第10話 ボーイミーツプリンセス~4
「さて、続けましょうか」
「はっ!」
彼女の声で、ふと我に返る。でも一体どうすれば……
回避できても、こちらの攻撃が当たらない以上は勝ち目がない。
しかし、ここで負けているようじゃ到底、世界なんて救えるわけがない。諦めてはダメだ!
とりあえず、ダメ元で手当たり次第にウインドウを開いて何かヒントを探す。
ん? スキル画面を見ると『高速抜刀』と『未来視』が点滅している。なんだろう? 画面をタッチしてみる。
・・・『スキルを合成しますか?』
もちろん『はい』を選択した。
・・・『カウンターを習得しました』
・・・『使用可能です』
カウンターかっ!
そうだ! たしか風のバリアは、防御姿勢の時にだけ発動するんだよな……
それなら相手の攻撃中に攻撃すれば跳ね返されないはず。
このカウンターが突破口になるはずだ!!
チャンスは一度しかない…… 次の一撃にすべてを賭けよう。
「あのー、お願いがあるんですがよろしいですか?」
「なにかしら? 降参でもするの?」
「俺も剣を替えたいんですけどよろしいですか?」
「好きにするといいわ」
俺は城内を警備をしている近衛兵に剣を鞘ごと借りた。
「お待たせしました、続きを始めましょう」
そう言って、左の腰のあたりで鞘を持って剣を構える。
「あなた、鞘から抜かないでどうやって戦うつもりなの? 気でもおかしくなったのかしら?」
彼女は俺の構えを見て鼻で笑う。
「気にしないでください、この構えで俺は勝ちますから」
内心では成功するか不安だったが、気持ちで負けたら失敗すると思い、あえて強気な態度で臨む。
「この状況で、ずいぶんな自信ね。その自信も、打ち砕いてあげるわ!!」
「これで終わりよーーーー!!」
剣を振り上げ、こちらに鬼神のごとく、向かってくる。正真正銘これが最後だ。
・・・『未来視発動』
見えた! 0.42秒後に右上から振り下ろしてくる!!
0.13 0.25 0.35 0.42
「今だ!!!」
「いっけぇぇぇぇーーーーーー!!」
彼女の剣の軌道に合わせて思い切り、剣を引き抜く。
「キィーーーーーーーーーーーン」
甲高い音とともに彼女の剣は、勢いよく弾き飛ばされ地面に突き刺さり、あたりは水を打ったように静まり返る。
「私が負けたの?」
彼女は膝から崩れ落ち地面をしばらく見つめ呆然としている。
「も、もう一回よっ! 今のは偶然よ、偶然、そう偶然に決まってるわ」
そのまま彼女は、自分の剣を拾い、もう一度こちらに向けて剣を構えた。どうやらまだ納得いかないらしい。
「そこまでっ!!」
後ろから聞こえた男の声に兵士達は慌てて道を開ける。その声の主は国王だった。
「カナデ殿、娘のワガママに付き合わせて申し訳なかった。遅くなってしまったが、ゆっくりと食事を堪能していくとよい」
「ロイド、お連れしなさい」
「陛下、かしこまりました。ささぁ、カナデ様、参りましょう」
駆け寄って来たロイドのあとに付いて、気まずい空気の中を下を向きながら歩きだす。
「ちょっと待ちなさいよ!」
呼び止められ俺は、立ち止まって振り返った。
「いい加減にしなさい! お前は、来月にはこの国を離れて剣を握らない生活になるのだぞ。そんなことで、どうするのだ!」
「お父様、わたしは、結婚なんて絶対にしませんっ。そもそも、なぜ私がいま国を出ないといけないの? それに私だって子供ではありません! 結婚相手ぐらい自分で決めます!」
彼女も国王に対し負けじと反論する。
「わかりました。そこまで結婚させたいなら、あの人と結婚してこの国に残ります!」
彼女が指さしたのは、そう、俺だった。
ええーーーー! おっしゃっている意味が分かりませんが??
おいおい、いきなり何を言い出すんだ……
この王女様は……
「お願いします!私と結婚してください!」
「エリナ! これ以上、カナデ殿を困らせるでないっ!」
「カナデ殿、何度も本当にすまない」
国王は申し訳なさそうにこちらに頭を下げる。
俺は、ただただ、彼女の唐突な提案に苦笑いするしかなかった……
「もういいわ、でも私はこの国を絶対に離れないからっ!」
彼女は、自分の剣を鞘に納めるとそれ以上は何も言わずに城内に消えていった。
はぁ、転生初日から、これだとこの先どうなるんだ……




