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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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お馬鹿さんが空からやって来た〔中編〕

「分かりました。シズネが相当な規格外であると言う事は」


 ガーン!

 まさかユグスちゃんは私を化け物認定したんじゃ・・・

 私・・・私は要らない。

 高い数値のステータスも、中々習得出来ないスキルも、全部要らない。

 私は楽しく過ごせる友達と場所が有れば他は何も要らないの。

 ハムスターの身としては、かなり贅沢な事を言ってると思うよ。

 でもね・・・


「ユグスちゃ~ん貴女『化け物』って思ったりしなかったー?店主さーん貴男もよー」

「『化け物』とは思ってねぇぞ。ただ・・・

「妾も『化け物』などとは思っていません。いや、思いましたね。その出て来るアイデアに対してならば」

「俺もだ、ステータスとかスキルは俺より凄ぇ奴は山程居るからな。だけどよ、嬢ちゃんみたいに斬新かつ大胆な事を思い付く奴は知らねぇ」

「そうですね、シズネが入学してきて学園の風習の更なる改善を期待しています。ですが、それと同等に違う風習を生み出すのではないかと不安でもあるのです」


 つまりは、ステータスとかスキルなんかはどうでもいい、お前の思考回路はおかしいんじゃねぇの?

 って事?

 それはそれで、なんだかなぁ。


「それは仕方ないのである、シズネ殿は転生者ゆえ思考の仕方や常識などが前世のものも多々あると思われるのである」

「そう言われてみれば備考欄に有りましたね」

「嬢ちゃんは俺なんかにゃ想像も出来ねぇ様な所に居たって事なんだな」

「そのようですね。機会が有ったら、その世界の話を聞かせて頂きたいものです。さてと、本日はこの辺りで失礼させて頂きます」

「俺もそろそろ出ないと飛行ユニットの延長料金取られちまうな」

「もう帰っちゃうのかー・・・ちょっと寂しいね」


 お客さんだもんね、帰っちゃうのが当たり前だよね。


「ふふふ、また来ますよ。ここは静かでとても好ましいですからね」

「おぅ俺だってちょくちょく来るぜ、倉庫も造ってもらうんだしな」


 そっか、サヨナラじゃなくて、またねなんだよね。

 寂しがる事はないんだね。


「うん、次に来た時もビックリする様な物を造っとくからね。まだまだ沢山造りたい物が有るんだから」

「そいつは楽しみだな!」

「何を造るのでしょう?・・・聞くのは野暮と言うものですね」


 聞かれたら答えるけど?

 でも、知らないで居る方が楽しいかもね。

 予定としては、お風呂場を完成させる!

 その前に玄関の改造。

 その2つと平行して『断崖荘』とおっちゃんの倉庫を造る。

 それが終わったらミランダさんの作業場造り。

 その後はエレベーターだね。

 やる事がいっぱいだよ、遊びたいけど遊んでる暇が無いぞ。


 ん?

 外に出た途端に【振動感知】に反応が、また上から何か来てる?

 しかもすっごいスピードで。


「どうした?」

「また上から何か来てるの」

「客か?」

「分かんないけど・・・青い何かだよ、ほら」

「遠くてハッキリとは分からねぇが、あのシルエットはドラゴンじゃねぇかな?」


 ドラゴン?

 ・・・スカージュちゃんマジで友達を呼んだのか?

 にしては来るのが早くないかな?

 何にせよ、私のとる行動は1つ、隠れるのみだっ!

 

 今回はアイシャさんのおっぱいに挟まるのだ。


「・・・シズネ・・・相変わらず怖いのか」

「もちろん!正体不明なものは全て怖い!」

「はぁ・・・それでホントにあたしより強いのか疑問だぞ」

「何度でも言う!私は強くない!」

「まぁ、いきなり攻撃するよりはましだから良いけどよ」


 いやいやいやいや。

 そんな更に恐ろしい事は私はしないよ、私はね。

 明確に敵ってなら、スカージュちゃんにブレスをやってもらうかもね。


 で、あれは敵?


「スカージュちゃん、あれは友達?」

「水竜の雄に友達は居ないです」

「じゃシュヴァツ君の友達?」

「オレにも水竜の友人は居ませ」

「って事は・・・敵だね!スカージュちゃんブレスで迎撃だっ!」

「うぇぇぇっ!?あたしっすか?」

「届くでしょ?あのブレスなら」

「届くっすけど・・・」

「ほら人型で出す練習も兼ねてさ、やってみよう♪」

「何でそんなに楽しそうなんすか!」

「だって、スカージュちゃん最強伝説が始まるんだもん。楽しそうじゃない?」

「あたしは楽しくないっす!」


 なーんて言ってるけども、しっかり水竜に手の平を向けて集中してるんだよね。

 実はやる気満々なんじゃないの?


 おっ!おぉっ!

 赤玉が出来て来た、そしてー・・・バシュー!


「出来た・・・意外と簡単だったな」

「スカージュちゃんすごいすごい!格好良いよ!」

「スカージュ・・・そのブレスは父さんの」

「うん、小範囲ブレスの練習してたら出来る様になったんだ♪」


 あれ?

 出来たは良いけど当たらなかったね。

 もうちょっと練習が必要って事だね。


「さすがにこの距離になったら直接攻撃が良いのかな?アイシャさん行っとく?」

「めんどくせぇ!それにだ、用事が有るのはスカージュにだろうから、あたしはとりあえずノータッチだな」


 あぁ、家出娘捜索隊の人って事か。

 なら、私もノータッチで良いかな。

 あっ!

