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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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ダメだ・・・限界だ〔前編〕

「お前、あたしを追って来たのか?」

「違うと思うのである、その子は最近足繁く通い詰めているのである」

「そうなのか?それは失礼な事を言っちまったな、スマン」

「あっ、いえ、勿体無いお言葉でこざいます。しかし、アイシャ様がここに入るの見かけましたので入るのは迷いました」


 そりゃそうだな。

 現に追って来たと疑っちまったんだしな。


「でも、何でアイシャ様はこの店に来たのでございまするか?」

「ん?ここは、あたし達の店だぞ」

「へっ?」

「だから、あたし達の店」

「魔王様がお店をやっているのでございまするか?」

「まぁな、あたしの品はあんまり売れてないんだけどな」


 どうやら固定客は居るらしいんだけどな。

 ほいほい簡単に出て行く程には売れてないんだ。

 他の品も似たり寄ったりみたいたけどな。


「お主は今日も加工道具を見に来たのであるか?」

「はい、ここの加工道具は綺麗ですから、いつか買いたいのですが・・・値段が・・・」


 スカージュはシズネに貰った材料で作ってるからな。

 希少価値の付く金属製だから、どうしても値段が高くなるらしい。


「加工道具が欲しいって事は、お前もフィギュアとかアクセサリーを作るのか?」

「はい、模型も作ります。あれは面白いです!学校に来てから初めて知ったんですけど丁寧にやればやるほど仕上がりが良くなって、作ってると時間を忘れちゃうんです」


 ほぅ、こっちが素なんだろうな。


「そう言えばなぁ、リアルに作るだけがあれのやり方じゃ無いらしいぞ」

「えっ?それは」

「簡素に作っても、それと分かる様に作れるのは作り手の技術とセンスだって言ってたよな?ノスフラト」

「確かに言っていたのである、特徴だけを残せば簡素化しても何をモチーフにしたか分かるはずとの事である」


 凄い極端な例を見せてたしな。

 丸と線だけで人型って言って書いた物が確かに人型に見えたからな。


「私には・・・まだ無理だと思います・・・出来るイメージが湧かないのでございまする」

「お前もやる前から諦める奴なのか、ならあたし達の所には来れないな」

「えっ?」

「話が見えないのであるが」

「あぁ、こいつな卒業後に『断崖荘』に来たいそうなんだ」

「なる程、ならば我輩も同意見である」

「何ででございまするか!?」

「シズ、いや、悪魔の親玉はな消極的な考え方を許さない奴なんだよ」

「くっくっくっ、悪魔の親玉であるか、本人が聞いたら怒りそうであるな。しかし言い得て妙である」

「私はどうしたら・・・」

「失敗を恐れないで、やるだけやってみる!何度やってもダメだったら仕方ない、その時は諦めよう。だってさ」


 全く、シズネみたいに全員が全員前向きに考えれる訳じゃないってのに無茶を言うよ。

 だけど、完全否定は出来ねぇんだ。

 やる奴と、やらない奴の差ってものは明らかに現れるからな。

 こいつは、どういう選択をするかな?



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 じーんせい勇気がひーつようだー♪

 挫けりゃ誰かがさーきに行くー♪

 あーとかーらーきぃたぁのぉにーおーいこーさーれー♪


 あっはっはー

 久々に歌った気がするよ。

 しかし、渋いチョイスをしたと我ながらに思うよ。

 チョイスは渋いけどさ、またまたうろ覚えだから歌詞がゴチャ混ぜな気がするよ。

 私が産まれる前からやってる時代劇だから勘弁して欲しいな。


 ん?なに?

 ・・・歌詞許す、このババァ?

 だ、だ、誰がババァだゴルァァァ!

 私はまだ14歳!

 この世界の年齢なら7歳だ!

 まだまだピチピチだっ!


 ・・・パツパツの間違いだろう?

 脳内!

 貴様、余程死にたいらしいな!

 今は無理だが、いつか必ず消去してやる!

 必ずだからなっ!

 全く脳内は失礼極まりないよ!

 よりにもよってババァって何よ!ババァって!


