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そのハムスター、享楽家につき ~色々な称号、熨斗付けて返却したいんだけど?~  作者: ウメルヴァ
ハムスターに転生 3章 千客万来

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商談?笑談?冗談?〔後編〕

 この異世界に来てか弱き乙女を守るために正義の鉄槌を下す立場になるとは思わなかった・・・

 スカージュちゃんがか弱いかどうかは疑問符が100有っても足りないかも知れないけど。


 だってさぁ、ゴ〇ラブレスを吐けるんだよ?

 そもそも竜化したら人魔のおっちゃんなんて蹴散らすのは簡単なんじゃないの。


「シズネさん、店長さんがしつこいんです」

「お嬢さん、その髪飾りを譲ってくれー」


 はい?髪飾り?

 私がプレゼントした百合をモチーフにした壁の石で作ったやつ?


「嫌です!これはシズネさんが作って、ノスフラトさんが加護を付与してくれた大事な物なんです!絶対に譲りません!」

「そこを何とかだな・・・

「嫌です!シズネさんからも何か言ってやって下さい!」


 私から?

 えーと・・・


「それと違うデザインで良いなら何個か有るけど、それじゃダメなの?」


 熟練度上げと細部までイメージ出来る様になるために、桜、鈴蘭、朝顔、ドクダミ、紅葉、銀杏いちょう酢漿草かたばみの葉を自画自賛レベルで作れたんだ。

 他にも菊、梅、薔薇、蘭、向日葵、躑躅なんかも作ってはみたんだけど・・・なんじゃこりゃレベルでしか作れなかったんだよね。


 桜と梅は区別がつかなかったし。

 菊、薔薇はじっくり見た事が無いから、半球に切れ込み入ってるだけって感じだったし。

 他のも散々だったんだよね。

 

 とりあえず自信作だけ見せてみるかね。


「おぉ!これもまた凄いな!嬢ちゃん、これは譲って貰えるのか?」

「え~、スカージュちゃん困らせたからヤダー、これは委託に回すー」

「俺は売れると思った物を自分の店に置けるならどっちでも構わねえ、目的は売る事であって儲ける事じゃねぇからな」


 ・・・それってどうなんだろう?

 安く仕入れて高く売って儲けるのが商売じゃないの?


「あはははは、嬢ちゃん不思議か?俺はな自分で見つけた物が売れるのが楽しくて商売をやってんだ。利益は少なくても食って行ける分有れば良いんだ」


 貧乏したって構わないから自分の眼鏡にかなった物を売るって事?

 それなら委託販売の提案したのは間違ってたかな?

 委託販売だからって何でも置く訳じゃ無いだろうけど、どうなの?って物を持ち込まれる事だって有るだろうしさ。


「おっちゃん、委託販売の方は上手く行きそうなの?」

「行きそうだぞ、とりあえず武器防具の類は置かねぇと決めて、他は何でも来いって事にしたぜ」

「それだけ?おっちゃんが売れるのか?って思う物も置くの?」

「売れないと思っても置く事にした。まぁ、無料で置くのは1ヶ月だけだ、それでもまだ置きたいって奴には場所代を取る事にした。後な、委託販売が軌道に乗りそうなら、専門店舗を買う予定だぜ」


 1ヶ月、70日売れなければ見込みは薄いって判断か。

 私は賛成かな、売れない物の為に場所を使うのは勿体ないもんね。


 場所代も、おっちゃんが売れないって思う物に対してはふっかけて出品を諦めさせる事も出来るしね。


「ところで嬢ちゃん、これは幾らで出品するよ?俺は銀貨50枚でも安いと思うぜ」


 この髪飾りは結構自信作なんだよね、でも銀貨50枚?

 高過ぎない?


「ミランダさんスカージュちゃん、2人なら幾らなら買うかな?」

「そーねー私なら銀貨100枚までなら買うかなー」

「あたしも100枚までですね」

「俺も100枚なら妥当だと思うぜ」


 100枚・・・棚に陳列してあった一番安いマテリアルと同じ値段。

 高過ぎない?


