOだった。


 するとエリナは鞄から一枚のカードを取り出し支配人に提示する。なぜか、カードを見た支配人の態度は一変し、急に周りも騒めきだした。


「大変失礼いたしました。すぐに最上階の部屋を用意させますのであちらに掛けてお待ち下さい」


 俺たちは支配人に言われた通りロビーの椅子に座って部屋の準備ができるまで待つことにした。それにしても支配人の態度の変わりようは俺には全く理解出来なかったのでエリナに尋ねてみた。


「さっき支配人に何を見せたの??」



「あれ? ロイヤルカードを見せたのよっ」


 どうやらそれはロイヤルカードというもので、そのカードは国王と皇子、皇女にしか持つことが許されず、しかも国家財源の審査も相当厳しいようだ。ウィンディラはそこまで大きな国ではないが国内で産出される魔鉱石の輸出でかなり潤っているらしい。


「私が凄い王女ってことがわかったかしら? カ・ナ・デ・く・ん」


 エリナは俺の額をカードでパチパチと叩きながらドヤ顔でそう言った。


「ウィンディラ様、お部屋の用意が整いました」


 支配人について部屋へ向かおうとするが、未だに周りの騒めきは収まる気配がない。それほどロイヤルカードの力は凄いのだろう。


「こちらのお部屋でございます」


 案内された部屋は俺がウィンディラで泊まっていた部屋と同等かそれ以上の高級感で広さは二倍以上、極め付けはバルコニーに大きなプールまでついていた。


 エリナは支配人に適当に料理を持ってくるように頼むと、そのままシャワーを浴びに行ってしまった。


 俺は部屋の中央に置いてあるソファーに仰向けで寝転がりギルドカードを再び眺めた。やはり何度見てもカッコいい。


 おっ、そうだ。さっき貰った剣を鑑定してみよ……


 俺は魔力解放によって身に付いた魔力鑑定スキルで剣を鑑定してみる。


 ・・・『ロン・グラハムベルの最後の一振り』


 あれ? 名前しか表示されない……


 スキルのレベルが低いのか武器のレア度が高すぎるのか、分かったのは名前だけだった。


「あがったわよっ。カナデも浴びて来なさいよ」


 剣を鑑定しているとバスローブに身を包んだ風呂上がりのエリナが横に現れた。どうしても胸元に目がいってしまう。


「何それ? 新しい剣?」



「うん、国王様の剣はさすがに使うのは気が引けるからね。これは買ったんじゃなくてグラハムベルって人に貰ったんだよ」


 エリナは俺の言葉を聞くと馬鹿にした表情で大笑いした。


「馬鹿じゃないの? グラハムベルってとっくの昔に亡くなった伝説の鍛治士よ。まぁここは昔、工房があったみたいだから土産用の偽物を掴まされたのね」


「本物のグラハムベルの剣なんてオークションに出たら小さな国ならまるごと買えるぐらいの値段がつくのよ。しかも最後の一振りは未だに見つからなくて、謎に包まれてるわ」


 それを聞いた俺は、何がどうなってるのか理解できずに頭が混乱した。たしかに昼間、グラハムベルと名乗る老人から剣を貰い、今の鑑定結果もグラハムベルと出ていた。しかし、グラハムベルはすでに亡くなっている。


 どういうことなんだ?


 これ以上ここで考えても仕方ないしまた明日行ってみるか……


「ところで、カナデのギルドカード見せてよ。どうせ剣士か何かでしょ?」


 俺は黙ってエリナに自分のカードを見せた。さてさて、どんな反応するか楽しみだ。エリナは俺のカードを見ると目を見開いたまま、口を鯉のようにパクパクとしている。きっとあまりの驚きに声が出ないに違いない。


「俺が凄い剣士ってことがわかったかな? エ・リ・ナ・く・ん」


 俺はエリナの額をカードでパチパチと叩きながらドヤ顔でそう言った。


あまりいないとは思いますが少しでも気に入った、続きが気になるという方がいらっしゃいましたら励みになりますのでブックマーク、評価をお願いします。

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