第38話 出発前日~2
部屋に戻った俺は夕食の時間までベッドに寝そべりながら明日からのことを考えた。とりあえず武器の調達をしないことには、いざ戦闘になっても戦えない。
しかしその辺に売ってる武器じゃナイトメアの様な魔獣が相手だとすぐに折れてしまうだろう。
やはりエリナの持っている精霊剣みたいな特別な剣ではないと話にならない。
でも一体そんなものどこで手に入れたらいいんだ?
くださいって言っても貰えるわけないし。
そんなことを目を閉じながら考えていると知らないうちに眠ってしまった。
トントン
ノックの音で目が覚める。窓の外は、すでに暗くなっていた。
「カナデ様、失礼いたします」
「はい、どうぞ」
寝起きの目を擦りながら返事をする。
「これはこれは、おやすみになられていましたか?」
「いえ、少しうとうとしてただけですよ」
俺はすぐに起き上がり寝室を出て応接間に向かった。
ロイドは夕食をテーブルの端に置くとポケットから取り出した紙をテーブルの中央にひろげた。どうやらこの辺りの地図みたいだ。
「ここが今いるウィンディラです。ここから街を三つ隔てたところ、ここがミラーナで、乗り合い馬車を乗り継いで10日ほどで到着いたします。乗り合い馬車はこの街の東の外れから朝、昼、夕と3回出ていますので、お好きな時間に乗ると良いでしょう」
地図を指差しながらロイドは丁寧に教えてくれた。
「それなら、朝は出発の挨拶回りをしたいので昼の便に乗ることにします」
「それがよろしいかと。暗くなってきますと魔物も活発になりますので。まぁカナデ様なら何の心配も入りませんが」
ロイドは笑いながら相槌を打つ。
「それとミラーナに着いたらまずは冒険者登録をなさると良いでしょう。身分証を発行してもらえるので他国へ入国する際に手続きが不用になりますし、冒険者ギルドで仕事の依頼を受けたりすることもできますよ」
「分かりました。着いたら登録することにします。あの、ところでエリナは? 最近、姿を見ないのですが」
「あー、エリナ様は隣国の国王様の誕生祝賀会に参加されております。付き添いのアリサによると明日には戻ると手紙にありましたがカナデ様が出発するまでに戻られるかどうか」
なるほど、だから最近は見かけなかったのか、スープもしょっぱくなくなってたしなぁ。
挨拶ぐらいはしたかったけど……
「そうですか。出発前に挨拶しておきたかったんですけど仕方ないですね。よろしくお伝えください」
「かしこまりました。アリサにはそのように伝えておきます」
「カナデ様、一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうしたんですか? 急にあらたまって?」
「これから先もエリナ様のことをどうか、どうか、よろしくお願いいたします。少しだけ自分の気持ちを伝えるのが不器用なところもありますが本当にお優しい方なんです」
ロイドは何度も何度も丁寧に頭を下げた。
「えっ、あっ、はい。でも俺は明日にはいなくなりますよ」
「大丈夫です。そのことでしたら十分に承知した上でのお願いです」
「とりあえず近くに来た際には顔を出しますので、俺に出来ることがあればなんなりと言ってください」
「ありがとうございます。では夕食が冷めないうちにお召し上がり下さい。明日の朝にまた迎えにあがります」
「それでは失礼いたしますので、ごゆっくりと」
ロイドは、なぜかご機嫌な様子で部屋から出て行った。
ロイドさん、どうしたんだろ?
また顔出しますと言ったことがそんなに嬉しかったのかな?
まぁいいや、夕食をいただいて今日は早めに寝よう。
俺は、夕食を食べ終わると風呂に入り再び眠りについた。
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