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だんだん  作者: 武上渓
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だんだん7話



ー7話



小林のnewアルバム「犠牲のいらない世界」はヨーローパ、アジア、アメリカで奇跡の0を記録した。音楽の世界にもコレクターが居て0はあり得ない。楽曲配信は謎のトラブルでダウンロードできなかった。CDも入荷せずコレクターですら手に入れられなかった。その在庫をアラブの富豪達が、自分の船でごっそり持ち出し、2000万枚がアラブ世界で売れた。YouTubeは小林のカバーで埋め尽くされた。アルバム自体を発禁にしても、拡散された歌は消す事が出来ない。

中東ツアーから帰って来た小林は、セントレアで特捜部に身柄を拘束された。容疑は、所得を正しく申告せず脱税しただった。

検察の取調室ではなく、総理官邸に連れていかれた。


高級ホテルの最高級スイートのような部屋に瀧澤総理大臣と差しで座らされた。

「小林さん。私は、大学生だった。政治家になるか起業家になるか迷っていた」

秘書が来て、総理の耳元で何か囁いて去って行く。

「考えていたらね。下北沢で降りるつもりが、池上で降りてしまった。改札も出てしまっていた。仕方なく歩き始めた。そして、小林さんが歌っていた。夢を見るには街は 今日を生き抜くだけで精一杯 でも夢を見なけりゃ 明日が怖くてたまらない」

低音で響く声だった。

「懐かしい。今はもう歌わなくなりました」

「今日を生き抜くだけの人々に、夢を見る余裕をあげたい。そう思った。それで政治家になった」

再び秘書が来て、囁いて、去った。

「犠牲のいらない世界。私は、その通りと思う。その世界をこの手で引き寄せたいと思う。しかし。今それをしたら、戦勝5ヶ国の経済が崩壊する。私にそれが出来ると、小林さんは思われますか?」

「そんなことで崩壊する経済をなんとかするべきと思います」

「10年掛かるでしょう。価値観をかえねばならない」

小林は総理を見た。

「急過ぎますか?今のアラブ世界は?」

「アラブ世界は、キリスト教圏を考えず、キリスト教圏はアラブ世界を考えない。価値観を押し付け合う。それに小林さんは火をつけた。消さねばなりません」

「中東ツアーでファンと話しました。彼らはそれほど過激になってません。むしろ、ヨーロッパ、アメリカの方が過剰に悪い方向に過激になってます」

「何か?案がお有りですか?」

「僕のファンは今、世界全ての国にいます。ファンミーティングを東京でやりたいです。参加資格は、小林智昭のファンであることのみで」

総理は微笑んでうなずいた。

「おもしろい。東京ファンミーティング……手配します。私に任せて頂けますか?」

小林は容疑不十分で不起訴になった。

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