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実は転生者の子孫でした!  作者: 雨鳥茶奈
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第13話 彼女が剣を握る理由

 ん? ここはどこだ? なんだかすごく心地よい……


「カナデ様、昨日は、お疲れ様でした。さあ、私の胸の中で、ゆっくり疲れを癒してください」


 目の前に一糸纏わぬアリサの姿。


「あ、アリサさん! い、いいんですか??」


 両手を広げたことによって露わになった2つのものが手招きして、俺を桃源郷へ誘っているようだ。


「ありしゃ、しゃーーん!」


 俺はアリサの壮大なグランドキャニオンに顔を埋め、両手でエアーズロックを堪能する。これは、まるで世界旅行をしてる気分だ。


「あーあ、このまま死んでもいいかも……」


 とても柔らかくて、いい匂いがする。


「ふふふ、甘えんぼさんね」


 アリサは頭を優しく撫でてくれた。


 あーもう、世界なんてどうでもいいや……



「……」



「いい加減にしてください!!」


 痛いっ! 右頰に激痛が走ったあと、脳が震えて急に夢から覚める。


「はっ!! えっ!?」


 目覚めると俺は、起こしに来たアリサに抱きついていた。慌てて手を離し、摩擦でシーツが破れるくらい何度も土下座した。


 一瞬にして昨日の悪夢がよみがえる。


「やっと起きましたか。朝食の支度が出来ましたので食堂までお越し下さい」


 かなり怒っているのか、淡々とした口調で言い放つ。


「あと、ロイド様のお客様でなければ、確実に殺してましたから。以後、お気を付け下さい。では、失礼します」


 アリサは俺の顔を見ることなく、そのまま部屋を出ていってしまった。


「くぅぅぅぅぅ~ 普段の感じもいいけど、怒ったアリサさんも、たまりませんなぁ~」


 ・・・・・・


 さて、また怒られないうちに食堂へ行くか。

 俺は顔を洗い、用意された着替えに袖を通し、足速に食堂へ向かった。


「ロイドさん、おはようございます」



「カナデ様、おはようございます。昨日はゆっくりとお休みできましたか?」



「はい、おかげさまで」



「おや?右頬が少し腫れてますが、どうかされましたか?」


 ロイドは、心配そうに顔を近づけてくる。


「いや~ 今朝、ベッドから落ちてしまって、あはははは」


 ロイドの後ろにいたアリサと一瞬だけ目が合ったが、プイっと顔をそむけられてしまったので、きっと、まだ機嫌は良くないのだろう。


 食事が終わり一息ついたところで、ロイドに今日、旅立つことを伝えた。


「そうですか、もう少しゆっくりなさっていっても」



「お心遣いありがとうございます。でも、あまり長居してもご迷惑になるので今日、出発します。出発の前に、国王様に、ご挨拶したいのですが、よろしいでしょうか?」



「わかりました。では陛下のところへ参りましょうか」


 ロイドと長い階段を上がり、何度も通路を曲がってやっと国王の部屋の前まで辿り着いた。重厚な扉がいかにも王の部屋という感じを醸し出している。


「お~ カナデ殿、旅の疲れは癒せたかね?」



「はい、手厚いおもてなし感謝いたします。旅の疲れも癒えたので、今日、旅立とうと思います」



「そうであったか、気を付けて行かれるがよい」



「ありがとうございます。もしよければ、王妃様にも、ご挨拶したいのですが」



「……」



 その言葉に国王もロイドも急に黙ってしまった。何か悪いことを言ってしまったのだろうか。俺はキョロキョロしながら2人の顔を交互に見る。


「か、カナデ様! それは……」



「ロイド、よい。これも何かの縁。カナデ殿には、お話ししよう」


 黙り込んでいた国王はようやく重い口を開く。


「王妃、つまり私の妻アイラは魔族に憑りつかれてしまい、もう10年の間、眠り続けておる」


「そうだったんですか。余計なことを言ってすいません……」


 俺は申し訳ない気持ちになりながらそのまま国王の話に耳を傾けた。


「もともと、魔術師で魔力の高かったアイラは格好の標的になってしまい、今でも魔力を吸われ続けておるのだ。だが、もう長くは持たないだろう。もってあと半年ぐらいと言われておる」


「何か手立てはないのでしょうか?」



「あるにはあるのだが……」



「どうすればよいのですか?」



「外部から一定量の魔力を送ると一時的に姿を見せる。そこで討伐するしかないのだ。しかし、相手は七魔獣の一人、ナイトメア。簡単に倒せるものでは……」


「かつて、名のある冒険者たちに、討伐を命じたが、皆、帰らぬ人となってしまってな。いずれアイラの魔力を吸い切り、強大な力を得たナイトメアによってこの国はどうなってしまうかわからん」


「だから私はエリナをこの国から遠ざけるために縁談の話を進めたのだが…… あの子は誰に似たのか、頑固でなぁ。アイラは自分が助けると言って聞かんのだ」


 そうか。だからあんなに強くなることに固執していたんだ……


 知らなかったとはいえ、彼女を傷付けて泣かせてせしまった自分を情けなく感じた。


「あの子はアイラが憑りつかれた8歳の時から今まで、年上の男の中に混じって、厳しい訓練を受け、剣だけにすべてを注いだ人生を送ってきた。父親としては、それが不便でしかたないのだ。それで、これからは、剣を握らなくてもよい生活を送らせようと思ったが、分かってもらえなくてな」



「……」



「あの子なりに男の中でも、負けないように頑張った結果、あんな性格になってしまったが本当はとても優しい子なのだよ。カナデ殿にも、何かとご迷惑をお掛けしたが、理解してもらえると父親としてもありがたい」


 聞かされたエリナの境遇や、彼女を傷つけてしまったという気持ちで胸が張り裂けそうになる。



「国王様!! 俺、いや 私にナイトメア討伐の命をいただけないでしょうか!!」


 そう、これは俺がやらなければならない最初の仕事だ。


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