第11話 真夜中の訪問者~1
ロイドと城内に入り、待ちに待った食事にようやくありつけた。緊張と疲労で喉がカラカラだった俺は、席につくと、真っ先にグラスに注がれた水を一気に飲み干す。
「カナデ様、お疲れ様でした。まさかエリナ様を打ち負かしてしまわれるとは!」
ロイドは少し興奮しながらグラスに二杯目の水を注いだ。
「いやぁ~ 偶然、勝てただけですよ」
「またまたご謙遜を。森で助けていただいた際に、タダ者ではないと感じておりましたが、ここまでとは思いませんでした。良い試合を見れて、このおいぼれも、久しぶりに興奮しましたぞ!」
「ありがとうございます。でも、王女様は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫! エリナ様は剣だけではなく、精神もお強い方ですぞ。明日には、ケロッとしていることでしょう!」
俺の心配をよそに、ロイドは笑いながら答えた。
「あ~美味しかった~ ご馳走さまでした」
あまりの美味しさにテーブルに用意された、すべての料理をぺろりと平らげてしまった。
「これはこれは。ご満足していただけたようで。お部屋をご用意いたしましたので今夜はそちらにお泊りください」
「アリサ! カナデ様をお部屋にご案内しなさい」
「かしこまりました。カナデ様、どうぞこちらへ」
食堂を後にし、外に出るとすっかり日が暮れている。庭園を抜けて、5分ほど歩き、離れにある客人用の宿舎に案内された。
「こちらのお部屋でございます。近くにメイドが常に待機しておりますので御用がございましたら、ベルでお呼びください。それでは、お部屋の中をご案内いたします」
アリサと部屋に入り、最初に目に飛び込んできたのが、30畳ほどの綺麗に磨かれた大理石の床。そこに置かれている家具も高そうなソファーやテーブルばかりだ。
「あちらの奥が寝室で、その隣が浴室でございます」
「すごい部屋ですね~」
「こちらは、他国の貴族の方々がお越しになられた時に使われるお部屋でございます」
「えっ!? いいんですか俺が使っちゃっても?」
「はい、大丈夫です。国王様より、こちらのお部屋を用意するように申し付けられましたので」
「あれはなんですか??」
部屋の隅にあった縦長の箱を指さす。
「あれは保冷庫ですよ。中に氷の魔蓄石が入っております」
「あの魔蓄石ってなんですか??」
「魔蓄石は魔力を貯めることのできる石です。氷の魔法をかけると氷の魔蓄石に、火の魔法をかけると火の魔蓄石になります。私たちの生活には欠かせないものなんですよ」
なるほど、便利なものがあるんだな……
アリサに一通り説明を受け、礼を言うと、まずは風呂に向かう。この世界に来てからというもの嫌な汗をかきっぱなしだ。
俺はシャワーで汗を流し、湯舟に入る。湯舟の四隅には、こぶし大の石が沈められていた。おそらくこれが火の魔蓄石だろう。
20分ほどゆっくり浸かって、風呂から上がり保冷庫なるものを開けてみた。要するに冷蔵庫だ。
「いろいろあるなぁ~ これはなんだろう?」
小さな瓶に入った褐色の液体を取り出し、匂いをかいでみる。
「ビールの匂いだ!! しかもキンキンに冷えてやがる!!」
二杯ほど飲んだあと、ソファーに腰掛けウインドウを開いて、今日の復習を始めた。なんとレベルが10も上がってる。きっと昼間の戦いのおかげだろう。
スキルはどうかな?
・・・『シークレットステータス閲覧が使用可能になりました』
・・・『見切りLV2が使用可能になりました』
・・・『切り返しが使用可能になりました』
3個使用可能になった。いつ合成できるようになるか分からないし、こまめにチェックしておかないとなぁ。
・・・『0時になりました』
もうこんな時間か、今日は疲れたしもう寝るか。ウインドウを閉じて寝室に向かおうとしたその時、突然ドアを叩く音が鳴り出す。
ドンドンドン
「な、なんだろう? こんな時間に? こ、怖いから無視しよ」
ドンドンドンドンドン
さらに激しく扉を叩いてくる。
一体なんなんだ? 俺はそっと覗き穴から覗いてみると、扉の外にはフードを深く被った人物が立っている。フードのせいで性別までは分からない。
「ど、どちら様ですか??」
ゆっくりと、扉を開けると謎の人物は、勢いよく部屋の中に飛び込んできた!
「さっさと開けなさいよ! 見つかったらどうするの!」
謎の人物は被っていたフードを脱いでこちらに顔を向ける。俺は顔を見て思わずため息をついた。なぜなら今から間違いなく面倒なことが起きるとわかったからだ。
謎の人物の正体、そうエリナだ。




