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実は転生者の子孫でした!  作者: 雨鳥茶奈
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第40話 いざミラーナへ~2

 馬車に乗り込んだ俺たちは途中で軽く食事を済ませ、正午前には師匠の小屋に到着した。


「カナデ様、私はこちらでお待ちしています。乗り合い馬車の時間まで余裕もありますので、お気になさらずらゆっくりとして下さい」



「ありがとうございます」


 さて師匠はどんなリアクションするかな?


 俺は、ほくそ笑みながら小屋に向かう。玄関先に着いた俺は扉を開けて中に入ろうとしたが、先に扉が開いてファリナが飛び掛かってきたので、勢いよく尻もちをついて地面に座り込んだ。


「いたたたたっ! ファ、ファリナ重い~」



「ごめんなさい。表で馬車の音がしたから、カナデさんかと思って飛び出しちゃった」



「お帰りなさい!」


 ファリナは先に立ち上がりゆっくりと手を差し出した。



「ただいま、ファリナ」


 差し出された手を借りてその場に立ち上がる。



 ところで師匠は?



 お父さんは裏で薪を割ってるわ。早く、早く!


 ファリナに手を掴まれたまま、引っ張られるようにして裏庭に連れていかれた。



「お父さん! カナデさん帰って来たよ!」



「お、おう」


 師匠は背を向けたまま、ぶっきらぼうな返事をして薪を割り続けている。



「師匠、ただいま戻りました!」


 正面に回り挨拶をしようとしたが、なぜか師匠はクルリとまた背を向けた。



 ・・・・・・



 そのやりとりが二度、三度、繰り返されたので痺れを切らした俺は師匠の背中に飛びかかって無理矢理に顔を覗き込んだ。


「師匠~ってば~」


 覗き込んだ師匠の顔にはうっすらと二本の筋が光っている。


「えっ!! 師匠、もしかして泣いてるんですか?」



「うそっ、お父さん泣いてるの?」


 ファリナもニヤニヤしながら師匠の顔を覗き込む。



「ば、馬鹿野郎っ、薪割りでかいた汗が目に入っただけだ。ちょっと顔を洗ってくる」


 師匠はバツが悪そうに顔を洗いに行ってしまった。その姿に自然と顔がにやけてしまう。



「ハハハハッ、汗が目に入ったってベタすぎでしょっ!」


「あー、腹いて~」



「アハハハハハッ、絶対にお父さん泣いてたよねっ」


 師匠の姿が見えなくなった途端、俺とファリナは顔を見合わせて腹を抱えて大笑いした。



「何がそんなに面白いんだ?」


 振り返るとそこには戻ってきた師匠が握り拳を振り上げ仁王立ちしている。



「師匠! いえ、な、なんでもないです」



「とにかくよく帰ってきたな」



「はい! 師匠のおかげです」



「そうだろ、そうだろ。この俺が手ほどきしたんだから当然の結果だったな」



「あっ、でも、すみません、師匠の剣、折れちゃいました」



「なに~ お、お前、やってくれたなっ! くぅぅ~ あの剣を作るのに俺がどれだけの時間と労力を使ったことか」



「まあまあ、もともとナイトメアを倒すために作ったんでしょ。だったら目的を達成できたんだからいいじゃない。剣もきっと喜んでるわよ」


 ファリナは落ち込んでる師匠の背中をポンポンと叩きながら慰める。



「それはそうと、これからどうするんだ?」



「今からミラーナに向かおうと思っています」



「そうか、あそこはデカい国だ。ギルドにも猛者がゴロゴロいるだろうし勉強になる。商人の出入りも激しいから掘り出し物の武器もあるかもな」



「え~ カナデさん、また居なくなっちゃうの?」



「うん、でも、いつかきっと帰ってくるよ。帰って来たらファリナのおいしい料理をたくさん頼むよ」



「わかったわ、まかせといて。カナデさんが帰ってくるまでにもっとおいしいものを作れるようにしとくわね」



「ありがとう。楽しみにしてるね。でもその時には、もしかしたらファリナはお嫁に行ってるかもな」



「大丈夫よ。もう、お嫁さんになる相手は決めてるから」



「何っ!? 俺はそんなこと聞いてないぞ! どこのどいつだ? 俺は、俺より強い奴じゃないと認めないからな!」



 おいおい、師匠よ、そんな奴なかなかいないって……



「それならお父さんより遥かに強いから安心して」



「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。よかったじゃないですか師匠。これからの楽しみができて」



「お前は、人ごとだと思いやがってっ。ファリナ! 今度そいつを連れて来い。俺が叩きのめしてやる!」



「こいつら鈍感すぎだろ……」


 ファリナは呆れた様子でぼそぼそっと何かを呟く……



「ん? ファリナ、何か言った?」



「うんん、何でもないわ。気のせい、気のせい」



「そうだカナデ。これを持っていけ」


 師匠はポケットから古びた汚い腕輪を俺に手渡した。手に取ってよく見ると、擦り傷などがたくさんあり、かなりの年代物と思われる。



「これはなんですか?」



「まぁ、餞別みたいなもんだ。お前にくれてやる。こいつをするかしないかはお前の……」


 俺は早速、師匠から受け取った腕輪をはめてみると白く光って、64という数字が浮かび上がり、またすぐに消えてしまった。



「お、おい! 何いきなり身につけてんだ!」



「えっ? つけたらダメなんですか?」



「だめじゃねーけど…… まぁいいや。大事にしろよ。あと背中に背負ってる剣をなんとかしろっ。あんまり人の目に触れさせるようなもんじゃねぇだろ? これでも巻いていけ!」



 師匠もこの剣がヤバいって知ってるのかなぁ……



「はい。ありがとうございます。じゃあ俺、そろそろ行きます」


 師匠とファリナに別れを告げ、ロイドの待つ馬車に向かう。途中で振り返ると師匠とファリナも小屋に向かって歩き出している。


「師匠! ありがとうございました!」


 俺はありったけの声で叫んだ。


 師匠は振り返らずに右手をゆっくり振って、小屋に入っていった。


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