 ・・・までならって言ってたね、なら。


「銀貨90枚で売ろう、売上金の半分は私に頂戴ね♪それと、これに色が付いていたら幾らで買うかな?」

「花とか葉っぱにかなー?・・・やっぱり100枚かなー」

「あたしは色によります」

「見た事が無い花だしな、100枚が良い所じゃねぇかな」

「そっか、なら無駄な努力になっちゃうって事かぁ」


 『拒絶の壁』ってね、ノートに挟む下敷きみたいに薄くしないと色が思った通りに付かないんだよね。

 赤を塗ったはずなのに塗料が乾くと黄色になったり緑色になったり青色になったり、その時によって違う色に変色しちゃうんだよ。

 色々と試して2色だけ変色が一定なのを見つけたの、白と黒は必ず灰色になるんだよね。

 だから、灰色にしてから他の色を上塗りしたら思った通りになるかを試してみたいんだよね。


「無駄な努力ー?」

「うん、斯く斯く然々なんだよ」


 私も斯く斯く然々が上手く使える様になったかも♪


「そーなんだー、それなら話は別だなー150から200枚は出しても良いかなー」

「そんなに難しいのか・・・俺は値段を付けるのは実物を見てからだな」

「これも色を付けれるんですか?何色になるんだろう?」

「百合は白とか黄色が定番かな、スカージュちゃんの髪には似合う色だと思うよ」

「・・・うん♪綺麗かも♪」


 ノスフラト君の試作してる物も素材として『拒絶の壁』は提供しようと思ってるから、色付けの方法は確立しないとダメたから頑張ってみますか。


「そうだ、嬢ちゃん」

「なにー?」

「俺は来月も来るだろう」

「うん、お願いします」

「そこで頼みがあるだがな、ここに倉庫を作っちゃくれないか?」

「倉庫を?」

「今、店の奥を倉庫にしてるんだけどな、そこを委託販売のスペースにする予定なんだ。そんで代わりの倉庫を探しているんだが、中々良いのが見付からねぇんだ。そこで出張費代わりに倉庫を使わせてもらえないかと思ってな」


 そゆ事か、良いんじゃないかな。

 倉庫なら造るのは難しくないだろうし。


「広さはどれ位必要なのかな?」

「うちの店舗の倍位でいい」


 おっちゃんの店は4メートル四方位・・・それが倍か。


「棚とかは要る?あっ!後さ『断崖荘』の倉庫と合同になるけど構わない?」


 そろそろ必要だと思うんだよね、皆の仕事の材料とか置いておく場所がさ。

 私も【無限収納】の整理で置き場所が欲しかった所だしね。


「うーん・・・一応仕切って欲しいな」

「やっぱり必要か」

「嬢ちゃん達を信じて無いって事じゃねぇぞ、ここの人達が置く物を見て欲しくなりそうだからな」

「おっちゃんの方が信じれないって事かっ!ダメじゃん!」

「あはははは、商売人だからな勘弁してくれや。でも盗みなんて事はしねぇぞ!妥協点が見つかるまで食い下がるだけだ」

「それもダメじゃん!」

「だから仕切って欲しいんだ」


 髪飾りをミランダさんと見てたスカージュちゃんが、おっちゃんの台詞を聞いてしきりに頷いてるし。

 スカージュちゃんみたいな被害者・・・つか、おっちゃん、ノスフラト君とかアイシャさんにも同じ事が出来んの?


 出来るんなら商魂逞しいなんてレベルじゃないと思うだけど。

 あっ!いや、そうかそうか、だからか、自身の安全の為に仕切って欲しいのか。


「分かった、仕切りは設置する様にするよ。でさ、爺様とアイシャさんは?」

「スナフキン翁は仕事に戻ったぜ」

「アイシャさんは狩りの続きに行くって。今日は魚が食いてえって言ってましたよ」


 なるほどね、それで残ったスカージュちゃんに視線を向けたら髪飾りが目に入ったって事か。

 赤い髪に青い髪飾りは目立つから仕方ないなぁ。


 うーん・・・今日の主役はまだ外出中だし、どうしようかな?

 ・・・

 ・・

 ・

 品物の受け渡しでもして時間を潰すかな。


「おっちゃん、材木の代金って幾ら?」

「原木だけど一番固い木って事だからちっと高いぞ、1本銀貨15枚だな。全部で300本だから、金貨4枚と銀貨500枚だな」

「りょーかーい、ミラクルナッツでもオッケー?」


 オッケーって事だから、ちょっと多いけどミラクルナッツ5個と交換で材木を受け取って、皆でお茶でもしながらノスフラト君の帰りを待とうした時に、上から【振動感知】に反応する何かが2つやって来たんだよね。


 1つはシュヴァツ君の羽ばたきだと思うんだけど、もう一つの反応・・・何だろう?

 車のエンジンと似た感じがする、内部で何かが動いて全体が振動しているあの感じ。


 不思議過ぎてさ、上を見上げたら・・・緑色の鱗のシュヴァツ君とF〇Ⅲのノーチラス号みたいな物体が!


「帰って来たみたいですね、シュヴァツの隣で降下してくるあれは・・・

「あれはユグスちゃんの高速艇ねー」


 ユグス?・・・ユグス・・・ユグス・・・誰だっけ?

 えーと・・・あっ!妖魔王だっ!

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