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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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ハムスター剥いちゃいました〔中編〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 いやいやいやいや。

 一心不乱にアイシャさんの炙った魚の香草焼きを2人共食べてるよ。

 アイシャさんはニッコニコな上に軽くドヤ顔してるよ。


 確かにドヤ顔したくなる位に上出来だよ、香草が魚の臭みを完全に消し去ってるし、香草独特のエグミは魚の脂が打ち消して香りだけが口の中に広がってる。


 アイシャさんさ。

 料理屋をオープンしてもやっていけるんじゃないの?


「アイシャ、これ本当に貴女が作ったのですか?」

「当たりめぇだろ、シズネは火が近すぎて自分が丸焼きになるってんで、焼き場には近付かないんだからな」

「そうですか・・・お見逸れ致しましたわ。これは本当に見事な出来映えです」

「あはははは、ありがとう。まぁあたし自身も料理の才能が有るなんて思って無かったんだけどな」

「アイシャ様、料理人でもやって行けますよ。このレベルなら値段が高くても納得しますよ」

「ホントよねー、私なら毎日通っちゃうよー」

「あたしは御抱えにしたいっす!」


 皆ベタ誉めだ。


「皆して誉めるなよ、ちこっとこつを掴めば誰でも近い物は作れるはずだからな」


 そのこつが難しいんだって、焼き色の微妙な変化に気が付いて見極めるって事でしょ?

 すっごい微細な事を見極めるって事だもん。


「それにシズネのスープなのですが・・・」


 うっ!・・・アイシャさんの焼き物のレベルで審査しないでよ。

 私のは大した事ないんだから。

 家庭料理の枠を一歩も出てないんだし。


「これはどうやって深く広い味わいを出しているのですか?野菜や肉の旨味は勿論なのですが、それだけでは説明の付かない深みが有るのです」


 ん?・・・この世界の人って出汁とらないからなぁ。

 肉とか野菜とかを煮込んで旨味を凝縮させたり抽出したりしたのをベースに作ってるから味わい深いだけなんだよ?


「そうだぜ嬢ちゃん!このスープは作り方が全く予想出来ねぇ」

「シズネ殿は頭を下げれば作り方を教えてくれると思うのであるが・・・

「聞いたら負けって感じがしますよね、オレだったら・・・

「2人共に分かってるなっ!味を盗みてぇよなっ!」


 ・・・この世界の人って揃って負けん気が強いのかな?

 違うか・・・スキルを駆使して作り上げた物じゃないから自分にも習得出来るって思ってるのかも知れない。


 だとしたら、スキルってそこまで至上の物なんだな。

 ・・・やっぱり例の件は魔王の名前を借りないと危険極まりないって事か。


 私は平気だよ、だけど丸投げしちゃった、おっちゃんが危険なんだよ。

 最悪な結果って事だって有り得る可能性が高いもの。


「さっきの続きなのですがスカージュ、あなたはどうするつもりなのですか?」

「あたしは・・・


 ぬ?

 何の話をしていたんだろう?

 何だか深刻そうな雰囲気なんだけど。


「あのねー、ユグスちゃんの所にー、ヴラド君がスカージュちゃんの行方を知らないかー?ってー、自分で訪ねて来たんだってー」

「ヴラド自ら?そいつは・・・本気って事だな」


 ヴラド・・・ヴラド・・・思い出したっ!

 スカージュちゃんの父上だ。


 つかさ、普通の事なんじゃないの?

 親が探して回るのって。


 私の周りに家出した友達って居なかったから分からないんだけど。

 先ずは親が心当たりを探したり聞いたりするもんじゃないの?

 手を尽くして心当たりが無くなったら人手を頼りに人海戦術をするんだと思うんだけども。

 だから家出直前まで居た学校の関係者に聞きに来るのは当然じゃないかな。

 ましてやユグスちゃんは魔王なんだし、相談を受けていたかも知れないって思っちゃうよね。


「あたしはここでやりたい事を見付けたし、練習して出来る様になりたい事も今日出来たし・・・あたしはここに居たいです。ここに居れば予想も想像もしていなかった自分になれると思います。そして何よりシュヴァツと離れたくはないです」


 最後にノロケかっ!

 実は最後の台詞の時に余所見しててね。

 見ちゃったんだよ・・・ミランダさんとアイシャさんが最後の台詞に『チッ』とか『ケッ』って感じの表情したのを、ほんの一瞬だったけど私は見たよ!

 でもこれは黙っておこう・・・何となく身の危険を感じるんだ、とてつもないレベルの危険を・・・


「そうですか、妾が貴女の居場所をヴラドに伝えたりはしませんが、必ず決着を着けなければいけません。それだけは忘れない様にしないとダメですよ」

「はい、人型でのブレスの練習の目処が立ったら話を着けに行きます。最悪力ずくで納得させます」

「力ずくってお前・・・シズネに毒されてねぇか?」


 なっ!失敬なっ!

 私がいつ抑えつける様な事をしたって言うの?

 私は穏便に交換条件をちゃんと出してるでしょ。


「シズネさんは無理矢理なんかをさせるって事はしないっすよ?冗談と思えない冗談は言うっすけど・・・」


 ・・・はい、ごめんなさい。

 私の冗談はドギツいようです。

 でもでも、スカージュちゃんの新ブレス・・・ゴ〇ラブレスを見て改める決意をしましたので勘弁して下さいっ!