 あっ・・・でも今、スカージュちゃんとシュヴァツ君を正座させて説教してるんだよな・・・

 これって、スナフキンの爺様が言ってた子持とか孫持ちになった時の性格なのかも知れない。


 私は基本的に他人はどうでも良いって感じだからなぁ。

 だから説教している私って・・・ババァで合ってるのかも知れない。


 ・・・ちょっとだけ、ちょっとだけだよ。

 物悲しさがあるなぁ。


 でもまぁ、説教はキッチリとなるべく分かり易くしないとね。


「シュヴァツ君!スカージュちゃん!何でやりもしないで、無理、出来ないって言うの?」

「だって、無理っす」

「そんな芸当が出来る訳ないです!」

「何で言い切れるの?シュヴァツ君のお父さんのブレスも実現する前は同じ事を言われていたんじゃないの?」

「それは・・・」


 説教の理由はね、ブレスに多様性を持たせらんないかって事を提案してみて猛反発されたからなんだ。


「父さんとオレは違います」

「その通りだね。シュヴァツ君のお父さんは自分を信じてやり通した。だけどシュヴァツ君はやる前から諦めてる、お父さんの足元にも及んでないね」

「シズネ、それは言い過ぎじゃ・・・

「アイシャさんは黙ってて欲しいな、厳しい言い方なのは自覚してるからさ。でもね、今は厳しい言い方をしないとダメだと思うの」


 本気でそう思うの。

 たくさん努力して頑張ってダメだったら諦めも付くだろうし、誰も文句は言わないよ。

 でもねやりもしないで言うのは納得行かない!

 正直、許せない!

 だから。


「2人共さこんな言葉は知ってる?出来る出来ないじゃない、やるかやらないかのどっちか。って言葉なんだけど」


 私は何度も言われて来たんだよ。

 私の両親にね。

 でね、出来る訳がないって思いながらもイヤイヤやってみたら、出来た事柄が何個もあったの。

 そりゃ出来なかった事柄もあるよ。

 でもね、出来ないながらもやったって事は他の事に活かされる事が多かったんだよ。

 だから、無理、出来ないって思っても、やるって事が大事だって思ってるの。


「スカージュちゃんさ、穴を2000個掘れば私のステータスに近付けるよって言った時も出来ないって言ったよね?アイシャさんはどう?絶対出来ないと思う?」

「出来るだろう?2000個は確かに多いけどよ諦めなきゃ出来るだろう」

「そんな・・・あたしは・・・」

「スカージュちゃん?私が言いたいのはね、絶対に出来るようになれって事じゃないの、最初から諦めて何もしないってのがダメだって言ってるの。諦めないでやってみて欲しいの。もちろんやったって出来ない事が有るのは分かってるよ。でもね努力した事ってのは別の何かで役に立つ事だってあるから無駄にはならないと思うよ」

「それは言えてるな、あたしも経験あるぞ。昔な、何とか空が飛べないかって頑張った事があるんだ。結局飛べなかったけどな、でもなジャンプの骨はそれで掴んだぞ」

「でも、あたしはシズネさんみたいに才能が有る訳じゃ・・・」


 今度は才能と来ましたか。

 うーん、私に才能?

 あるのかな?

 ここは、イヤだけど、ホントに心底イヤだけど。

 奴に聞くのが一番かも知れない。

 脳内!


 ・・・ホント私を貶す時は嬉々として出て来るんだから。

 でも、あんたもそう思うのね。

 私は愚直なだけで鈍臭くて才能なんて見当たらないよね。

 自分でも同意見だけどさ・・・人に言われるとイラっとする反面、凹む度合いも地面にメリ込む位にあるね。


 はぁ、脳内サンキュー。

 凹んだけど確認できたよ。


「シズネちゃんは才能は少ないと思うよー」


 ぐっ・・・リアルでも言われてるし。


「『断崖荘』を造るんだってー、他の物を作るんだってー、何度も試作して失敗してムキャーって言ってるしねー」

「そうなんですか?見た事がないです」

「最近はね新しい事に挑戦してないからねー」


 明日からムキャーな日々が帰ってくるよ。

 おっちゃんから木材を買ったから色々挑戦開始だよ。


「そうだなー、シズネちゃんが言ってる事って、あたしは良く分かるのよー、しないって事は自分の可能性を自分で消すのと同じなのよねー」


 あっ!

 凄い分かり易い、さすがはミランダさんだな。

 でも・・・

 おいしい所を持って行かれた?

 ・・・

 ・・

 ・

 そんな事はないよね?

 気のせいだよね。

 私の言いたい事を理解してるって言ってるし、きっとじれったくなって助け舟を出してくれたんだよね。


 それでもダメなのかなぁ。

 ミランダさんの助け舟は分かり易かったんだけどな。

 それなら、次は・・・


「スカージュちゃんさ、鍛冶を始めるって友達に話したら、どんな反応が返って来たと思う?シュヴァツも考えてみて」


 これでダメなら私には打つ手が有りません。

 分かって・・・納得して欲しいな。


「・・・分からないです。頑張れって応援してくれるかも知れないけど、スキルも無いのに出来る訳ないって言われる気もします」

「オレの場合はスカージュ以外は無理って言うと思います」

「応援してくれそうな友達は大事にしようね。で、だ。鍛冶をする事を否定するのって何でだろう?」


 こっからが難しいかも知れない。

 返事の内容次第で、私の持って行きたい結論に行かなくなるから。


「何でなんだろう?あたしにはスキルが無いから出来ると思えないとか?」

「スキルも有ると思う。周りが誰もやってないからってのも有ると思う」

「確かにね、スキルが無いってのも有るとは思うけど違うと思うよ。上手く行くって確証が無いからってのが一番の理由だと思う」

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