第26話 最後の晩餐~1
街に入ると道は人でごった返している。所狭しと露店が出ており、美味しそうな匂いが空腹を刺激する。
「ちょうどお昼ですし、何か食べましょうよ」
「うん、いいね~ お腹もすいてきたし」
「カナデさん、モフモフって食べたことありますか??」
「モフモフ?? ないないっ! 何それ??」
「モフモフはこの地方でよく食べられてる肉ですよ。あそこに串焼きが売ってるんで買って来ますね」
しばらくしてファリナは2本の串を手に戻ってきた。串にはぶつ切りにした肉が5切れ刺さっている。
「はい、どうぞ。おいしいですよ~」
串を渡された俺は、まず匂いを嗅いでみる。
ん、なんか独特の匂いだな。どれどれ……
「うん、美味しい!」
少し癖のある匂いのするその肉の正体は羊だった。
そうか。こっちではモフモフって言うのか。
まぁ、たしかにモフモフしてるけど……
「どうでした?」
「美味しかったよ。俺の住んでたとこでも呼び方は違うけど食べてたよ」
「よかった~ 私も大好きなんです、モフモフ」
そのあともファリナと食べ歩きしながら、いろんな店を見て回った。
「あっ! あれ、可愛い!」
ファリナは、急にアクセサリーの店の前で立ち止まると小さな鏡の前であれこれと試着を始めた。こうやって見ると女の子なんだなとあらためて思う。
「カナデさん、青いのと赤いのどっちがいいと思います??」
小さな石の入ったネックレスを二つ、手に取って見せてくる。
で、でた!! 女子のお決まりの質問……
自分の中では決まっているのに、なぜ聞くーー!
どうしよう?
A・・・青 B・・・赤 C・・・どっちも似合うよ
そう言えば昔やったギャルゲーにこんなシーンがあったな。
たしかその時はCで攻略できたはず……
ここはCでいこう。
「どっちも似合うよ!」
きっと大丈夫なはず……
「え~ どっちかって聞いたのにっ! 考える気ないでしょっ」
「もう、カナデさんには聞かないですっ」
くっ…… やはりゲームとリアルでは違ったようだ……
「おじさ~ん、私、今日、誕生日なんでまけてくれませんか~」
「おう、そうか! じゃあ、嬢ちゃんは銅貨10枚でいいや」
「……」
「う~ん、また今度にします~」
ファリナは少し考え、ネックレスをもとの位置に戻して店をあとにした。
「ファリナ、今日、誕生日だったんだね~ おめでとう!」
「ありがとうございます~ 15歳になりました」
少し照れくさそうにしながら、にっこり微笑む。
「じゃあ、晩御飯は俺が奢るよっ」
城を出る時にロイドさんに貰った支度金があるしな……
「大丈夫ですよ~ さっき、お父さんにお金もらったし。何も言わなかったですけど、お父さんもそういう意味で渡したんだと思います。ホント大事なことを口に出して言わない人なんだから」
「毎回、察してあげないといけないこっちの身にもなってほしいですよねっ」
「まぁまぁ、伝わってるから良しとしておこうよっ」
「は~い~ そうしま~す」
ファリナもなんだかんだ言って、師匠が誕生日を覚えていたことが、きっとうれしいんだろうな。
全く、ホントお互い素直になれない親子なんだから……
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