「あたしは無理矢理制圧されたけどな」

「ちょっと待てぇい!先に手を出して来たのはアイシャさんでしょうが!」

「とは言うがな、左腕を落とされて、両脚の骨を粉砕されて、両太腿に大穴空けたのは誰だ?」

「それは・・・私だけど、ああしなかったらアイシャさん破壊しまくったでしょう!それに『楽しいなぁ』って笑ってたじゃない」

「そうだったっけかなぁ?一方的にやられた記憶しかねぇんだがなぁ」

「何をぬかすかぁ!私だって頭の前と後ろにタンコブ出来て痛かったんだから!」


 ぐぬぬぬぬ。

 このままじゃ私が悪者扱いされちゃうじゃないか、それだけは避けたい。

 って、違う!

 不意打ちしてきたのはアイシャさんだし、私は応戦しただけだもん。

 だから悪くないもん!


「あはははは、あの時の2人のイメチェンは斬新だったよねー」


 そうだった、ミランダさんは唯一の目撃者だった。

 しかもミランダさんなら私の味方をしてくれるはずだよ。

 くっくっくっく。


「そう言えばシズネちゃんは止めを刺そうと一瞬考えたりもしたよねー」


 なっ!裏切られた!

 確かに考えたけど・・・後々の面倒を避けるためだもん。


「アイシャちゃんはどこまでも横柄だったしねー」


 うんうん、その通り。


「まーどっちもどっちよねー」

「そういうミランダだって大概だろうが!薬を盛ってモフりまくるとか言った事があったじゃねぇか!あの時はシズネにやられた時より寒気がしたからな」

「そうだそうだ!私だって本気で泣いちゃったんだからな!」

「えぇー私なんて2人に比べたら全然だよー」


 あれ?

 周りが静かなんですけど、なんで?


「嬢ちゃんの物理的って『拒絶の壁』の塊だけじゃねぇのか・・・アイシャ様を圧倒する物理的ってのもあるのか・・・」

「ねぇシュヴァツ、シズネさんってホントは怖い人なのかな?」

「怒ると怖い人ってところじゃないか?それよりオレは2人が震撼したミランダさんの方が怖いんだが」

「言われてみればそうだね・・・」

「ノスフラト、3人が言っている事は本当なのですか?」

「真実である。誠に退屈しない方々なのである」

「退屈って・・・貴男はそういう所だけ鬼気質なのですね」


 あっるぇ?

 もしかしてドン引きした上に悪い評価をされてるのかなぁ?

 このままじゃまずいな、『乙女』じゃなくて『恐怖の』とか『容赦ない』とかの称号が付いちゃうよ。

 な、なんとかしないと・・・


「シズネ!お前、今ステータスはどんなだ?」

「はい?ステータス?なんで今?」

「お前に再戦を挑んで勝てるかどうかの判断素材だっ!」

「えっ!アイシャさんとは喧嘩しないよ」

「喧嘩じゃない、試合だ」


 いやいやいやいや。

 再戦自体初耳なんですけど?

 いつそんな話が浮上したの?

 そもそも喧嘩でも試合でもアイシャさんにはどっちも同じでしょうって。

 それに、前公開したんだからいいじゃん。


「私も知りたいなースキルは大体分かるから良いんだけどー、ステータスはどう上がってるのか知りたいなー」

「シズネさんのステータスっすか?あたしも知りたいっす」

「オレも興味があります。どれだけの数値ならこうなれるのか知りたいです」

「妾も興味あります。アイシャを圧倒する力・・・知っておいて損にはならないでしょう」

「嬢ちゃんのステか・・・聞くのも怖いが興味はあるな」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


 ノスフラト君だけ無言だけど・・・じっとこっちを見てるって事は興味有りって事かなぁ。


「えっと・・・乙女のヒ・ミ・ツ♡って事で!じゃ!」

「スカージュ!シュヴァツ!囲め!ミランダはスキルで先読みだ!」


 なっ!

 私、包囲されてる!

 ノスフラト君とおっちゃんは傍観の姿勢だけど・・・ユグスちゃんが動いた!


「妾も協力致しましょう。些か寒いですが我慢して下さい」


 おぉっ!

 部屋が、部屋が氷漬けになった?

 ツルツッルのカッチコチだ!

 これがユグスちゃんのスキルか、すっげー!


 って感心してる場合じゃ無い!

 逃げねば!


 逃げないと、なんだけど・・・前後左右は塞がれちゃったし。

 それ以前にユグスちゃんの氷漬けで窓と扉、両方とも開かなさそうなんだよな。

 って事は逃げ道は1つだけだね!


「えっ?下?シズネちゃんは穴を掘って逃げるつもりよー」


 なるほど、やっぱりミランダさんは心を読むスキルを持っていたのか。

 今までの事、全部納得いったよ。

 ファーマシストな上に読心のスキルかぁ、すっげー!


 でもまぁ、読めても私の行動は阻止出来ないのさ。

 穴に入ったら私の独壇場だもん♪


「あっ!クソッ!逃げられた!これじゃ手も足も・・・いや、待てよ」


 ふっふっふ、私の勝ちだね。

 ふっふっふ・・・ふあっはっはっは。


「シズネー今からスカージュに穴の中に向かってブレスを使わせるからなー。それとも水を流し込む方が良いかぁ?」



 

 ふと思ったんですけどね。


 書いてはいないんだけど、インゴットの値段設定を間違えていたなぁ・・・と。


 銀や金のインゴットと、オリハルコンやヒヒイロカネのインゴット、値段的にはどっちが上なんだろう?

 きっと後者の方が高いよなぁ・・・等と思ったんですよ。


 書き直すのも面倒だし、貨幣にすると銀や金の価値が上がるという事にさせて下さい。

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