第27話 最後の晩餐~2
あの後、二人で手分けして、やっと当初の目的である買い出しを済ませた。少々、寄り道が過ぎたせいか、日もだいぶ傾きかけている。
「少し遅くなったけど買い出し終わりましたね~」
「かなり買い込んだね。これファリナだけじゃ持ちきれないぐらいあるよ」
「ふふふ、安かったし、荷物持ちの人もいたんで、ついつい買いすぎちゃいました」
前を歩いていたファリナは笑顔で振り返る。
「たくさん歩き回ったんで疲れちゃいましたね。明日は大事な日だし晩御飯食べたら帰りましょう」
「そうだね、あんまり遅くなると師匠も心配するだろうし。ところでどこに向かってるんだい??」
「この国で一番美味しいレストランですよ! ほらっ、あそこです」
この国で一番と言われて、高級なレストランを想像していたが、ファリナが指さしたのは、こじんまりとした趣のある煉瓦造りの建物だ。
「さぁっ、中に入りましょう!」
両手がふさがっている俺に代わって、ファリナが扉を開けてくれる。扉の蝶番が錆びているのか少し鈍い音がした。
「こんばんわ~」
ファリナは慣れている様子で、どんどんと奥へ進んでいく。
店内は思っていたよりも広く、食事の時間帯ということもあってか席も半分以上埋まっていた。
「ファリナ、この店によく来るの??」
「ふふ、違うわ。私、ここで働いてるの」
「あ~、そうなんだ~ だから慣れてる感じだったのか~」
「あら~ ファリナじゃない!? 今日は休みのはずでしょ??」
奥から気の強そうな体格のいい女性が現れた。こころなしか師匠に似ている。
「ファリナこの人は??」
俺は小声でファリナに話しかける。
「この人は、この店の女将さんでお父さんのお姉さんだよ」
師匠のお姉さんってことはファリナのおばさんか。だから似てたのか。
「おや? ファリナ~ 今日は男連れかい??」
「ちょっと! あんた! ファリナが男を連れてきたよ!!」
「ち、ちがうんです! おばさ……」
ファリナが弁解する間もなく、奥へ主人を呼びに行ってしまう。
しばらくして女将は、主人と戻ってきたがやたらとニヤニヤしている。主人の方は髭を蓄えた中肉中背のいかつい感じの男だ。
「あたしはカルネ、こっちは旦那のペーシェだよ」
「初めまして、バローロさんから剣術を教わっているカナデと言います」
「なんだぁ~ あたしは、てっきり彼氏でも連れてきたのかと思ったよ。それにしても、あのバカ、まだ剣なんて振り回してるのかい? まったく、ホントどうしようもない弟だね~」
「フィオレさんが病気の時だって家をいつも空けるし、ファリナにも苦労ばかりかけて……」
女将が機関銃のようにしゃべり続けているのをよそに主人は無言のまま出刃包丁を片手に俺をずっと睨んでいる。
こ、怖い……
なんで睨まれてるんだろう……
「お、おばさん、そろそろ席に行くね……」
いつまでたっても終わりそうにない女将のおしゃべりにしびれを切らしたファリナが止めに入った。
「あら、やだぁ~ ごめんなさい。ついついしゃべりすぎちゃったわ。二人ともゆっくりしていきなさいね~」
そう言うと二人は厨房へ姿を消した。俺は席に着くや否やファリナに主人のことを聞いてみる。
「ご主人てどんな人なの??」
「見た目と違って、とっても気さくで優しい人よ。二人には子供がいないせいか私をとっても可愛がってくれてるわ。言うならば、この街でのお父さんとお母さんて感じだよっ」
「でも今日は全然しゃべらなかったなぁ~ なんでだろ??」
やっぱりなぁ……
絶対に主人の方は、まだ俺のことファリナの彼氏か何かと勘違いしてるよ~
あれは、俺の可愛いファリナにちょっかい出してんじゃねーぞ! 殺すぞ! って目に違いない……
これは、さっさと食事を済ませたら退散したほうがよさそうだ。
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