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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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ダメだ・・・限界だ〔中編〕 

 よっしゃー!

 このまま行けば私の落としたい結論に着地するぞ。

 

「確証ですか?」

「そ、この場合は絶対に上手く行くって保証ね」


 誰だって失敗なんてしたくないもんだしね。

 確証とか保証がないとやらないんでも仕方ないのかも知れないよね。

 理解は出来るんだよ。


「おかしくないですか?自分がやる訳でも無いのに保証がないと反対するって」

「その通りだよ。人ってね自分に置き換えちゃうんだよ。自分だったら・・・ってね。スカージュちゃんとシュヴァツ君もそうだと思うよ。例えばさ・・・」


 何を例えにしようかな?

 身近な例えが良いと思うから・・・

 やっぱり私の事かな。


「私が『拒絶の壁』を加工出来るのを全然知らなかったとするよ。知らないなら、私が『拒絶の壁』に穴を掘って家を造るって言ったら何て言う?もちろん何も知らないんだから確証も保証も無いよ」


 さてさて、何て言うかなぁ?

 無理、出来ない、だと思うんだけどね。


「・・・無理、出来る訳無いって言います」

「オレも、無謀な事をやるなら他の事をやったらどうだ?って」

「だよねー普通そうだよね。でも、何でそう言ったの?」

「だって・・・そんな事をした人は居ないし・・・

「やった事がある人は居ないし、自分には出来ないから、でしょ?」

「・・・はい」

「私はね自分に置き換えちゃうは悪い事だと思ってないよ。でもね、他人の可能性を否定するのは悪い事だと思ってる」


 だからね、私は新しい事を始める時は誰にも言わないで始めるの。

 途中経過を見た人には上手く行ったら見せるから、ちょっとだけ期待しといてって曖昧な事を言ってはぐらかすの。


「んま、私は何を言われたって、やってダメだって思わない限りは実行するけどね」

「何でそこまで出来るっすか?」

「何でって、私は出来るって自分を信じてるもん。出来た時の自分を想像してみて、喜んでる自分を実現したいもん。誰の為じゃない自分が一歩先に進む為にやるんだもん。それに・・・」


 誰も誉めてくれなかったからね。

 せめて頑張って出来るようになった自分を自分で誉めたいしね。


「それに?」

「その先は、ひ・み・つそれとも私のダークな部分を知りたいのかな?気分が凹むけど良いのかな?ねぇミランダさん」

「あぁー両親絡みの事かなー?うーん・・・2人は凹むかもねー」


 やっぱり読心してたか。

 仕方ないね、説教って一歩間違えると独善的になっちゃうからね。


「そう言えはノスフラト君もミランダさんも『拒絶の壁』を掘るって聞いても何も言わなかったよね?なんで」

「・・・なんで?・・・分からんのである。しかし、シズネ殿なら出来そうな気がしたのである」

「私もだねー出来るのかな?すら思わなかったなー。あっ!そうそう、私はねスカージュちゃんもシュヴァツ君もシズネちゃんの言ってたブレスってねー2人なら出来ると思うよ」

「同感である。2人共諦めずにやり通した事がしっかりと有るのである。実績が有るのであるから否定などはしないのである」

「オレ達がいつやったんですか?」

「なんだ?自覚してなかったのか?しょうがねぇな。スカージュはシュヴァツの事と仕事の事だ。シュヴァツは畑探しだな」


 2人共頑張ってたよね。

 スカージュちゃんは出来る事が無い、けど何か有るはずだって色々挑戦したけど、やっぱりダメで、それでも諦めないで頑張ってたよね。

 シュヴァツ君の事だって父親の反対を押し切って我を通したわけだしね。


 シュヴァツ君だって作物を作るのに適した土の有る場所を1週間以上探し回ってたもの。

 この辺りには畑に適した土地が無いって判断していたっておかしくないのに諦めなかったもの。


「でもそれは、ここに居れるかどうかが掛かってたし」

「同じだよ、突き詰めちゃえば結局は自分の為だもん。今回は、ここに居れるかどうかが掛かってないだけだよ」

「自分の為って言うならやらなくたって・・・

「やんなくても良いよ。私は、やりもしないで無理、出来ないって言うなって言ってるだけだもん」


 これだけ言ってもダメなら見込み無いよ。

 時間の無駄だよ。


「そうそう、スカージュちゃんの父上が来た時に私達を当てにしないでね?」

「えっ?父上が来るっすか?」

「そりゃそうでしょ、あの水竜君は褒美を貰う権利が有るもの報告位はさせてあげなかったら無駄な努力になっちゃうからね」

「帰しちゃうんですか?」

「他にどうするの?まさか飼えって言うの?・・・私はあんなのは要らない」

「我輩も必要無い」

「モフモフしてないからなぁ」

「頑丈そうだからサンドバックにはなるのかなぁ?」

「ユグスちゃんは要る」

「要りません。使い魔にもなりません」

「って事だから帰って貰うしか無いけど?・・・もしかして、消して貰おうとか思ってるなら自分でやって、そんな怖い事は私出来ないから」

「いやいやいやいや!同族殺しは重罪っす!殺らないっす!」


 戸惑う事無く実行されても困るからなぁ。

 だって、だって怖いよ!

