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実は転生者の子孫でした!  作者: 雨鳥茶奈
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第35話 決着

 辺りはどんどん暗くなっていく。夜になってしまっては、奴の攻撃が今よりずっと回避しにくくなるだろう。アドレナリンと限界駆動のスキルだっていつ切れるかわからない。


 それにしてもなんて強さなんだ。あらためて、そう思う。

 先ほどの大技で魔力もかなり消費しているはず。それでもこの均衡を破れる気がしない。もしエリナの剣がなかったら確実に死んでいる。


 それからもしばらく一進一退の攻防が続き、お互い歯痒い状態のまま、決着はつかず時間だけが過ぎていく。


 そんな中、その時は訪れた。

 お互い示し合わせたわけでもないのに後ろに退がり距離を取る。


「小僧、そろそろ終わりにしようではないか?」



「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」


 やはりナイトメアも決めにくるのか?


 次に打ち合ったらどちらかは死ぬ。

 問題はどちらの剣でトドメを刺しにくるかだな……


 右手か左手の、どちらかの初撃は囮にしてくるのか?

 いや、もしかしたら初撃で決めにくるかも。

 どうすれば……


 そういえば、たしかヘルズゲートは右手だったな。

 それなら左は囮で、右手が本命か?

 俺は、右手を警戒して奴の魔核を狙うことに決めた。


 しかしその時、ふと地面に落ちている折れた師匠の剣が目に入った俺は、それをおもむろに拾い上げた。


 一流の武人は決め手を最後まで明かさない……


 師匠の言葉が脳裏をよぎる。

 そう、奴は紛れもなく一流。それも超、超、一流だ。


 もしかしてヘルズゲートは利き手ではないのか?

 そうだとしたら俺を仕留め損なったのも頷ける。



「……」



 師匠信じますよ。違ってたら化けて枕元に現れますから。


 俺は覚悟を決めて、左手だけに集中することにした。


 左手に集中、左手に集中、左手に集中するんだ。

 俺は頭の中で何度も繰り返し、息を整える。


「覚悟が決まった顔だな」



「いつでもどうぞ」


 お互いに少しずつ間合いを詰め様子を窺う。


 来る!


 ナイトメアの剣先が少し下がったと思った瞬間、一気に間合いを詰めてきた。それと同時に俺も飛び出す。


「真っ二つになって死ねーー!!」


 真横から左の脇腹めがけて鋭い剣が襲いかかる。


「右手は囮、右手は囮、右手は囮っ!」


 俺は、襲いかかる剣には目もくれず、さらに一歩踏み込む。

 踏み込んだことによって剣の根元が脇腹にめり込んだ程度で致命傷にはならなかった。


「なにっ!?」


 虚をつかれたナイトメアの左手の反応が一瞬遅れる。やはり回避したところを左手で仕留めようとしていたに違いない。


 次の瞬間、俺の最後の力を振り絞った攻撃はナイトメアの急所を先に貫いていた。


 グォォォー!!


 ナイトメアは低い雄叫びとともに俺の右手を掴んで、剣を引き抜き、俺もろとも投げ飛ばした。そして、そのまま両手、両膝をつき四つん這いの体勢で口からドス黒い大量の血を吐き出した。


 俺は俺で投げ飛ばされてからは起き上がれずに地面に倒れこんでいたままナイトメアの様子を窺う。


 しばらくするとナイトメアはゆっくり、ゆっくりと立ち上がり、こちらに顔を向けた。


「惜しかったな、小僧。今のはさすがに肝を冷やしたぞ!!」


 どうやら体は貫いたが魔核はかすっただけで完全に砕けなかったようだ。


 しかし奴も満身創痍には違いない。

 だったらもう一度……


 ダメだ……

 全く力が入らない。

 頭では立ちあがろうとしているのだが体はそれに応えくれない。


「ではこの戦いはこれで終わりにしようか」


 ナイトメアは千鳥足でエリナとアイラの元へ歩き始めた。


「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」


 ありったけの声で叫んだが、俺にはエリナたちに近づいていくナイトメアをただ見ていることしかできなかった。


「これ以上来ないでっ!!」


 エリナは両手を大きく広げてナイトメアの前に立ちふさがった。


「案ずるな。約束は守る」


 ナイトメアはエリナを軽く押しのけ、意識のないアイラに手をかざした。すると残っていた瘴気が吸い出され、みるみると元の姿へ戻っていった。


「約束は果たしたぞ。小僧、いやカナデよ。今宵は楽しませてもらった。また近いうちに会うだろう。ではさらばだ」


 ナイトメアは姿を消し、そこには、うっすらと黒い煙だけが漂っていた。


「お母様!! お母様!!」


 エリナは王妃を抱き起して何度も呼びかける。


 しばらくするとエリナの声に応えるようにアイラはゆっくりと目を開きエリナの手を握る。


「あなたはエリナなの?」



「そうです、お母様。あなたの娘のエリナです!!」


 わんわんと泣きながらエリナはアイラにしがみつく。


「そう、こんなに大きくなって。でも大きくなっても相変わらず泣き虫のままなんだから」


 アイラは泣き叫ぶエリナを自分の胸に抱き寄せ優しく頭を撫でた。


 よかった……

 無事に終わったみたいだな。


 あれれ?

 なんだか瞼が重い。

 俺は二人の無事を見届けると、そのまま意識を失った。


あまりいないとは思いますが少しでも気に入った、続きが気になるという方がいらっしゃいましたら励みになりますのでブックマーク、評価をお願いします。

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