だんだん4話
ー4話
まっ赤に返り血を浴びたジャマルが迷彩服をどけてくれた。
「奇跡や。SAS相手に二人とも無傷や」
小林は声も出ない。返り血が口の中に入り込む。
死体を見て、胃の中の物を吐き出す。
村人が集まってきて運ばれる。地下水を貯めた地底湖で体を洗ってくれた。
「フェダーイン」
としきりに体を洗う男が言う。
隣で、ジャマルが自分で体を洗っている。
「フェダーイン。戦士や。SAS。スペシャルエアサービス。イギリスの精鋭特殊部隊。小林さんが倒した。だから、これからは戦士と呼ばれる」
「人を。殺した?」
ジャマルは小林の顔に目を寄せた。
「戦場に人は居ない。兵士は人ではない。だから殺す事ができる」
「ジャマルをナイフで殺そうとした。だから助けようとした」
「背中を向けた。小林さんが兵士でなかったから。彼のミスだ。その報いを受けた。戦場で迂闊な者が受ける罪を。戦場の神が小林さんの体を借りたのだ。小林さんが殺したのではない」
光治さんが来た。
「我々二人が居ることが漏れた。ここを出ないと第2波が来る」
「なぜです?」
「戦争継続の障害だからだ。平和こそが最も彼らが恐れていることだ」
「彼等って?」
「戦場に居るすべての将官と、国に居る大統領、首相、第一書記長、指導者」
「支持してるのは民衆でしょ?みんな平和を求めている」
「いや。違うよ小林くん」
「……」
「補助金を求めてる。外国での保護を求めてる。自分の信じるものを、それを信じない者に押し付けるためにね」
「そんな!戦争の原因が民衆に有るって言うんですか!」
「正確には、民衆の株主にプレッシャーを掛けられている経営者だ。彼等は、人々の為に大統領にこう言う。あそこ更地にしてくれと」
「光治さんは、どうすれば良いと?」
「政府や税金から自立することだ。商売を切り開き維持するのは、政府ではない。補助金でもない。民衆自身の工夫と努力だ。しない者は倒産する。しない者を保護するからこの有り様だ」
「民衆に向かって歌えと?」
光治は首を振った。
「ロバートAハインライン。宇宙の戦士。彼等を知識に導けても、考えさせることは出来ないのだ」
小林は出来ると心の中で呟いた。