 証拠隠滅する為なら躊躇する事無く殺しも厭わない!

 どこの隠密だっての!

 そんな子達じゃなくて良かったよ。

 あっ!


「それともう1つ、親子喧嘩して何か壊したら暴れた人は全員お仕置きだから。空なんて飛べないから勝てる気は全然しないけど一矢報いてやるんだから!人の物を壊すって事がどういう事かを死んだって分からせてやるんだから!」

「どぅどぅ、喧嘩するって決まった訳じゃ無いんだからーハッスルしちゃダメよー」

「シズネを殺すのは大変だぞ?殺しても死なない奴ってお前みたいな奴の事を言うんだ」

「そ、そんな事ないもん!丸焼きになっても生きてる自信無いもん!溺れちゃっても生きてる自信無いもん!」


 毛は燃えるし、息が出来なかったら苦しいし、私なんかは簡単に死んじゃうんだからね。

 脆く儚くか弱い乙女なんだから。


「父上が来る・・・父上が・・・」


 譫言うわごとの様に父上父上って呟いてるけど、大丈夫なのかな?

 父上ってそんなに怖い人なの?

 

 私のお父さんも怒ると怖かったけど、理由も無く怒ったりしなかったけどな。

 多分、家出したとしても、家出をした理由を分かってくれるはず。

 もちろん家出したって事に対してはメッチャ怒るはずだけどね。


「ノスフラト君、スカージュちゃんの父上ってそんなに怖いの?」

「ヴラドの奴であるか?怖いと言うより世間体や外聞を気にする奴である。此度の家出、奴にしたら恥をかかされた事になるのである。立場が娘であるスカージュ殿に仕置きをするのは間違い無いのである」

「理由が分かっていてもお仕置き?」

「そういう奴である」


 なんかさ、怖いってより自分本位の嫌な奴って感じがしちゃうのは私だけなのかな?

 自分の面子を保つ為にスカージュちゃんにお仕置きをする。

 そんな風に聞こえたんだよね。


 庇ってあげたいって気持ちは有るんだけど、余所様の家庭の事に首を突っ込むのはどうなんだろう?

 目に見えて目に余る事でもしない限りは口も手も出さない方が良いと思うんだよね。


 その時にならないと分からない事かな。

 理不尽な事を言ったり、聞く耳を持ってなかったりするなら、一言言わせてもらうかも知れないけど、スカージュちゃんみたいに素直な子の親なんだから大丈夫だと思うんだよね。


 さてさて、あの2人はいつまで正座してるつもりかな?

 説教は終わったんだし立って立って。


「スカージュちゃんシュヴァツ君、水竜君を起こしに行くよー」

「「あっ!はい!」」


 と、元気良さそうに返事したけど・・・立たないな、何で?

 ・・・

 ・・

 ・

 もしかして。

 くっくっくっ。


「早く行こうよー早くー」

「うわぁぁぁ!シズネさん!ちょっ!うわぁぁぁ!」

「シュヴァツ君もーは・や・くー」

「ぐあぁぁぁ!そ、そこは!」


 くっくっくっ。

 やっぱりだ、足が痺れてるや。

 こりゃ突つかないとねー♪


「ほれほれほれほれ」

「や、やめ、やめ、やめて~」

「ほれほれほれほれ」

「か、か、勘弁して下さいぃぃ」

「どうしたのー?さぁ行こうよー」

「シズネさん分かっててやってますよね!」

「えっ?なんの事?私わっかんなぁい」

「この反応は絶対分かっててやってる!」

「シズネさんの意地悪~!」


 くっくっくっ。

 いやいやいやいや。

 痺れたら突っつくのはお約束ってものなんですよ。

 突っつかなかったら失礼になってしまうんですよ。


 でも、そろそろ止めるかな。

 痺れも止んできたみたいだし、身の危険が迫る前に退避だっ!


「あー楽しかったぁ」

「シズネって虐めっ子だよな」

「なっ!失敬な!足が痺れたら突っつくのが礼儀ってもんなんです!痺れが残ったまま歩こうとすると力が入らなくて足首を捻ったりしちゃうんだからね」

「・・・でも楽しかったんだろう?」

「うん!そりゃもう♪」

「この恨み晴らさで措くべきかって顔で見てるぞ?」


 あっ!ホントだ・・・

 暫くは月の出ない夜の背後は気を付けないと。


「でもほら、譫言みたいに言ってたのは無くなったし、オッケーって事で」

「あたしにはとばっちりは来ないから良いんじゃねぇか」

「アイシャさん・・・冷たい!おっぱいはこんなに温かいのに」

「また挟まるのか、お前は!」

「うん、あのお馬鹿さん目が覚めてもお馬鹿さんだろうから、ミニマムな私は安全地帯にいないと危なくない?」

「言ってろ!でもまぁ、一理は有るかも知れねぇな」


 ほら、お馬鹿さんってさ負けを認めなかったりするのが常套手段じゃない。

 水竜君もかなりの・・・いや!この上無いお馬鹿さんだからさ。

 高確率だと思うんだよね。


「では、気付けるのである」

 

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