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第一異世界人発見!接触を試みてみます[中編]

 なんなのよそれっ!

 有り得ない位に振動が伝わって来た私がヘタレのチキンみたいじゃないのっ!

 失礼にも程度ってものがあるでしょう。

 確かにね、異世界に来て外に行ったら猫の野郎に食べられそうになって恐い思いはしたけど。


 ヘタレじゃないもん!

 チキンじゃないもん!

 ・・・たぶん。


 えっと・・・ほら、あれだよ、あれ・・・なんて言ったっけ?えっと・・・扁桃腺辺りまで出て来てるんだけど・・・えっと~・・・あっ!!

 慎重なだけだよ!

 だってミニマムで弱々なハムスターが大手を振って闊歩出来る程に異世界は優しくないんだもん。

 いろいろと慎重になって当然よね?

 だ!か!ら!

 ヘタレでもチキンでもないのよ!

 ・・・たぶん。


 ・・・なによぉ。

 14歳の乙女な中学生に世紀末覇王みたいな度胸なんて備わってる訳がないでしょう。

 いや、有る方がおかしいでしょう。

 だから私は普通なの。


 ・・・えっ?

 その割には態度がキングサイズ?

 う、う、う、うるちゃぁい!

 私だってね、好きでやってる訳じゃないのよ。

 起きたら異世界でハムスターになっていて。

 外に出たら食われそうになって。

 猫に引っ掻かれた傷が死にそうな感じに酷くて。

 それなのに、誰にも助けを求めれなくて。

 1人で寂しく身を守る為にえっちらおっちら穴掘りしまくって

 ・・・

 ・・

 ・

 ボッチは寂しいのよぉ。

 だから脳内に架空の人物を作って会話してるみたいにまでしてるんだから。


 クソッ!

 泣けてきたよ。

 だけどハムスターの身体は涙が出ないから泣きたくても泣けないし・・・

 泣けないから仕方無く偉そうな感じで強がってるのっ!


 ・・・ホントに1人はイヤなのぉ。

 歌詞にも有るでしょ?

 『ひとりが辛いからふたつの手を繋いだ』

 だっけ?

 だからね・・・

 誰かと何でもいいからお話しがしたいのぉ。



〔1日が過ぎて・・・〕



 ヤッホー!

 今日も軽快にラビリンス作りに没頭しているシズネだよ?


 ・・・えっ?

 大丈夫かって?

 ・・・なにが?


 私、弱音なんて吐いてないよ?

 きっと空耳とか聞き間違えじゃないの?

 だって私が弱音なんて吐く様な性格してると思う?

 絶対に気のせいだって。

 それよりね、聞いて聞いて熟練度700の【破砕】も覚えたの。


 これね、土にやるとあんまし効果無いんだけどね。

 石に使ったら粉々になったんだよ。

 思わず『へっ?』って言って呆然としちゃった。

 だってだって、私と同じ位の大きさの石が全部砂利位に粉々なるのよ。

 想像以上でビックリよっ!


 そう言えばさぁ。

 砂利で思い出したんだけどね。

 水槽に入れる砂利って有るじゃない。

 あれってね買ってきたらちゃんと中性洗剤で洗って天日干ししてから使わないとダメなんだよ?

 そのまんま即使うとね、とんでもない物が入ってる時があるのよ。

 私が見たのはね・・・ヒルが入ってたの・・・

 そう、あの生き血をすするヒルよ。

 ヒルなんて初めて見たから『なっ!』って言って固まっちゃったよ。


 って、あれ?

 振動が1つしかしなくなった?

 なんでだろう?


 ・・・なによ?

 ちゃんと使える様になったわよ。

 外に顔をだけ出して猫の歩く振動をキャッチ出来る様に設定したんだよ。

 もちろんビクビク恐々しながらやったさ。


 ・・・あたりまえでしょう?

 私は狩られる側なんだから。


 にしても・・・この振動はかなり大きいわね。

 足音を隠さなかった猫の3倍位の大きさの猪より大きい振動なんだけど・・・

 でも・・・なんだろ?

 何か違和感が・・・って言うか覚えの有る感じがするんだけど。

 ・・・

 ・・

 ・

 ダメだ、わっかんないや。

 こっそり確認しに行こう、気になって仕方ないしね。


 うーん・・・振動の主がどっちに居てどっち向かってるかは大まかには分かるんだけど。

 細かい事は分からないのよね。

 ほら。

 遠くから自分に向かってボールが真っ直ぐ転がって来ていても、近くまで来ると微妙な誤差で自分の真ん前じゃなくて左右に逸れるでしょ?

 それと同じでね。

 主は今、私の居る方に向かって来てるのは確かなの。

 でも。

 どっちの出入り口から見たら安全なのかが、その誤差のせいで決めれないのよね。

 ・・・

 ・・

 ・

 よっし決めた。

 最初の出入り口から見よう。

 あっちの方が見渡すのには向いてるからね。

 女は度胸だっ!

 見てくるぜっ!


 ・・・・見ています。

 ・・・・あ、あれは。

 人だぁっ!

 あれは二足歩行の振動だったんだ。

 覚えが有るわけだよね。


 でさぁ、人と遭遇して嬉しいんだけど会話は可能なのかな?だってハムスターだよ?人の言葉が喋れるのかな?

 喋れたとしても言葉は通じるのかな?

 ・・・そこはダメ元か。


 それよりも・・・

 何か微妙な人なんだよね。

 話掛けるのに躊躇するって言う感じの。

 あのね、とある宇宙の帝国の皇帝みたいなフード付きマントで・・・暗黒面に染まった騎士が隣にいたらしっくり来る感じの恰好をしていてさ。

 そんな感じの背筋の伸びた人が木に寄りかかって体育座りして本を読んでるだよ。

 しかもだよっ!

 ご飯の木の出入り口の上に座ってるんだよ。


 あっちから出なくて良かったよ。

 土を退かしたら微妙な人のケツって・・・

 イヤ過ぎるでしょ!?

 あっちゃいけない事でしょ!?

 誰が見ても純情可憐な乙女の私がケツに遭遇なんて・・・絶対にイヤッ!

 ・・・

 ・・

 ・

 はいはい、純情可憐じゃないですよ。

 ガサツで大雑把ですよ。

 でもっ!

 乙女だからねっ!

 これだけは譲れんっ!


 なによっ!

 私が乙女じゃなきゃなんだって言うのよ?

 世紀末覇王の手下のモブモヒカン?

 ・・・

 ・・

 ・

 そこを動くなよ。

 【破砕】で骨を粉々にしてあげるからね♪


 私は怖い人じゃないもん

 怒らせるような事を言う方が悪いんだもん。

 乙女だって怒ると恐いんだからね。


 はっ!

 いけない、いけない。

 ぷりぷり状態じゃ会話なんて出来ないから落ち着かないとね。

 ふっふっふひぃぃぃぃぃ

 ふっふっふひぃぃぃぃぃ


 気のせいかな?

 吐いてばっかりな気がするのは。

 ま、まぁいいか。

 問題なさそうだしね。

 さってと、落ち着いた所で接触を試みてみるか。


 いつもなら闊歩かっぽしてる天敵たちも、あの人を警戒して鳴りを潜めてるみたいだし。

 大手を振って私が闊歩出来るって訳よ。

 ふっふふぅん

 なんかすっごい嬉しいんだけど。

 ふっふふぅん



買って来たアクアリウム用の砂利にヒルが入ってたのはマジです。


ヒルのせいでカラス貝が全滅しちゃいました・・・

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