 何て考えてたら到着したみたいだね、着地して人化したよ。

 へぇーイケメンの類だね。

 私の好みとは逆のイケメンたけどね。


「おい!貴様等!いきなり攻撃してくるとは何を考えてやがるんだ!」

「攻撃じゃないよ?スカージュちゃんのブレスの練習だよ?」ボソッ

「シズネ・・・お前ってやつは」


 何さ?

 誤魔化すのは当然でしょー?


「誰かいるなんて思わなかったよ、ブレスの練習していただけなんだよ」

「あっそうなの?次からは人が居ないか確認してから・・・って違う!こっちを見ながら撃ったじゃないか」


 ノリツッコミ?

 それとも天然?

 天然なら相当だよ。


「あの子は・・・」

「ユグスちゃん知ってるの?」

「えぇ、スカージュ達の学年と入れ替わりで卒業した者です」


 ふーん、学校の卒業生か。

 んじゃ優秀なんかな?

 ノリツッコミの後、ペラペラ喋ってるけど・・・自画自賛してるだけな気がするんだよね。


「シズネとは違った意味で問題児でした」


 なにっ?

 問題児?

 私が?


「ちょっと待って!今、聞き捨てならない事を言ったわね!まだ入学すらしてないのに私が問題児ってどうゆう事なの!いくらユグスちゃんでも怒るよ!」

「あら?シズネ程の人ならば自覚していると思いましたのですが?」

「品行方正じゃ無いのは自覚してる。だけど問題なんて起こす気ないよ!」

「あ、あのー・・・」

「なにっ!?今、大事な話をしてるの!後にしてっ!!」

「はいっ!」

「シズネ?貴女は確かに問題を自らの意志で起こす事は無いでしょう。ですが、周りの策略にはまり回避する為にとる行動が問題となるのです」

「そ、それは・・・

「貴女が悪い訳では無いのは間違い有りませんが、結果がダメな事が多くなると予想できるのです」


 あり得るから何も言い返せない・・・

 ここで大見得を切った所で、それ見た事かって言われるのが落ちだもんな。

 負けたよ・・・完敗だよ、私は問題児だったよ・・・泣くぞ!


「あ、あのー・・・」

「なにっ!?」

「終わりましたか?」

「えぇ・・・私の完敗で終わったよ・・・」

「それじゃ俺様の用件を言わせて頂きます」

「好きにすれば」


 なんかさぁ、今は完敗した事よりも問題児って事で凹み具合がマックスだよ。

 色々と関心が持てないんだよ。

 無気力状態だよ。


「で、では気を取り直して。スカージュ様一緒に帰ってもらいます」

「やだ!」

「やだと言われても連れて帰ります」

「やだ!」

「あまりしたくは無かったんだが、力ずくで連れて帰ります」

「やだ!」

「ねぇーなんでーそんなに連れて帰りたいのー?居場所を教えるだけでもー褒美は貰えるんじゃないのー?」

「そんなのは知れた事」


 いや、誰も知らないから。

 だから聞いてるんじゃないの。

 こいつは間違いないね。

 決まりだね天然だ。

 しかも弩級クラスの天然かもしれない上に自己チューもふんだんに織り交ぜられてる気がするよ。


「連れて帰ればスカージュ様を嫁に出来るからだ」

「それ一番やだ!父上はいったい何を考えているんだ!」

「さぁスカージュ様帰りましょう」

「やだったらやだ、やだやだ!」


 普通は拒否するよね、スカージュを探せの賞品が自分って有り得ないよ。


「ねぇースカージュちゃんと結婚してどうするのー?」

「そうだぞ、こいつは料理1つまともに出来ないぞ」

「ちょっ!アイシャさん!自分の隠れた特技を発見したからって酷いっす!」

「事実だろ?」

「・・・そうですけども」


 スカージュちゃんだってやって出来ないなんて事はないよ。

 継続は力なり!

 失敗しても、諦めないで精進すればいつか出来る様になる・・・はず。


「料理などできなくても良いのです。俺様はスカージュ様と結婚をし行く行くは至高なる魔王となるのだからな。料理などは下々に作らせれば良いのだ」


 ・・・魔王って至高なの?

 私が聞いた限りだと、種族長って感じしかしないんだけど。


「お前、魔王ってなんだか分かってるのか?」

「もちろんだ!魔族を統べる者だっ!」


 えっと、この水竜君は魔族の頂点に立つ宣言をした・・・んだよね?

 他の魔王に喧嘩を売る宣言をしたって事だよね?

 ・・・天然・・・通り過ぎてるよ、ただの馬鹿だったよ。


「付かぬ事を聞くのであるが、他にスカージュ殿を探している者も同じ様に魔王になるのが目的なのであるか?」

「知らん、だか俺様はなるんだ。そう育てられて来たからな」


 教育されてもなぁ。

 素質がなきゃなれないものって沢山有るんだけどなぁ。


「魔王1人を倒すなど雑作もない」


 えっ?1人?

 ・・・なんかおかしくない?

 ほら、みんなも首傾げてるよ。


「ねぇ、水竜の君、魔王って何人居るか知ってる?」

「王は唯1人、魔王も唯1人だ!」



 

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